ポケットモンスター対RPG
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第11話:ダイスケの逆襲
先日、ヒトカゲに倒そうとしてアムに返り討ちになった山賊がある洞窟に逃げ込んだ。
「お頭ぁー!お頭ぁー!」
そこにいたのは、金色のプレートアーマーを着用した大男だった。
「どうしたダイスケ?そんなに慌てて?」
「俺の手下が、俺の手下が、殺された!」
大男は鎖付きの鉄球を持ち上げたので、山賊は少しビビった。
「負けた?」
「ひいぃー!」
「まだ鍛え足りない様だな?」
「そうじゃないっす!そいつら、変な魔石を使いやがって!」
「魔石?詳しく話せ」
山賊の話を聴いた大男は、ダークマーメイドの隠された体質に興味を持った。
「つまり、その魔石を取り込んだダークマーメイドが突然雷を放った訳だな?」
「そうっす!しかも、ダークマーメイドに魔石を渡した小娘も、俺達が退治しようとしたモンスターを庇いやがって」
「モンスター?お前のテリトリーにか?」
山賊はここぞとばかりに大男に頼る。
「だからこそ!お頭の力で奴らの出過ぎた鼻をへし折って下さいよぉー」
そんな山賊の態度に呆れる大男。
「そう言うダイスケはどうするんだ?」
山賊は慌てて首を横に振る。
「無理無理無理無理!お頭の手を煩わせる必要が無いなら、こんな話はしませんよ!」
「まったく……使えないなぁ……まあいい、こっちの仕事が終わったら手伝ってやる」
山賊は首を傾げる。
「仕事?」
よく視ると、大男の隣に2人の女性が怯えながら抱き合っていた。
「この女は?」
「身代金だ」
「あー、そう言う事ですか。で、もしその身代金が届かなかった時は?」
「こいつらの餌だ」
すると、人間の様な頭部と鷲の様な足を有するオオコウモリが飛んで来た。
それを見て山賊は驚き、女性達は更に怯えた。
「インキュバス!?」
「俺が手懐けた」
「流石お頭!相変わらずお強い!」
大男はクスッと笑った。
「こいつらは下品で節度が無いからなぁ……異種交配に躊躇が無いぞ?」
怯える2人を見下ろす大男。
「もしもお前達がこいつらを楽しませた時は、払わなかったケチな国王を恨むんだな」
大男の邪で下品な高笑いが響いた……
今日もグートミューティヒを追うアムだったが、その理由は大きく変わっていく。
「……今日は攻撃しないのかい?」
「隙を探してる最中よ!」
素直になれば良いのにと思うグートミューティヒであったが、まだまだ『ポケモン以外のモンスター』と言うプライドがそれを許さないのだろう。
(つまらないプライドだなぁ……ポケモンみたいにもっと素直になれば良いのに)
そうこうしている内に、グートミューティヒは軍隊と遭遇した。
「な……なんだこの物々しさは?」
嫌な予感がするグートミューティヒが質問するも、
「こんな小さな女の子が関わって良いお話じゃない。お家にお帰り」
と一蹴されてしまった。
「僕がプリーストだとしてもですか?」
が、
「ははは。その歳で中級職だなんて、冗談がお上手なお嬢様だ」
またしても一蹴されてしまうグートミューティヒ。
「やはり……そう簡単には教えてくれないか……」
そこで、少し離れて尾行する事にしたが、そんなグートミューティヒを観てまったくくだらない事を考えるアム。
(またあの糞女……じゃなかった!糞男、また女に間違われた。やはり初見が必ず通る道なのかしらこれ?)
で、肝心の軍隊の行き先はと言うと……
「け!払わねぇって訳か……少し痛い目を魅せるか」
どうやら、軍隊の狙いはアムへの復讐を誓う山賊に頼られている大男の許であった。
「お頭!直ぐにそいつらを連中に帰すべきです!このままじゃ皆殺しにされる!」
でも、大男は余裕を崩さなかった。
「何を言ってんだダイスケ?奴らはお姫様とインキュバスとの結婚を御所望って訳だぜ?盛大な式にしてやらなきゃなぁ!」
「いやでも、殺されたら元も子もないすよ!命あっての物種って言いますし!」
それでも大男は逃げる事はしなかった。
で、結局軍隊と戦う事になってしまった山賊と大男は、崖の上から問題の軍隊を眺めていた。
「いる……いる……沢山……沢山!……数えきれない……数え切れない!……」
臆し過ぎて台詞棒読みな山賊の恐怖心に呆れる大男。
「よくそんなんで山賊家業が務まったなぁ」
「でもでもでも!」
「そう慌てるな。先ずはポーンからだ」
大男の許を目指す軍隊は不気味な羽ばたき音を聞いて上を見上げると、そこには女性の様な頭部と乳房を有し、鷲の様な足を有するオオコウモリが複数やって来た。
「サキュバスだ!来るぞ!」
一方、遠くから軍隊を追っていたグートミューティヒは何が起こっているのか解らず困惑する。
「停まった?」
「誰が来たか知らんが、戦闘開始の様だな!?」
軍隊はサキュバスの群れを難無く撃破したが、それがかえって軍隊を焦らせた。
「やはり余計な攻撃はせずに身代金を支払うべきだったのでは?」
「言うな!こういうタイプの身代金には際限が無い!ケツの毛まで搾り盗られてなお姫様を奪還出来なかったら、それこそ思う壺!無駄な努力だ!」
「ですが、姫様だってインキュバスの妻にはなりたくない筈」
「解っている!だからこそ奴らを討伐し姫様を奪還するのだ!」
そして、軍隊は再び進軍した。
それを立ち聞きしたグートミューティヒは怒りに震えた。
「なんたる自分勝手!僕はそう言う腐った人が1番嫌い!」
「声が大きいよ。(尾行が)バレるって?」
とは言ったモノのアムもインキュバスの妻に変えられつつある女性には同情する。
「ま、確かにこんな限度知らずな淫鳥のお相手は誰だって嫌よ」
しかし、軍隊やグートミューティヒの怒りに反して様々なモンスターや山賊の手下が次々と軍隊を襲った。
そんな状況にグートミューティヒの心理は怒りより焦りが勝った。
(不味いな。思ったより討伐隊対策が完璧だ。くそ!あんな腐り果てた外道が勝つ結果なんて絶対に嫌だぜぇ!)
一方、自分達と対立している軍隊の疲労感がどんどん増している事に感心する山賊。
「凄い!これなら、ここに辿り着くのを阻止出来るかも……」
だが、軍隊のはるか後方で尾行するグートミューティヒとアムを発見し、考えが180度変わった。
「あー!あいつら!ヤバい!やっぱりここに来る!逃げましょう!」
それに対し、大男は余裕だった。
「何を焦ってるんだダイスケ?まさかと思うが、例のダークマーメイドでも見つけたか?」
「そのまさかですよぉ!アイツには関わらない方が良い!」
「じゃあ何で俺の許に来た?この俺にあのダークマーメイドを斃させる為だろ!?」
怯える山賊を黙らせると、大男は更に淫らな思惑を思いつく。
「なんなら、あの裏切りのダークマーメイドもインキュバスの妻にしてやろう。ダークマーメイドとインキュバスの子供、どんなモンスターになる事やら?」
様々な困難を乗り越え、漸く大男の眼前に辿り着いた軍隊。
「いやぁー、運搬ご苦労。で、約束の金は?」
その途端、軍隊は一斉に鞘から剣を抜いた。
「金は無い!我々がここまで運搬したのは手枷のみだ!」
身代金を手に入れ損ねた大男は急に不機嫌になった。
「……その手枷を例の2人にはめろって言うのか……その手枷がインキュバスの妻になる事が決定したあの2人の結婚指輪って訳かよ!?」
売り言葉に買い言葉。軍隊の方も怒り吠える。
「んな訳有るかぁー!手枷をはめ易い様にその全身の金メッキを剥ぎ取ってくれるわ!」
一方の大男は逆に興醒めして面倒臭そうに手を叩いた。
「あー、そうかよ……だったら、お前らがサキュバスの夫になれよ」
すると、インキュバスの群れとサキュバスの群れが再び軍隊を襲った。
「何!?まだこんなにいたのか!?」
軍隊がインキュバスとサキュバスの群れと戦うが、大男の眼前に到着するまでに経験した困難のせいで疲労困憊。劣勢に追いやられていた。
そこへ更に、大男が鉄棘球を軍隊めがけて投げつけた。
「ははは。やっぱり手枷より金を持って来るべきだったなぁ?ま、今更遅いがな!」
だがその時、サキュバス達が次々と炎上・破裂した。
「ぐえぇー!?」
「何!?」
更に、フシギソウ、フカマル、バニプッチ、ゴルバットが出て来てインキュバスから軍隊を庇った。
「モンスターが……我々を庇った!?」
そこへ、グートミューティヒが堂々と出て来た。
「111対2なら、僕達111側に勝ち目は有るかい?自分勝手で卑劣な御2人さんよ」
そして、フシギソウ達がグートミューティヒの前に整列して元凶である大男を睨んだ。
それを見て……あの山賊が仰天して吠えた。
「あーーーーー!あのダークマーメイドに妙な魔石を投げ渡しやがった糞女!」
一方のグートミューティヒは余裕でボケたふりをした。
「あー、あの時のヒトカゲ虐めの……まーた体罰を受けに来たのか?」
「んな訳有るか!こっちはお頭がいるんだ。この前の様にはいかねぇぞ!」
そこへ、アムまでやって来て山賊の吠えは更に悪化する。
「そんなに気に入ってくれたの?私の……死へと誘う葬送歌が?」
「黙れヤァー!お頭!こいつですぜ!この俺が成敗する筈だったモンスターを庇ったダークマーメイドは!」
グートミューティヒ達と大男達とのやり取りを聴いて不安になる軍隊であったが、それを察したのかグートミューティヒは笑顔で振り返りながら加勢の許可を要求した。
「僕も手伝わせてください。こんな自分勝手で卑怯な連中からお姫様を奪還する仕事を!」
それを聴いた大男が鼻で笑った。
「ふん!威勢が良いな?だが、相手が悪かったなお嬢ちゃん。このタイミングでこんな所に来なければ、インキュバスの妻にならずに済んだものを」
対するグートミューティヒも強気で反論する。
「その前に、お前達の様な僕の大嫌いな悪党を、檻の中に放り込んでやる!」
後書き
ダイスケ
性別:男性
身長:170cm
体重:63.6㎏
職業:山賊
兵種:兵士
趣味:強盗、略奪
好物:大金、都合の良い展開、忠実な部下、襲い易い相手
嫌物:都合が悪い展開、邪魔者、強敵
特技:強盗、カツアゲ、悪知恵
自分勝手でワガママな悪徳山賊。
ヒトカゲを殺そうとしてそれを庇うグートミューティヒと遭遇し、かみなりの石とやみの石を取り込んで進化したアムに返り討ちにされた。その後は、グートミューティヒ達に仕返しをしようと様々な悪友と手を組んで悪巧みを行う。
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