八条学園騒動記
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第七百五十四話 未成年なのでその二
「朝飯も大飯かっくらうんだよ」
「いや、帰りなさいよ」
エイミーはここまで聞いて思わず言った。
「いきなり来るだけでね」
「ふざけるなってなるよな」
「うちだとジョーお姉ちゃんがね」
エイミーから見て二番目の姉である彼女がというのだ。
「入れないわよ」
「最初からだね」
「それで四人全員ね」
「嫌な顔するな」
「そうよ、何よその人」
「ちなみに金もらって帰る」
「働いたら?」
「だから働かなくてな」
そうせずにというのだ。
「そうしてだよ」
「親戚のお家巡ってなの」
「たかってな」
「生きてるのね」
「それでお世話になってもな」
そうしていてもというのだ。
「文句ばかりだよ」
「感謝しないのね」
「そのおっさんが煙草を吸ってたんだ」
「ってことは」
「俺は何があっても吸わない」
ダンは断言した。
「煙草はな」
「そうなのね」
「ケチでな」
「ケチでもあったの」
「自分のことにはお金を使ってもな」
そうしてもというのだ。
「他の人にはな」
「使わないのね」
「ああ、大飯食って金貰って」
「そんなことしても」
「人の為には何もしなくて」
そうであってというのだ。
「人助けなんて一度もな」
「したことないの」
「一度の献血もだ」
「しないの。いや献血なんてね」
エミリーは眉を顰めさせそれこそといった口調で言った、そうしてダンに対してさらに言うのだった。
「誰でも私達の歳でもね」
「一度はしているな」
「ちょっと血をあげるだけでしょ」
「献血したらお金も貰えるしな」
連合ではどの国でも売血制度が存在しているのだ。
「そうだったらな」
「誰でもやってるでしょ」
「それがな」
「あんたの親戚の人はしたことないの」
「五十過ぎて一度もな」
「そのことも凄いわね」
「それこそ生まれて一度もな」
ダンは嫌悪に満ちた顔で答えた。
「誰かの為に何かしたことはなくて」
「お金を使ったこともなの」
「宗教関係のお供えすらな」
「しないの」
「しかし自分の服とかには使ってな」
金をというのだ。
「煙草も知っている人が見たらな」
「煙草について?」
「ああ、凄くいい煙草だったらしい」
「働いてなくて人には使わないのに」
「煙草はな」
自分の嗜好品にはというのだ。
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