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星河の覇皇

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第八十六部第五章 傍目に見つつその十八

「やはりな」
「それでもですね」
「マウリアにいたい」
「そう思われたのですね」
「私はマウリア人だ」
 これがジャバルの返事だった。
「だからだ」
「マウリアに戻られた」
「そして今ここにおられますね」
「マウリアで革命を起こすべき場に」
「連合に入ってもだ」
 即ち連合市民になってもというのだ。
「私はアウトカースト層として差別されずな」
「ここまでの差別は受けないですね」
「到底」
「連合ではここまでの差別は存在しない」
「マウリアにいながらマウリア人と思われない様な」
「そうした差別は存在しないですね」
「何よりカーストなぞだ」
 これ自体がというのだ。
「連合では全く意識されていない」
「左様ですね」
「あの国では関係のないものですね」
「ヒンズー教も存在していますが」
「それでも」
「あの国はそれがないからだ」
 それでというのだ。
「マウリア人は異邦人でありだ」
「異邦人として見られ」
「そして差別されようとも」
「人間でない様な差別は受けない」
「左様ですね」
「それだけで違う」
 全く、そうした言葉だった。
「まさにな」
「その連合に入ればですね」
「それなり以上の生活を送れますね」
「少なくとも人間として見られ扱われる」
「差別されようとも」
「そして私ならだ」
 ジャバルは今度は自分の資質の話をした。
「連合においてもだ」
「今の様にですね」
「かなりの地位を得られますね」
「左様ですね」
「建国することも出来る」
 連合においてというのだ。
「それも瞬く間に豊かな国にしてみせる」
「ただ建国されるだけでなく」
「豊かな国に出来る」
「そうなのですね」
「国だけではない」
 ジャバルはさらに言った。
「私は富貴を求めるならな」
「起業されて」
「そうしてですね」
「その企業を大きなものに出来る」
「そちらに進まれたなら」
「一代で連合一の企業を創ってみせる」 
 起業したならというのだ。
「そうも出来る、だがな」
「連合にいてはですね」
「それが出来ても」
「しかしそれはマウリアのことではない」
「連合でのことですね」
「何度も言うが私はマウリア人だ」
 このことは絶対だというのだ。
「マウリアで生まれマウリアで生きてきた」
「このマウリアに想いがある」
「左様ですね」
「だからこそですね」
「確かに心は揺らいだが」
 連合に入ろうとだ、それが微かなものであっても。 
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