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豊臣秀吉が異世界で無双系姫騎士やるってよ

作者:モッチー7
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第11話:贅沢が足りない……

 
前書き
前回のあらすじ

サカシラ・ガ・ムソーウがムソーウ王国の国王になる事を決意した時、隣国ベネット男国に会食に誘われた。
しかし、オラウは既にベネット卿の罠を見抜いており、就寝中にベネット男国の兵士達に囲まれても冷静だった。
と言うか……解り易過ぎでしょ!(笑)
そんなオラウが思い出したのは、まだ関白の時の豊臣秀吉に謁見した前田慶次の恐れ知らずの傾いた態度であった。
それに……会食の時に寂しそうな顔をした槍兵の心境とは……

へべく! 

 
「遂に本性を現しましたな?ベネット卿」
「くっくっくっ。全く気付かずに『美味い美味い』と言ってたくせにか?」
あれでバレていないと、本気で思っておったのか?
豊臣秀吉(わたし)はベネットのくだらない自信過剰に軽く呆れた。
「貴様ぁー!今まで我々の加護下にいながら、今更エイジオブ帝国に下るかぁー!」
……豊臣秀吉(わたし)は……ドウカァーのマヌケさに激しく呆れた……サカシラ兄上もドウカァーを馬鹿を見る様な視線を送る。
って、そんな場合じゃなかったな。
「当然です。落ち目である貴方方ムソーウ王国と、最早最強であるエイジオブ帝国、どちらに就くのが得か?……解るでしょ?」
「貴様ぁー!損得の問題かあぁー!」
そこが、己の信念だけで戦う者と政を優先した戦い方をする者との違いだな。ドウカァーは未だにムソーウ王国が理想とする戦い方に拘っているのに対し、ベネットは戦いが終わった後の事まで考えおる。
だが、本当にそれだけであろうか……
それに……どっちが美しいかもだ!
「確かに、自国を戦火に巻き込まないと言うお考えはご立派です。国を燃やされるなど百害あって一利無し。ですが―――」
「続きはエイジオブ帝国の地下牢で聞きますので結構です……捕らえなさい!」
ベネットは既に豊臣秀吉(わたし)の話を聴く心算は無くなったのか、兵士達に私達の捕縛を命じおった。
「触るな外道の僕。まだ王族同士の神聖な会話の途中だぞ」
「ぐええぇーーーーー!?」
よよよよ弱ッ!
豊臣秀吉(わたし)が私を捕らえようとした兵士の手を軽く払いのけただけなのに、敵兵が盛大に吹き飛んだぞ!?
こいつらちゃんと鍛錬を積んでおるのか!?
「無礼であるぞ!サカシラ様とオラウ様をその様な叛旗の手で触れようなどと!」
ドウカァーが私達を捕らえようとしている兵士達相手に善戦してる……
これってつまり、ただ単にムソーウ王国が部将以上の将校に求める戦闘力が高過ぎるってだけの話なのね。
……慣れって怖いわ。
それに……会食の時から何か変だったあの槍兵。今だに全く動かん。何を考えておる?
とは言え、このままこやつらを一掃して終わりでは芸が無い。
ここはやはり、私の話術がモノを言うな!
「双方!そこまでにして貰おう!」
「何をしておる!?早くそこにいるエイジオブ帝国に逆らう愚か者を捕らえぬか!」
「ベネット!お前も王族を騙る者であるなら、王族同士の神聖な会話に不要な下僕の侵入を許すな!下僕が犯す無礼となるぞ!」
「何を偉そうな事を言っておる!この俺の術中に嵌った貴様達は、既にエイジオブ帝国に囚われた囚人!俺と貴様等との間には神聖な会話など無いわ!捕らえよ!」
完全に話が平行線だな?
「トクミツ!何をしておる!せっかく覚えた戦技を使うのは今だろ!」
あの槍兵、トクミツって言うんだ?
で、そのトクミツの奴、何かを見比べて品定めをしている様に視えるぞ?
静のトクミツと動のベネット。
どちらが冷静そうに観えるか……美しく観えるか……
こうして視ると、ベネットって豊臣秀吉(わたし)より背が高い癖に小っちゃいなぁー。
「だから!王族同士の神聖な会話に余計な者を入れるな!いい加減にしろベネット!」
豊臣秀吉(わたし)の文句に対し、トクミツは片手で兵士達を制した。
「何でじゃトクミツ!?」
「オラウ殿の言い分、確かにごもっとも!この者をどうするかは、この者の言い分を聴き終えてからでも遅くはないか―――」
「遅いわ!おっそいわ!さっさとこの無知な愚者を捕らえてエイジオブ帝国に明け渡さんか!」
……本当に小さいなぁベネット……豊臣秀吉(わたし)はベネットの顔を見る為に顔を上にあげているのに……

ま、少なくとも豊臣秀吉(わたし)の言い分が真面である内は、トクミツは私達を攻撃する事は無いだろう。
が、トクミツが私達を敵と判断した時が怖いがな。
「私がベネット殿に訊ねたいのは、エイジオブ帝国が我が国であるムソーウ王国に勝利した事で得られるベネット男国の損得についてです」
ん?
今、トクミツがピクっと動かなかったか?
「つまり、お主達の言葉を聞くに値しないと言う事。話は終わった。捕らえろ!」
早いなお前。
せめて、お前がどんな条件でエイジオブ帝国に下ったかくらい言えよ。
トクミツもそう思ったのか、不機嫌そうな顔はすれど、戦う意志は無し……そんなに気になるか?私達ムソーウ王国が出そうとしている条件が?
その証拠に、トクミツが遂に口を開いた。
「して、ムソーウ王国がエイジオブ帝国の侵攻に耐え抜いた際、我々ベネット男国は何を得られ―――」
その途端、ベネットが慌ててトクミツの口を塞いだ。
「ば!?馬鹿!今の台詞がエイジオブ帝国に聞かれたら不味い事になるだろ!」
あー、そう言う事ね。
本当に小さいねベネット?豊臣秀吉(わたし)は後先まで考えて戦っている者と君を同列に扱った事を恥に思うよ。
それに、今の小声をちゃんと聴き取ったぞ!
「確かに!自国を戦火から遠ざける事は美徳であり聡明な行いだ。国民を無粋な戦火から護り、国民を無駄死にさせなかったのですから。だが!死ねない事が必ずしも幸福かと言えば、豊臣秀吉(わたし)は違うと思います!」
「……死なないが不幸だとぉー!?所詮は全てを失った哀れな囚人の考えよ!」
この言葉に対するベネットの反応が凄いな。
お陰で、ベネットがどの様な条件でエイジオブ帝国に下ったかがよぉーーーーーく解った!
「つまり、その先に贅沢をしたと言う実感が有るか無いかです!」
「なるほど……貴方達は既に囚人。贅沢とは無縁の存在。だから私達の生活環境改善を求めると?……身の程を知れ囚人!」
やはりね……
こやつはベネット男国の命運がどうとかを考えているのではなくて、豊臣秀吉(わたし)をどうやってとっ捕まえるかを重視しているのね……
……自分が助かる為だけに!
「違う!豊臣秀吉(わたし)が問うているのは、ベネット男国がこの先どれだけ贅沢するかだ!たとえ自国を戦火から護り抜いたとしても、自国が1度も贅沢出来なければ、それでは自国を護った事にはならん!」
ドウカァーは力強く頷き、トクミツの目は大きく見開いた。
あとひと押しだな?
「民が!国が!そして王が!1度も贅沢出来ない国!贅沢した気分になれない国!その様な無様な国が!本当に幸せな国と本当に言えるのか!」
そうだろ?前田慶次!
「……バカ……アホ……トントンチキ……」
ん?
トクミツさん、何か言いまし―――
「俺達がどれだけ我慢したか……どれだけ自分の意見を圧し殺したか……知らない癖に!」
こいつ!……豊臣秀吉(わたし)を殴ったぞ。
「オラウ!?」
「オラウ様!」
私は……私の心配をするサカシラ兄上とドウカァーを片手で制した。
ここで反撃したら芸が無い……そんな気が……したからだ。
その間も、トクミツさんは私を殴り続けた。
「俺達だってなぁ……本当はエイジオブ帝国の無礼な侵攻に対して徹底抗戦したかったよ!でもなぁ―――」
「わー!わー!わー!この人は違いますからねー!ただ酒に酔ってるだけですからねぇー!」
ベネットとか言う小さい男が何か慌てている様ですが、あえて無視しました。
そんな事より……
「元はと言えば、お前達ムソーウ王国が不甲斐無いからこうなったんだろうが!?俺はな!お前達ムソーウ王国に憧れて必死に戦技を覚えたんだぞ!それなのに……それなのに……お前達がくだらない連敗をしたせいで、俺達は戦わずしてこの国を明け渡さなければならなくなったんだぞ!どいつもこいつも……もっと真面目に戦えよな!お!」
熱い!
こいつの涙が熱い!
この熱さが、トクミツがどう言う人物かをきめ細かく丁寧に説明してくれる。
……それに引き換え……
「おい、おい!何をしている!あの馬鹿4人(・・)を捕縛せぬか!早くしろぉーーーーー!」
遂にトクミツまで切り捨てたか……本当に解り易い小ささだな……

気付けは豊臣秀吉(わたし)はトクミツにハンカチを差し出していた。
「鼻、出てるよ?」
豊臣秀吉(わたし)に指摘されたトクミツは、私のハンカチで鼻をかんだ。
そして……
「急に良い顔になったじゃない?」
私は少しだけ背筋が冷たくなった。
この時のトクミツは笑顔だからだ。怖いくらいに。
「今のでスッキリしました。まるで便秘が完治した気分です」
そ……そうなんだ……それは良かった……
「して!」
「……はい?」
「もしこの包囲を突破したのち、エイジオブ帝国をどうする御心算か?」
ベネットがギャーギャー騒いでおる様だが、トクミツの静か過ぎる気迫の方が気になり過ぎて耳に入らぬ。
で、代わりに答えてくれたのがサカシラ兄上だった。
「私は、エイジオブ帝国の侵攻は度を越えていると考えております」
「度を?」
実際の音量はベネットのギャーギャーの方が圧倒的に大きい筈だが、精神的にはトクミツの低音の方が耳に響く。
「私達ムソーウ王国は、これからも自分達の力をひけらかす事無く、他国の安寧に一切手出しせず、他国への救援にのみ心血を注ぐ事を誓いたい」
頑張れサカシラ兄上!
「でも、それではエイジオブ帝国も護る事になりますぞ?」
「確かに。ですが、エイジオブ帝国とて拡大し過ぎた領土を完全に見通す事は出来ないと判断します。故に、エイジオブ帝国は過剰な侵攻で得た手に余る領土は捨てるべきと考えます。向こうがそう簡単に決断するとは思えませんが」
「手に余る……か」
トクミツさん……マジで怖いです……
お陰で……ベネットの超大音量のギャーギャーがまったく聞き取れません……
「確かに手に余るな。エイジオブ帝国のあの領土は」
「何いぃー!?」
あ。やっとベネットの声を聴き取れた。
「貴様等は馬鹿か!どうあがいてもエイジオブ帝国には絶対に勝てぬ事ぐらい容易く解るだろ!」
「ですが、この広き世界をたった1人の王のみで全て面倒を看ろと?不可能です」
「だからお前は馬鹿なのだぁー!エイジオブ帝国に勝利する方が不可能の中の不可能じゃー!」
そして……トクミツの殺気が遂に解き放たれた!
「私のかつての王よ!この態度を視てもなお、このトクミツが反逆を否定出来る者が……いようか!」
その直後……
トクミツがベネットを殺していた……
「おーーーーー!?」
ベネットはトクミツが投げた槍が自分の腹を貫通している事に軽く混乱しておる様じゃが、周りの者は誰もベネットを心配していない。
つまり、ベネット以外は誰も本気でエイジオブ帝国に下る心算は無かった訳ね?

で、豊臣秀吉(わたし)は一計を案じてトクミツに捕まったフリしながら今回の絵を描いた黒幕の許へやって来たが……
「あれ?ベネット男爵は如何いたした?」
あれ?こいつは確か、あの口の傷は豊臣秀吉(わたし)が付けた筈の。
「オラウ・タ・ムソーウが無駄な抵抗を行い、我らが王は……」
「そうか……それは残念だ」
まさか、ベネットの安否を最も案じておったのは敵国の中にしかいないとはね。なんたる皮肉。
「それよりも……オラウ姫、やっとその重たい鎧や衣服を脱げますなぁ。良かったですなぁ」
この弩助平が。
が、こやつは何も知らないから怒る気にもならんわ。
で、トクミツが目の前の敵将の護衛を全員殺した。
「……え?」
「そう言う事だ」
「……え……」
こいつ……完全に時間が止まっておるわ。
その間に、トクミツが敵将を羽交い絞めにした。
「本当にアレをやるのか?」
「……ああ」
そう言いながら、豊臣秀吉(わたし)は敵将のズボンとパンツを脱がし、恐々と敵将のアレに触れた。
「て!?え!?」
この世界の豊臣秀吉(わたし)は女なので、殿方のアレを扱えなければならぬ訳だが……肝心の豊臣秀吉(わたし)はこいつのアレを恐々と舌でゆっくりとチョンチョンと触る。
我ながらもどかしい!
でも……
豊臣秀吉(わたし)はこいつのアレを恐々とゆっくりペロペロと舐めるのみ。
そんな事ではいかんと解っていながら……
恐れるな豊臣秀吉(わたし)!朝になる前にこやつのアレを勃起(たた)せなきゃいけないのにいぃーーーーー!
でも……
やはり恐々とゆっくりペロペロと舐める事しか出来ぬ……

翌朝。
ベネット男国のとある十字路では、4つの立て看板が道を塞いでいた。
「なんだこの看板は?邪魔だなぁ」
「何を考えてこんな物を?」
「ん?『この者、ベネット卿がエイジオブ帝国に寝返る事を催促した罪により、エラ寸止めの刑に処す』?何を言ってるんだ」
で、民衆が邪魔な立て看板を片付けようとした時、彼らの目にとんでもないモノが飛び込んで来た。
「あ!あれを視ろ!」
それは、全裸で仰向け大の字をさせられているヨツメの姿であった。
「おー!●●●う丸出し!」
「しかも、●●●いが真上を向いておるぞ!」
「エラ寸止めってまさか!?」
大衆が騒ぐ中、全裸のヨツメは滝の様な涙を流しながら、実行犯であるオラウへの復讐を誓った。
「堪能させてやるからな……全裸で地下牢生活を堪能させてやるからなあぁー!楽しみにしていろよおぉーーーーー!」 
 

 
後書き
トクミツ・ミツナリ

年齢:39歳
性別:男性
身長:166cm
体重:60.6㎏
職業:兵士
武器:ブージ風ピルム
戦技:幻月、葬騎の一撃、突槍
趣味:勉学、鍛錬
好物:勇猛果敢、不屈の精神
嫌物:不戦敗、醜い政争、不義
特技:槍投げ

ベネット男国に所属していた槍兵だったが、肝心の主君ベネット男爵が自分勝手にエイジオブ帝国に寝返り、オラウにその事を指摘された為、部下達と共にムソーウ王国に寝返った。
ムソーウ王国の鎧袖一触な一騎当千に憧れていた時期があり、それが高じて戦技を独学で身に着けた。
イメージモデルは石田三成【影武者徳川家康】。 
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