得られない幸せ
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第二章
彼等は長い間そうした迫害を受けていた。それを避ける為の建国だった筈なのだ。だが。
「あれは同じだぞ」
「やはり弾圧だ」
「先住民族の住んでいる場所を奪っている」
「そして迫害を加えている」
「大国を利用してそれを正当化もしている」
「弾圧されていた者が弾圧をしているのか?」
この疑念が起こってきていた。
「迫害されていた筈なのに自分達が迫害するのか」
「それでは同じだぞ」
「同じではないか」
「宗教の対立があってそして建国の主張もあるが」
尚ある大国の二枚舌外交もここに悪影響を及ぼしていた。
「それでもな」
「あの国はおかしい」
「何故自分達が迫害する」
「迫害を逃れての建国で自分達が迫害するのか」
「おかしい」
こう話すのだった。気付いた者達は。
しかし彼等はあくまでこう言う。その国から。
「我々はこの国を望んでいたんだ」
「建国を望んでいたんだ」
「我々の国、我が民族の国」
「この国があることが幸せだ」
「幸せがあるのだ」
こう言うのだった。
「自分達の国があることこそが幸せなんだ」
「ならこの幸せを守る」
「その為には手段なぞ選んではいられない」
「もう迫害も虐殺も沢山だ」
過去のこと、深いトラウマになっているそれでも話に出た。
「二度とあんな目に遭ってたまるか」
「その為にはこの国を守り抜く」
「何をしてもな」
こう言ってだ。彼等は国外の同胞達も使って大国達に働き掛けて資金や技術の援助も受けて軍隊をさらに強くして。
そしてさらにだ。核兵器さえ開発し。
国連の条約も無視しあらゆる国の制止も効かず。
戦争に勝ち続けた。戦争以外の政治でも手段を選ばなかった。
あらゆる工作をしているのではと噂された。だがその都度彼等は言った。
「我々ではない!」
「証拠はない!」
「それに何もかもが自衛だ!」
「我々は生きる為にやっているんだ!」
「それの何処が悪い!」
「我々は過去に恐ろしい迫害を受けていたんだ!」
ここでも過去のことが出る。
「その我々の行動を邪魔するのか!」
「我々に死ねというのか!」
「我々に死ねという位なら!」
ここから先は言葉には出ない。だが誰もがこう考えているとわかっていることだった。
「この世界を滅亡させてやる!」
「死ねば諸共だ!」
「我々の国さえあればいい!」
「我が国だけあればな!」
こう考えあくまで自分達のことだけを考えていた。そのうえで行動し武力行使に弾圧を続ける彼等を見てだ。
世界の人達はわかってきた。そして今度は大きな声で言うのだった。
「同じじゃないか」
「自分達を迫害していた連中と同じじゃないか」
「自分達を正当化して迫害をして国連の制止も効かない」
「それで何をしても過去のことを持ち出して反論する」
「やっていることは無法じゃないか」
「関係ない国の経済制裁に大国の援助を手に入れる為に反対するか?」
そうしたこともしたのである。
「その大国と関係が悪い国だからという理由で」
「自分達とは何の関係もない国への制裁に賛成するのか」
「それは正しいのか」
「幾ら何でも酷いぞ」
「そこまですることはない」
「そう思うんだがな」
多くの者が顔を顰めさせた。そして。
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