お客様は服装じゃない
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第二章
「人気ラッパーの丈太郎よ、コンサートでこっちに来てるのよ」
「ラッパーですか」
「そう、多分ここでスーツ買うのよ」
「そうなんですね」
「うちスーツのお店だからね」
それでというのだ。
「それを買うのよ」
「そうなんですね」
「ラッパーでもね」
そうしたジャンルの歌手でもというのだ。
「ちゃんとした服を着るわよ」
「公の場とかで」
「何度かうちに来てくれてるけれど実はあの人紳士だから」
「そうなんですか」
「礼儀正しくて謙虚な」
「外見はどうであってもね」
それでもというのだ。
「紳士だから」
「人は外見ではわからないですね」
「外見で判断しないで」
それでというのだ。
「ちゃんとね」
「接客することですね」
「ええ、ではね」
「これからですね」
「私が行くわね」
そのラッパーのところにだ、こう話してだった。
夏奈はそのラッパーと話した、夏奈が言った通り彼は非常に礼儀正しく謙虚な紳士で美奈代はその彼を見て心からわかった。
そしてだ、彼との仕事を終えて戻って来た夏奈に言った。
「本当に人は外見で判断したら駄目ですね」
「そして私達もね」
「公平にですね」
「接客しないとね」
そうしなければというのだ。
「駄目よ」
「そうですね」
「今日であらためてわかったわね」
「はい」
美奈代はまさにと応えた。
「それじゃあ見掛けで判断せず公平に」
「接客していきましょう」
「そうします」
こう話してだった。
二人はそうした接客をしていった、すると二人の評判も店の評判もその分よくなった。とあるかなり大きな政令指定都市の話である。
お客様は服装じゃない 完
2024・5・16
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