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金木犀の許嫁

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第二十話 大阪の実家その六

「大坂の陣でね」
「戦った場所だしね」
「ええ、冬の陣夏の陣って」
 この二つの戦でというのだ。
「思いきりね」
「戦ったわね」
「それで通説では幸村様は」
「戦死されてるわね」
「大阪でね」
「そうなってるわね」
「そうした意味でもね」
 夜空に対して話した。
「大阪は特別な場所よ」
「私達にとっては」
「大阪城だってね」
「あそこね」
「あそこに私達のご先祖様はおられたのよ」
「それで戦われたわね」
「まあね」
 ここでだ、真昼は少し苦笑いになって妹に話した。
「今の大阪城なあの頃と違うけれど」
「豊臣家の頃とはね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「あの戦いで落城して」
「幕府が再建させたから」
「だからね」
 そうなったからだというのだ。
「厳密に言うとね」
「豊臣家を滅ぼした幕府のお城ね」
「そうなのよね」
「そうよね、天守閣だってね」
 夜空は城の象徴であるこちらの話をした。
「三代目でね」
「昭和に建てられたでしょ」
「それまでずっとなくて」
 そうであってというのだ。
「江戸時代のはじめに落雷に遭ってから」
「二百年以上なかったのよね」
「それがね」
「戦前に再建されたわね」
「それでね」
 そうであるからだというのだ。
「だからね」
「あの頃の大坂城じゃないから」
「それに大坂であって」
 漢字の話もした。
「大阪とはね」
「また違うわね」
「そうなのよね」
 こうも言うのだった。
「あの頃は大坂で」
「今は大阪ね」
「読み方は同じでもね」
「微妙に違うわね」
「これがね」
「そうよね」
 夜空も確かにと頷いた。
「大阪と大坂はね」
「同じ場所でもね」
「ちょっと違うわね」
「字が違うと」
「また違うわね」
「江戸と東京程じゃなくても」
 その違いはとだ、真昼は話した。
「やっぱりね」
「違うわね」
「それでね」
「幸村様の頃は大坂城で」
「今は大阪城でね」
「幕府の頃の土台で」
 そこにというのだ。 
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