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トイプードルは気が強い

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第二章

「そうなのよ」
「あれか、元々狩猟犬だから」
「それでよ」
「狩猟だとな」
「生きもの捕まえるわね」
「追いかけてな」
「トイプードルは飼い主が撃ち落とした水鳥を取って来るけれど」
 水の中に入ってだ。
「そうする犬であまり追いかけることはね」
「しないな」
「けれど狩猟犬なのは事実だから」
 それでというのだ。
「気が強いのよ」
「そうなんだな」
「そうよ、だから自分よりずっと大きなね」
「雄犬にもか」
「危ないってね」
 車の方に行くと、というのだ。
「吠えたのよ」
「そうなんだな」
「本当にね」
 まさにというのだ。
「トイプードルは気が強いのよ」
「ふわりにしてもか」
「ええ、臆病ならマスが危ないとね」
「怖がって吠えないよな」
「自分のことじゃなくてもね」
 危機を見ればというのだ。
「怖がるわ、けれどね」
「気が強いからか」
「吠えたのよ」
「そうなんだな」
「そうよ、このことは覚えておいてね」
「トイプードルは気が強いか」
「元々狩猟犬だからね」
 こう息子に言うのだった、そして今はケージの中にいるふわりに声をかけた。
「ふわり、遊ぶ?」
「ワンッ」
 ふわりは母の言葉を受けて彼女の方に来た、そして彼女が出したおもちゃで遊びはじめた。その時は特に気が強そうではないが。
 その彼女を見てだ、洋介は母に言った。
「気が強いんだな、ふわりは」
「トイプードルだからね」
「今はそうは見えないけれどな」
「さっき見たでしょ」
「ああ、だからわかるよ」
 こう言うのだった、そしてだった。
 二人でふわりを見た、その目は自然と優しいものになっていた。


トイプードルは気が強い   完


                    2024・5・23 
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