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金木犀の許嫁

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第十八話 忍の家その六

「名作を書いて欲しかったって」
「言っておられるの」
「そう」
 まさにというのだ。
「それでゲームも好きだし」
「ゲームって頭の体操になるしね」
「よくいい体操だって言ってる」
 頭のというのだ。
「そう」
「そのこともいいことね」
「うん、そして」
 そのうえでというのだ。
「俺達毎年伊賀に行ってるから」
「里帰り?」
「お婆さんがそうしてるから」 
 だからだというのだ。
「俺達も」
「そうしてるのね」
「そう。ちなみにお祖母さんも元気」
 彼女もというのだ。
「七十歳近くでも」
「お元気なのね」
「趣味は自転車」
 こちらだというのだ。
「毎日乗ってる」
「自転車なの」
「サイクリングも好きで」
 こうしたものもというのだ。
「よくやってる」
「それはいいことね」
 夜空は佐京の祖母の話を聞いて確かな声で述べた。
「いい運動よね」
「そう、ただお祖母ちゃん忍術は」
「どうなの?」
「自分が言うには才能がないらしいんだ」
「そうなの」
「そう、ただ俺達が見てると」
 そうすると、というのだ。
「かなり凄いと思う」
「そうなの」
「そう」
 まさにと答えた。
「才能がないどころか」
「ええと、誰かと比べて」
 四ぞアハ佐京のその話を聞いて言った。
「それでね」
「そう言ってるんだ」
「そうじゃないかしら」
「そういえば大叔父さんが凄いよ」
「忍術が」
「うん、お祖母さんのお姉さんの」
 そうした立場の人でというのだ。
「伊賀でも有名な忍者」
「そうなの」
「だから」
 そうであるからだというのだ。
「そのお兄さんと比べて」
「それでなのね」
「そう言ってるみたい」
「身近な人が凄いとね」
 夜空は文武両道と名高い姉のことを思い出して佐京に答えた。
「確かにね」
「コンプレックスを持つんだ」
「そうなるわね、私もお姉ちゃんが凄くて」
 真昼がというのだ。
「敵わないってね」
「思ってるんだ」
「子供の頃はね。ただお父さんとお母さんが私は私で」
「真昼さんは真昼さん」
「そう言ってくれて」
 それでというのだ。 
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