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ハッピークローバー

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第百二十八話 人は強くなってもその九

「旅行はいいけれど」
「暮らすつもりはないのね」
「特に東京はね」
「災害が多いから」
「だからね」
 まさにその為にというのだ。
「別にいいわ」
「そうなのね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「あそこってね」
 東京はというのだ。
「旅行に行くなら」
「いい場所よね」 
 留奈も否定せずに応えた。
「結構以上に」
「そうよね」
「ただ災害多くて物価もね」
「高いので有名なのよね、東京って」
「しかもね」
 留奈はここで嫌そうに話した。
「巨人の本拠地だし」
「あそこのド真ん中に本拠地あるのよね」
「東京ドームがね」
 通称ビッグエッグという、全世界に邪悪の瘴気を放ち続けている文字通りの悪の巣である。
「あるしね」
「巨人があるのがね」
「嫌よね」
「そうでしょ」
 こう留奈に述べた。
「あそこは」
「巨人もう弱いけれどね」
「二十年連続最下位で」
 そうした状況でというのだ。
「昨日も負けたけれど」
「今年二度目の二十連敗ね」
「兎に角弱いけれど」
「不祥事ばかりだしね」
「そうしたチームだけれど」
 それでもというのだ。
「東京にいることがね」
「嫌よね」
 留奈もそれはと応えた。
「やっぱり」
「どうせならね」
 北海道の娘は忌々し気に語った。
「平壌によ」
「行って欲しいわね」
「独裁体質だしね、巨人って」
「オーナーがね」
「だから丁度いいでしょ」
 本拠地を平壌に移転させてもというのだ。
「勿論他のチームはあそこで野球しない」
「常にビジターね」
「それでペナントやるべきよ」
「いいわね」
 まさにというのだった。
「巨人については」
「もうあのチームは」
「平壌に行ってね」
 留奈は心から言った。
「本拠地そっちにして」
「あそこから日本に来るのね」
「あそこ日本と国交ないから」
 それ故に八条学園にもこの国の国籍の人間はいないのだ、総連関係者すらいないのがこの学園なのだ。
「行き来出来ないけれど」
「だからシーズンオフは帰って」
「あそこにね」
 平壌にというのだ。 
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