ソードアート・オンライン~漆黒の剣聖~
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フェアリィ・ダンス編~妖精郷の剣聖~
第三十九話 領主の手ほどき
「さて、と・・・終わったぞ」
ルシフェルに向きなおると、欠伸をしながら報告するソレイユ。それに一度頷くと、ルシフェルは上空に漂っているフォルテに向かって口を開いた。
「まぁ、そう言う訳だ、フォルテ」
「ああ、わかった。今日はもう帰るさ・・・それからそこの少年?・・・ソレイユと言ったか?俺の名はフォルテ。以後よろしくな」
ソレイユに向かって名乗りを上げた後、それじゃと言ってサラマンダー領があるであろう方向へと飛んで行った。もともと敵意を感じなかったためソレイユとしては特に何をしようとも思わなかった。
「さて、と。んじゃ、改めてよろしくな」
「ああ、こちらこそよろしく」
それから、インプ領領主直々によるアルヴヘイム・オンラインの闘い方及びその他いろいろの講義が始まった。
「さてと、まずは魔法から入るか。今何の魔法をスロットに入れてる?」
「えっと・・・とりあえずベタなところで、闇属性魔法のみだけど・・・」
ステータスを確認しながら言うソレイユにルシフェルは一度頷く。
「よし。なら今開いてるステータス画面から闇属性魔法のアイコンを押すと習得している魔法名とそれのスペルワードと効果が表示されるはずだからやってみ?」
ルシフェルに言われるままに操作していくと確かにいくつかの魔法について表示された。
「基本的なものばっかだな・・・」
「まぁ、熟練度が上がっていけば他にもいろいろと覚えていくさ。さて、あとはスペルワードを覚えて、それを口にするだけなんだが・・・ただ文字列として覚えるよりも、単語の持つ意味を考えて、前後の繋がりで覚えるとやりやすいぞ」
それからソレイユは表示されたスペルワードを頭の中に叩きこんだ。もともと勉学面で苦労することは今までなかったので、この程度を覚えるくらいなんともなかった。
「覚えた」
「よし・・・じゃあ、ためしにあの岩に向かって撃ってみるか」
ソレイユたちより二回りほどデカい岩を差しながら言うルシフェルにソレイユは一度頷くと、魔法の詠唱を行った。直線的な軌道を描き繰り出された下級の魔法攻撃は岩に当たり弾けてしまう。
「おお~」
それでもどこか感動を覚えているソレイユにルシフェルは苦笑いをしている。
「今のは下級の攻撃魔法だったためああなったが、熟練度を上げていくうちにいろいろできるようになるさ」
「なるほどな・・・これはピュアファイターから魔法剣士に転職しないとだめだな」
「いや、このゲームタイトルにジョブシステムはないぞ」
「んなことはわかってるよ。物の例えだ」
それから何度か魔法を繰り出すソレイユにその都度ルシフェルがダメ出しを行い、あらかたソレイユのあら探しが終えると、しめにルシフェルは言った。
「魔法は正確に、速く唱えることでその有用性が増すから早口言葉の感覚で詠唱してみるといいかもな」
「了解、と。あとは・・・コントローラーを使わないで飛ぶ方法ってのを教わりたいんだが・・・?」
「それはいいが・・・飛行の感覚はつかめてるか?」
ルシフェルの言葉にソレイユは頷く。するとルシフェルはソレイユの背後に回ると肩甲骨の少し上の部分に手を置く。
「今触れてる部分はわかるな?」
「ああ、肩甲骨あたりだろ?」
「ああ、そうだ。コントローラーを使わないで飛ぶ方法・・・随意飛行と呼ぶものだが実際はイメージ力だけで飛ぶものじゃない。今触っているところから仮想の筋肉が伸びていると想定して、それを動かして飛ぶ」
「え、えっと・・・こう・・・」
恐る恐る肩甲骨あたりに力を入れてみると、羽がぴくぴくと反応している。
「いい感じだ。それをもっと強くやってみろ」
ルシフェルの言葉を受け、ソレイユが思いっきり力を入れていくと翅が急にピッチを上げて振動を始めた。それを見たルシフェルは軽くソレイユの背中を押した。
「ほらよっと」
「へっ・・・ちょ、おま、ま・・・う、うわあああっ」
いきなり別方向から力が加えられたため、溜めてた推進力も相まってソレイユは随意飛行に成功するも、力の制御の仕方がわからず目の前にあった岩へと顔面から突っ込んでしまう。
ズドンッ・・・ずるずるずる・・・べちっ・・・
やけに大きな音が鳴り響いた後、ソレイユはそのまま地面へと突っ伏しながらぴくぴくと体が痙攣していた。そこにルシフェルが苦笑いをしながら歩いてくる。
「おーい、大丈夫か?」
「・・・・・・一応」
頭を二度三度振るいながらのろのろと立ち上がるソレイユの瞳は恨めしげにルシフェルのことを睨んでいたが、当のルシフェルはあさっての方向を向きながらわざとらしく口笛を吹いていた。
「まぁ、あれだ。最初に痛い思いをしておいた方がいい。それが俺の教え方だ!」
「あっそ・・・まぁ、今ので大体つかめたよ」
「そうかい。それじゃ、いつまでもこんなところにいる必要はないんだし、さっさと領地へ帰るか」
そういって翅を展開すると、空中へ浮かび上がるルシフェル。それにならってソレイユも今まで教わったことを思い出しながら空中へと浮かび上がった。
「飲み込み早いな。それから、最後になるが大きく肩を動かしてると空中戦闘のときに色々困ることになっから、小さく動かすことを心がけろ。あと、旋回やターン、高速飛行なども覚える必要があるがそれは追々覚えればいいだろ」
それからルシフェルは教えられるだけのことをソレイユに教えながら領地へと飛んでいく。ソレイユもルシフェルに教わったことを反復しながら後を追う。
◆
ランディングを問題なく済ませ、領地に入って二人を最初に出迎えたのは、巨大な火の玉だった。インプ領でインプを殺すことはできないのだが、人としての原始的な恐怖心に従いソレイユとルシフェルは慌ててその火の玉を避ける。
「こんの、大馬鹿野郎がぁぁぁぁぁぁっ!!!!???!?!?」
次いで飛んできたのは女性の者と思しき怒鳴り声と高速で飛来する拳だった。ルシフェルは飛来するそれをどうにかすることができず、なすすべなく喰らってしまう。
「ぐはっ!?」
一応インプであるためダメージを喰らうことはないが、ノックバックぐらいは発生するらしく盛大に吹き飛んだ。それを見たソレイユはたった一言呟いた。
「どんだけの威力があるんだよ・・・」
背筋に冷たいものが走る。あれを喰らったルシフェルには心の中で黙祷を捧げることも忘れない。
「まったく、お前は領主という立場をわかっているのか!!というか、自覚しているのか!?」
「い、いや、あの、その・・・俺もこのゲームの一プレイヤーなわけで、だから、その、な、わ、解るだろ?」
仁王立ちする女性に正座しながら言い訳を述べるルシフェル。それを見ている周りのプレイヤーたちは、またかというような表情だったが一秒後には何事もなかったかのように二人を無視している。それを見てソレイユが思ったことはただ一つだった。
「名物か何かなのか?」
―――それから三十分後
あらかたの説教が終わったらしくルシフェルは立ち上がり説教していた女性は改めてソレイユに向きなおった。
「さて・・・見苦しいところを見せてすまないな。あたしはレヴィア。よろしくな」
「ソレイユです。こちらこそよろしくお願いします」
無難に自己紹介を終えると、レヴィアと名乗った女性はルシフェルを引きずって領主館がある方向へと歩いていく。ルシフェルがソレイユを巻き込もうとしたが、当のソレイユは今日はもうログアウトする旨を伝えたためルシフェルの無駄な抵抗は呆気なく散った。それからは、適当な宿に入るとあてがわれた部屋のベッドに寝転がりログアウトするためにメニューウインドウをいじる。
「できる、よな?」
宿の部屋には一人しかいないのでその問いに答える者はいない。恐る恐るログアウトボタンを押すと、二年前と違い正常にログアウトできるらしく確認メッセージが表示される。それに安堵し、OKボタンを押すと徐々に視界がブラックアウトしていく。こうして、ソレイユのALO一日目は終了した。
後書き
はぁー
ルナ「どうしたの?いきなり溜息なんかして?」
いや、最近思うように筆が進まなくて・・・それに色々忙しくて・・・
これじゃ、楽しみにしてくれている読者様に申し訳が立たないなっておもってね・・・
ルナ「楽しみにしてくれてる人なんているの?」
ぐはっ・・・き、君までそんなことを言うのか・・・
ルナ「だってさー、出番の恨みは恐ろしいんだよ!」
ぐっ、それをいわれると・・・
ルナ「まぁ、こんな作品ですが楽しみにしていただければ幸いです」
もうやめて、字伏のライフはもうゼロよ!
ルナ「それでは感想などお待ちしております(ペコリッ」
やめて、無視が一番心にぐさっっと来るんだよ!?
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