リュカ伝の外伝
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男女の艶やかな思い出……プライスレス
(グランバニア王都:GEOビル)
メリーアンSIDE
私の支度が戸惑った所為で、プービルの前に到着したのが最後になってしまいました。
ザルツもルディー君も気にしてないと言ってくれたけど、互いの魔道車を自慢し合う為に場所を提供してくれたプーサン社長に悪いと感じているわ。だ、だって相手は本当は……
ルディー君も来たのは遅かったらしく、GEO内では何故だかピパン君親子と、アーノさん……更にはエミヘンさんまでもが待機していてくれた!
ってかエミヘンさんが来てるのなら早く言ってよぉ……
んで……全員集合出来て早速だけど、ザルツからの「新発売のM・Hだ! ね、値段で勝てるワケない!!」との感想に対戦相手はご満悦。
当然私から「高いの?」と質問。
するとルディー君からは……
「まぁね! 通常で購入したって20万Gは下回らないんだけど、今回の僕の求めた仕様はオプション装備が満載でね! 安全面も快適面も完璧にしてあるんだよね……しかもPONYって企業が現在開発に成功してるRSってのがあってね、僕それを開発・研究・更なる発展させようとしてる方と、仲が良いから知っててね……開発が完了すれば『RS』と呼ばれる装置も既に最優先で取り付けてもらえる算段になってるんだ! その装置単体に80万Gくらい値が張っちゃってね……つ、都合……100万Gくらいするんだよ! わっはっはっはっはっ!」
「「ひゃ、100万G!?」」
ザルツからもだがギャラリーのピピン大臣からも驚きの声が響き渡る。
当然だろう。
「これ全部……祖父さんにお強請りしたの?」
「は、はい……(テヘペロ)」
プーサン社長からの問い合わせに流石の彼も恥ずかしそうに答える。
「ち、因みに……M・H単体……オプションは無しでの車体価格って幾らなのかなぁ!?」
とピピン大臣から質問が。
「何でお前が知らないんだよ? 一応GMの社長だろうが(笑)」
「名前だけ社長ですからね!」
本来なら今の会話は王様と大臣の会話なのだが……ザルツの手前一般人(プーサン社長)と高級公務員(軍務大臣)との会話になっており、言葉遣いに彼が困惑している。
「本当に何のオプションも付けなければM・Hは13万~15万Gくらいですけど……しかし相変わらずだなぁ、プーサン社長は! 相手が軍務大臣閣下であっても気にしないんですね」
と、フォローをしてくれてる。
「何を言ってやがる。こいつらは公務員だぜぇ。税金で飯食ってんだ。僕達納税者の方が立場は上じゃん! 特に軍人なんて、いつ問題を起こすか……気が気じゃ無い」
この場で唯一知らない男の為に、機転が回る。流石よね。
普段の社長と大臣閣下の為人、更に今のルディー君の台詞で今後の会話(言葉遣い)に違和感を感じない(感じても気にしない)状態を作り上げた。
そう言う性格だから、彼には幅広い人脈が形成されてるのかもね。
「……ほ、本体価格だけで13万~15万G!!?? さ、流石に……厳しいなぁ。な、なぁピパン……か、母さんに相談したら……」
「即座に“ローリングソバット”と“カカト落とし”で瞬殺されます」
「だ~よ~ね~!!」
“ローリングソバット”と“カカト落とし”が何なのか私は解らないが、大臣閣下の表情からは悔しさ……と言うより、残念さと恐怖の入り交じった顔が窺える。ごく一般家庭と同じな奥様(母親)が最高権力者であることが窺える(笑)
「あ、あのピピン閣下……こんな事で慰めになるか解りませんが、この魔道車は金を掛けてグレードアップさせる事のみに特化した魔道車です。ご購入はお勧めしません」
「何だよ……買っておいて言うねぇ!?」
「そりゃぁ言いますよ社長。だって先程言った本体価格に通常のオプション装備にすれば、大体18万Gくらいで(株)レックスのSUVが買えますが、そっちの方が高性能ですからね! ま、まぁ僕の(自分のM・H)はもっとお金を費やしてるからぁ……市販品なんかよりも性能は上ですけどね!」
「じゃぁさぁ……今回の勝負であるザルツが買った魔道車と、どっちが上なの?」
魔道車の知識に乏しい、勝負の行方だけが気になってる女の問いかけ……
「う、上とかぁ……そ、そんなの……き、決められなくね?」
「そうかしら……私、昨日はその魔道車でザルツと王都内を巡って楽しかったわよ。 し・か・も……昨晩はそんな流れで私達、大人への道を一歩進んだもの♥」
「お、おい……ひ、他人に言う事じゃぁ……」
「おぉ、遂にメリーちゃんも一歩踏み出したか!」
「はい。社長が事前に例の施設の場所を教えてくれてたからスムーズでした!」
さり気なく……はない流れだけど、私とザルツの進展をルディー君にも聞こえる様に報告。
横目で彼の顔を確認……本当に嬉しそうに笑ってくれている。
良い奴なんだよ!
「(株)レックスのM・Hじゃ、(株)ツヅキのAstlerに価格面で勝負にならない。だからこそ既に舗装されてる王都内の道であれば、Astlerでも問題なく走れる。ましてや例の施設とかの細い道はお手の物だろう」
「そ、そうですね……昨晩も彼女に言われて西中央地区の施設に案内されましたけど……道幅的な事を含めましても運転に支障はありませんでした」
「ぼ、僕のM・Hだって、運転に支障は無いよ!」
「当たり前だろう! 整備された王都内の道だぞ! そんな事より、お前は誰とドライブを楽しんだんだよ?」
魔道車でのレジャーは“ドライブ”と言われるらしい。
プーサン社長が教えてくれる(笑)
「ギクッ!!」
「何だ……ルディー君は折角最新の魔道車を手に入れたってのに、一人寂しく“ぼっちドライブデート”だったのかい?」
「ぼ、ぼっちじゃねーし! 超絶美形とドライブしたし!!」
「だから誰だよ!」
気になるわね……“超絶美形”って誰よ?
「あぁ、そう言えばルディーさん。昨日はお昼ご飯を奢って頂きありがとうございました!」
「そ、それ今言う!?」
ちょ、超絶美形ってピパン君の事? 間違っちゃないけど……この話の流れだと美女を連想するでしょう!
「何だ……お前に出来た恋人ってルディー君の事か」
M・H価格ショックから立ち直りつつある大臣閣下が、息子さんの恋人をニヤニヤしながら気にしている。そこも何かありそうね。
「ピパン君……恥ずかしいからって、そう言う話にすり替えないでよぉ~」
「いやぁ~……そう言うワケじゃぁ~無かったんですけどねぇ?(笑)」
取り敢えず一通り冗談を交えて魔道車自慢の話題は片付く。
「……ってワケで、アホみたいに魔道車に金かけても、ピュアなハートの思い出には勝てないって事が証明された」
2台の魔道車を目の前にして綺麗に締め括るプーサン社長。
本当に自慢“大会”を催してるワケじゃ無いのだから、勝者(今回はザルツ)に対して盛大な賛辞(祝辞)は無用なのだが、今回の敗者であるルディー君から心底嬉しそうな表情での拍手が浴びせられる。
これはどっちへ対しての拍手だろうか……魔道車か、私達の進展?
「さて、取り敢えず魔道車の事は置いといて……ピパン。お前の彼女の事をもう少し詳しく聞きたいのだが?」
えっ!? 何それ?? やっぱり何かあるのね。私も知りたい!
「じゃぁ一旦事務所に入りましょうか。私、皆の飲み物を用意するわね」
「あぁ……奥様。私もお手伝いしますわ!」「私も!」
あっ、出遅れた。
話題が完全にピパン君に移ったところで、奥様が仕切りアーノさんとエミヘンさんとを従えて、事務所へ引き上げていく。
この話題……逃す訳にはいかないのだし、私も奥様等の後を追う。
「何で……最も無関係な女性陣が率先して話し合い(?)の舞台設営に動いてるんだよ?」
社長から言われるも、気にしない奥様。当然私を含めて皆だけどね……
メリーアンSIDE END
後書き
2024年6月16日投稿
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