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神々の塔

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第六十七話 竜殺しの英雄その十一

「もう誰からも信用されてへんから」
「だからですか」
「報い受け続けてるから」
 それ故にというのだ。
「そうせんでええで」
「そうですか」
「そやで、しかし」 
 綾乃はさらに言った。
「ドラゴンでも恋愛あるんやね」
「家同士の結婚もありますが」
「そっちもあるんやね」
「左様です、そこは人と同じです」
「そのこと覚えとくわ」
「そうして頂くと何よりです」
 ホワイトドラゴンは答えた、そしてだった。
 一行は彼と別れてさらに上に進んだ、そうして神霊達のいる階に行くとジークフリートに言われた。
「話は聞いた、恋愛は地獄にもなるか」
「その話します?」
「聞いたからな」
「そうですか」
「全く酷い話だ」
 綾乃に怒った声と顔で言ってきた。
「失恋だけでなく裏切りにも遭い」
「周りにもめっちゃ言われました」
「古傷を抉られ続けたのだな」
「そうです」
「それは確かに地獄だ」
 ジークフリートから見てもだ。
「私はそんなことはしない」
「人が失恋しても」
「友を裏切ることもしないしだ」
 さらに言うのだった。
「また言うこともだ」
「しませんか」
「そんなことをして何になる」
「裏切りに口での攻撃は」
「私の嫌いなものだ」
「どちらもですか」
「忌み嫌っている」
 こう綾乃に述べた。
「記憶にあれば裏切らず」
「口で言うこともですか」
「私は剣で戦う者だ」
 そうであるからだというのだ。
「口ではだ」
「戦わへんですか」
「そうだ、だからな」
「口では言わへんで」
「そもそも人の失恋を言う趣味はない」 
 それすらないというのだ。
「誰でもあることだな」
「失恋は」
「人に言うとだ」
「自分もですね」
「言われる覚悟はあるか」
「言われて傷付くなら」
「言うな、そして私は戦うが」
 剣で以てというのだ。
「しかしだ」
「口では戦わへんで」
「心を傷付けることもしない」
 それもしないというのだ。
「決してな」
「そうなんですね」
「姑息な真似はしない、そして戦でもな」
「それは同じですね」
「この剣に賭けて戦う」
 右手に持つそれを前に出してだ、綾乃に答えた。 
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