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私 あの人のこと 好きなのかも やっぱり好きなんだよ 昔からー

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8-5

 次の日、私達は二人とも夕方からバイトがあったので、遅めのブランチにとカツ丼を食べて宇都宮に戻って行った。だけど、別れる前に伊織利さんは

「マオ 聞いてくれ 今回のことで 俺なりに整理したんだ まず イラブという名前かどうか わからないが それらしい人が居たのは確かだろう その人が縦帯の祖先だろうなのもな だけど、夜叉が池の龍神様と糸姫様の話は伝説に過ぎない 大蛇の話も・・・大地君はきっと洞穴かどこかで夢を見たのだろう そのイラブって人も龍神を見たのかどうかも 疑わしい 何かの理由で糸さんと別れる理由があったのだろう マオもその糸さんの末裔というのも 定かで無い だから 変に 俺達は結びついたんじゃぁ無い という結論だ」

「だって マオは イラブさんのこと 名前 知っていたんだよ」

「それは 前も言ったように イオリ・・・クラブとかがダブって イラブ みたいになっただけだよー だって マオも何て言ったのかわかんないのだろう?」

「・・・だけど・・・ 大地君は マオを見て 糸姫様って・・・イオのお父さんも・・・ マオも夢を見た!」

「それは・・・ どこかで 美人画を見て その影響で・・・ マオもその話を聞いてからだろう? 夢に見るようになったってー」

「じゃぁさー 大地君が夜叉が池から戻って・・・急に 笛が上手になったっていうのは?」

「それも もともと 彼には その才能があったってことだよ 笛を吹いてみたら 上手だったってことだよ」

「でも おばぁちゃんも・・・」

「その マオのおばぁさんも 県境の出身だってことだけだよ たまたまな いいか! 前にも言ったように 俺が北海道に行っていたら マオも北海道だろう 深川翠と知り合う訳がないだろう? そーしたら 夜叉が池の話もわからなかっただろう?」

「・・・・・」

「いいか 俺が言いたいのは そんなのに囚われること無く 俺達は 今 知り合って付き合っているんだ お互いに好意をもって 愛し合っていくんだよ 昔のことは関係無い! 今 これからだよ! 俺は マオの先祖とか関係無い!」

「わかった ありがとう マオはイオのこと 信じて付いていくネ!」と、言ったものの・・・私は糸姫様のことは妄想なんかじゃぁ無いと信じているんだ。だって 時々 知らない声が聞こえるのは何なのよー・・・。きっと 糸姫様の声なんだわー

 その日、しのぶ先輩からラインが来て、入学式の時に屋台を出すから前日に準備で集合というものだった。朋子先輩は4年生になるので就職の準備とかでクラブのリーダーはしのぶ先輩に引き継がれたのだ。

 入学式の当日は、式の始まる前からぼちぼちと焼いていたのだが、目の前を通りがかった何人かが「これ 無料なんすっかぁー」と、喰らいついている猛者も居たのだ。そして、式が終わったみたいで、ぞろぞろと出てきた時、新入生達はサークルの連中に呼び止められていた。女の子に人気があるのはダンス部で何人かが足を止めていたが、運動部は人気が無いみたいで、ラグビー部の小野寺瞳さんもしきりと声を掛けているんだけど興味を示す人は居ないみたいだった。私達のほうは、列を作って無料のたこ焼き、蜂蜜レモン水を何人かが受取っていたのだ。

「うわぁー 君 可愛いね このクラブ? 何年生?」

「はぁ 2年です」

「だよねー でも 可愛いから 俺 ここに入る」と、調子良さそうな男子2人組。

「ちょっとーぉ 君達 そんな不純な動機やったら 期待外れになるでー」と、真菜ちゃんが横から言っていた。結局 新入部員は男の子が1人、女の子が2人入っていた。伊織利のラグビー部は4人入ったらしいけど、それでも2人足らないのだ。

 数日後、新入生の女の子2人をしのぶ先輩が自分部屋でお好み焼きを振舞うからと呼んでいて、私と真菜も呼ばれていた。二人とも、隣の市からの自宅通学で同じ高校で同級生だったと言っていた。

「真織先輩 すごいですよねー 美人で明るくみんなに接していて・・・私達 それを見て 入部 決めたんですよー」

「そう? ありがとう でも 私も 最初は、こんなじゃぁなかったはず でも しのぶ先輩とか 上級生に鍛えられてネ 屋台は 味は2番目だ 一番目は客寄せの愛嬌だぞってネ でもね やっていて お客様が喜んでいる姿見ていると 嬉しくなっちゃうのよ」

「へぇー 真織先輩を 見習います 少しは美人に近づけるかもー」

 私は、バタバタと1年が過ぎ去って、先輩と言われるようになっているんだと感じていた。イオとの間も2年目に突入していくのだ。 
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