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八条学園騒動記

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第七百五十二話 苗字がない家その七

「お子さん達にもね」
「ドイツのお名前付けていたの」
「そうだったのよ」
「そうだったのね」
「ドイツ人の名前にね」
 それにというのだ。
「無理矢理漢字を当てはめた」
「それってキラキラネーム?」
「そのはじまりよ」
「最低の親ね」
 ベスはここまで聞いて冷めた目で述べた。
「それって」
「まあね、ドイツ人の名前というかね」
「エウロパの連中の名前はね」
「ハイドリヒでもそうだしね」
「そんな名前お子さん達に付けるなんて」
「今だとね」
 連合ではというのだ、この国にとっては建国からのことだ。
「もうね」
「それこそよね」
「最低よ」
「親としてね」
「何かね」
 エイミーはどうかという顔で言ってきた。
「私森鴎外さんについていいこと聞いたことないけれど」
「だって人間としてはね」
 ジョーは末妹にあっさりとした口調で答えた。
「最低だったのよ」
「そうだったの」
「ファザコンでマザコンで」
 そうであってというのだ。
「親に頭上がらなくて」
「そうだったの」
「それでやたら地位とか爵位にこだわって」
 尚爵位は貰っていない。
「出世欲もね」
「凄かったの」
「それでドイツ留学鼻にかけて」 
 そこで優秀な成績を収めたこともだ。
「しかも頑迷でね」
「いい人じゃなかったの」
「そうだったのよ」
「そんな人だったの」
「だからね」
 そうした人間だったからだというのだ。
「あんたがいいお話聞いたことないことも」
「当然なのね」
「お子さん達にキラキラネーム付けたし」
「エウロパの」
「やっぱりね」
「評判悪いのね」
「ええ、けれど何も知らない文学女子は」
 森鴎外のことをだ。
「若くして能力を発揮した」
「凄い人って思ってるの」
「目をキラキラさせて」
 そうまでさせてというのだ。
「チートよチートってね」
「言ってるのね」
「お医者さんで小説家で翻訳もやって」
「それでなの」
「そう言ってたのよ」
「文学女子でも馬鹿は馬鹿なのね」 
 エイミーは極めて冷めた目で述べた。
「本当に」
「そうよ、文学を学んでもね」
「馬鹿は馬鹿なのね」
「けれど学んでいったら」
 そうすればというのだ。
「大抵は賢くなるわ」
「その為の学問だしね」
「それで森鴎外のことも学んで」
 そうしてというのだ。 
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