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第百三十一話 悪魔がいないその六

「そうよね」
「そう、あの野獣よ」
 かな恵もその通りだと答えた。
「青髭さんかね」
「野獣が」
「そうした存在なのよ」
「そうよね、けれどね」 
 一華はかな恵に言われて話した。
「あの野獣って狼って言われてて」
「違うみたいね」
「狼って人襲わないしね」
「そうなのよね」
 かな恵もその通りだと答えた。
「実は」
「ニホンオオカミだってね」
「山に人が入っても」 
 狼の縄張りにというのだ。
「後からついてくるだけで」
「送り狼ね」
「これは習性で」
 ニホンオオカミのというのだ。
「人が自分達の縄張りに入ったら」
「目付でついてくるのよね」
「縄張りから出るまでね」
「それだけよね」
「だから」
 ただそうした習性だからだというのだ。
「襲う訳じゃないから」
「別にね」
「怖くないのよ」
「そうよね」
「狼は畑荒らす獣食べてくれるから」
「そうそう、怖いどころかね」
 一華はまさにと答えた。
「有り難い生きものだったのよね」
「だからね」
 かな恵もそれでと応えた。
「『おおかみ』よ」
「大きな神様ね」
「日本は農業の国で」
「畑荒らす生きものは大敵でね」
「今だって獣害深刻だしね」
「それね」
 一華はまさにという口調で言った。
「農業科の子達言ってるわね」
「かなり深刻だって」
「畑の獣害は」
「洒落になってない被害だって」
「そうみたいね」
「それはニホンオオカミがいなくなったから」
 まさにその為にというのだ。
「起こってるしね」
「今じゃ僅かにね」
「和歌山県と奈良県の境にいる位で」
「ドリトル先生が発見されて」
「そうなったけれど」
 それでもというのだ。
「けれどね」
「日本の殆どでいなくて」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「獣害が起こってるのよね」
「そうなのよね」
「それで他の国の狼も人を襲わないし」
「ニホンオオカミ以外も」
「家畜襲うけれど」
 富美子も言ってきた。
「だからあっちじゃ怖がられてるのよね」
「あっち羊や豚飼うし」
 かな恵は富美子にも応えた。
「牛だってだし」
「家畜襲うから問題で」
「家畜と人が一緒にいたら」
「家畜襲うわよね」
「けれど」
「そう、あの野獣はね」   
 富美子もフランス出身の友人から聞いたことを話した。 
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