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ポケットモンスター対RPG

作者:モッチー7
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第5話:怪奇現象はポケモンにお任せ

魔王軍所属のモンスターと同一視されて極悪害獣と勘違いされているポケモンの地位向上を目指すポケモントレーナーのグートミューティヒは、美少女並みに滅茶苦茶可愛い。その上、回復魔法と転送魔法を上手く利用して膨よかな美乳をキープしている。
そんなグートミューティヒが森の湖の中で一糸纏わぬ華奢な裸身を晒していた。
しかしそこへ、淫靡な笑みを浮かべながら近づく一行がいた。
「へへへ、なかなか可愛いじゃねぇか」
「ガキのクセに良い胸してるじゃねぇか」
「ひとしきり楽しんでから人買いに売っちまいましょう」
どうやら、グートミューティヒに対して良からぬ行動を犯そうとしている様子である。
だが、そんな彼らの邪悪で淫靡な企みは直ぐに砕かれる事になる。
「ピカァー!」
事前にスタンバイしていたフシギダネ、ブビィ、ピカチュウ、バニプッチ、フカマル、ポワルン、ズバット、メタモンがそんな外道な盗賊に襲い掛かる。
「何!?このエリアにはモンスターがいない筈だろ!?」
一方の盗賊達は不意打ちを喰らったからか完全に一手遅れた。しかも、何故か既にズボンを脱ぎ始めていた気の早い者もいたので、それが盗賊側の混乱を更に助長した。
「何やってんだ!?早く追っ払え!」
「ちょっと待ってくれ!足が!」
その間も、ピカチュウ達がグートミューティヒに猥褻な行為を行おうとした盗賊達を容赦なく襲う。
そこへ、グートミューティヒが湖から出て来た……が!
「え……小僧の……子象?」
グートミューティヒの股間を見た盗賊達が一瞬固まる。その間もピカチュウ達が襲い掛かっているのにである。
「男だとおぉー!?テメェ騙しやがったなぁ!」
騙された気分になった盗賊達が絶叫する中、グートミューティヒが呪文を詠唱する。
「騙しやがってぶっ殺してやる!」
「猥褻罪と人身売買の常習犯の君達には言われたくないよ。エンジェル!」
グートミューティヒが放った光弾が盗賊のボスに命中する。
「ぐええぇーーーーー……」
そして、壊滅状態の盗賊を縛り上げたグートミューティヒが彼らを尋問する。
「で、人質はどこだ?」
因みに……諄い様だがグートミューティヒは美少女並みに滅茶苦茶可愛い女装好き男子で、膨よかな美乳も回復魔法と転送魔法を使って制作した混合性女性化乳房である!

グートミューティヒは先程倒した盗賊達を近くの街の駐在所に引き渡すと、誰にも気づかれない様に歯噛みした。
結局、例の盗賊達に捕まった女性達は、良くて強姦、最悪既に他の誰かに売られていたからだ。
「これで人質もといけばもっとカッコ良かったんだけどなぁ……」
そんな時、複数の男性がポスターと睨めっこしていた。
「ちょっと安いかなぁ?」
「正体不明の割にはな」
「でも、倒せば金が貰えるんでしょ?」
「そうだな……行ってみるか」
男達が去ったのを確認したグートミューティヒがポスターを見て視ると、
「手配書……謎の黒い幽霊……」
グートミューティヒはふと嫌な予感がした。
(現場で暮らすポケモンがまた悪いモンスターと勘違いされているのか?)
その証拠に、先程の男性達の言う通り、手配書が出回っている割には懸賞金が少ない。
それに、ポケモンの中にはゴースト系と呼ばれる幽霊の様なポケモンもいる。
「これは……急いだ方が良いかも!」
だが、賞金稼ぎとグートミューティヒはここで小さくてしょうもないミスを犯した。
黒い幽霊の手配書の隣にあるボロボロの手配書を見落としたのだ。しかも……

賞金稼ぎにバレない様に少し距離を開けて尾行するグートミューティヒ。
すると、
「エーン!エーン!」
「赤ん坊!?どこだ!?」
賞金稼ぎ達が人気のない場所で鳴り響く子供の夜泣きに驚く。
そして、その1人がある予想を口にする。
「これ、もしかしたら例の幽霊の鳴き声かもしれませんぜ?」
「そうなのか?」
「だって、あの手配書に描かれた絵、なんか幼そうだったし」
「なら、この声を追えば、って事か?」
一方、遠くでこの様子を観ていたグートミューティヒには、ちょっとした身に覚えがあった。
(ゴーストタイプのポケモンの中に、鳴き声を武器にするポケモンがいた筈……だとすると、声の主は)
「エーン!エーン!」
周囲を警戒しながら鳴き声を追う賞金稼ぎ。それを静かに追うグートミューティヒ。
「くそぉ……どこに隠れてやがる?」
「なんか、腹が立ってきたぜ」
「見つけたらぶっ殺してやる」
そんな中、賞金稼ぎの1人が木々に隠れた小屋を発見する。
「あの中じゃないですか?」
「確かに見るからに怪しそうだが……」
すると、さっきまでしつこく泣いていた鳴き声がピタリと止んだ。
それで賞金稼ぎは確信した。
「やはりあの中か?」
「今更泣き止んだって事は、図星って事だろ?」
「へ、もう袋の鼠だぜ」
一方、グートミューティヒは逆に混乱した。
「このタイミングで泣き止んだ!?目立ちたがり屋で努力家だった筈じゃ!?」
で、賞金稼ぎが臨戦態勢で扉を開け、グートミューティヒがモンスターボールを握り締める。

見るからに怪しい小屋に雪崩れ込んだ賞金稼ぎ達は、ボロボロの男性を発見して困惑した。
「……誰だお前?」
「どう視ても……幽霊には見えませんすねぇ」
賞金稼ぎが予想外の展開に呆れる中、発見された男性は突然怒鳴り散らした。
「貴様!あの愚かな淫売の手下か!?」
言ってる意味が解らず返答に困る賞金稼ぎ。
「仲間?俺達はしつこく夜泣きする黒い幽霊の後を追って―――」
だが、男性は聞く耳を持たない。
「嘘を吐くなぁー!」
遂には剣先を突き付けられて更に困惑する賞金稼ぎ。
「いや、嘘じゃねぇよ!アンタだって聞いた筈だろ?」
だが、男性の方は賞金稼ぎの言い分を自分勝手に解釈する。
「それだって貴様等の自作自演だろう!このわしに嘘は効かぬぅ!」
無論、賞金稼ぎにとっては理解に苦しむ言い分である。
「何言ってんだこのおっさん。賞金稼ぎが賞金首に成り下がってどうするんだよ」
とまあ、このまま謎の男と賞金稼ぎ達との会話は平行線を辿るだけかと思われたが、賞金稼ぎの1人がこの男について何かに気付いてしまった。
「あー!こいつまさか!?」
「なんだよお前?この変なおっさんの知り合いかよ?」
「知り合いも何も、こいつマルス王ですよ!」
男性の正体を知った途端、賞金稼ぎ達はビックリ仰天する。
「マルス王だと!?」
「革命軍が血眼になって捜索しているって言う!」
「何でそんな大物がこんな所に転がってるんだよ!?」
一方、賞金稼ぎ達の驚き様を見て勘違いが更に悪化する。
「やはり……貴様等もしつこい夜泣きも、あの阿婆擦れ雌豚の差し金だったんだなぁ!」
マルス王の自分勝手な解釈によって漸く冷静さを取り戻した賞金稼ぎは、諭す様に否定した。
「雌犬って、素はと言えばアンタが軍事力強化を目的とした増税が高過ぎるからいけねぇんだろ?」
「アンタがかつて支配していた国の国民が、アンタをどう呼んでいるか知ってるか?」
「軍拡馬鹿だとよ。まるで軍拡しか能が無いみたいにな」
「それによ、アンタを捕まえに来た革命軍が、何が楽しくて毎日アンタの隣で夜泣きしなきゃいけないんだ?」
しかし、マルス王の自分勝手な解釈は一向に止まらない。
「黙れ!何も知らぬ愚民共を言葉巧みに騙して大罪を犯させた阿婆擦れ雌豚の思い通りにはさせん……阿婆擦れ雌豚の好きにはさせんぞぉ!」
マルス王が遂に賞金稼ぎ達に襲い掛かるが……
「おいおい、ちゃんと食事してますか閣下?」
マルス王の振り上げが物凄く遅く、振り下ろしも剣の重量任せ……
戦い慣れしている者から視れば、正に『剣に使われてる』状態だった。
だが、それでもマルス王は諦めない。
「我が国はわしの物じゃ!あんな阿婆擦れ雌豚如きに渡してなるものかぁー!」
一方、賞金稼ぎ達は回避に徹した。そうする事でマルス王の疲労を待つ心算だったのだ。

そんなマルス王と賞金稼ぎとのやり取りを遠くで観ていたグートミューティヒは、あるポケモンがマルス王に取り憑いた理由を察した。
(なるほどね……あの夜泣きの狙いは、マルス王の諦めの悪さを刺激してマルス王の猜疑心を助長する事だったか)
グートミューティヒの予想は正しかった様で、賞金稼ぎ達がこの小屋にやって来るきっかけを作った黒い幽霊が、マルス王と賞金稼ぎとの戦いを混乱に導こうと口を開こうとすると、グートミューティヒがそれを制止する。
「もう止せ。これ以上マルス王を苦しめても、君が望む量の生命エネルギーは手に入らないよ」
マルス王を毎晩夜泣きで苦しめていたのは、グートミューティヒの予想通り『ムウマ』であった。
ゴーストタイプのポケモンであるムウマは、あの手この手で誰かを怖がらせる事が大好き。夜中に突然泣き叫ぶような声を上げたり、背後から髪に噛みついて引っ張ったり、突然目の前に現れてみたり、そうやって驚かせて人が怖がる心を利用して首にかけた赤い珠のネックレスに生命エネルギーを集めている。それ故、驚かす練習をする事まで欠かさない努力家なポケモンでもある。
だからなのか、グートミューティヒはムウマがマルス王に取り憑いていた理由がよく解った。
「戦いに敗れ、権力を失い、逃げる以外の言動を全て奪われた暴君。逃亡に失敗した時点で死を意味する彼なら、何したって驚いてくれると思ったんだろうとは思うが……」
必死に剣を振り回すマルス王だが、その太刀筋は素人のそれにも届かない貧弱なモノ。
マルス王は既に瀕死の枯れ木だ。誰かが切り倒さずとも、自ら倒れる定めの者。
最早、マルス王を驚かせて何の得が有るのか?そこまでの価値が有るのか?
マルス王自身は未だに復権や返り咲きを狙っている様だが……
「それに、あの男を狙っている連中は、黒い幽霊である君も狙っていた。もし彼らに君の事がバレたら、君もあの男の様に捕まって……」
グートミューティヒは1度言葉を切り、再びマルス王の方を見た。
すると、遂に疲労の方が勝ったのか、マルス王は剣を持ち上げる事すら出来なくなっていた。それでもなお、賞金稼ぎ達に捕まるまいと剣先を引き摺りながら剣を振り回す。
既に剣先を床から離す事すら出来ないていたらく。最早勝敗は決したも同然にも拘らず、それでも自分を軸にしながら剣を回すマルス王の姿は、どこか滑稽であり、どこか醜くあり、どこか哀れであり、どこか悲しげである。
そんなマルス王の末路に、グートミューティヒは極悪害獣と勘違いされて迫害されて駆除されるポケモン達と重なってしまった。マルス王は自業自得でポケモンは無実と言う違いがあるにも関わらずである。
「これ以上あの男と一緒にいても、あの男の様に破滅するだけだよ。僕はそんな君を見たくないし、そうはさせない!」
だから、グートミューティヒはムウマが欲しがる物を提示する為にある提案をする。
「それより、僕達と一緒に魔王軍に寝返ったモンスターを驚かせてやろうぜ!ポケモンと違って人間と仲良くしない悪いモンスターを懲らしめる為に」
すると、モンスターボールからピカチュウが勝手に出て来てムウマを説得する。
そんなピカチュウの言葉を聴いたムウマは、無抵抗でグートミューティヒの空のモンスターボールの中に入った。
「ありがとう、ピカチュウ。ムウマ」
グートミューティヒに礼を言われたピカチュウは、嬉しそうに鳴いたのであった。

後日、抵抗虚しく賞金稼ぎ達に捕まったマルス王が、革命軍の手によって処刑された。
それでもなお復権と返り咲きを諦めていないマルス王は、軍事力の必要性と軍事費として使われる筈だった資金を福祉や教育に回す革命軍の愚かさを訴えたが、過剰な増税に苦しんでいた国民の耳に届く事は無く、寧ろ、マルス王の死を知ってお祭り騒ぎの様に大喜びしたそうだ。
そんなマルス王に対し、グートミューティヒの意見は、
「力はただ強ければ良いってモノじゃない。自分の身と大切なモノを護れて、それでいて相手の恐怖心を煽らずに済む、そんな絶妙なバランスが1番なのさ。そんな黄金比を無視するから、ムウマの様な恐怖を煽って利用しようとする敵を呼び寄せる結果になった……そう言う事さ。でも……」
マルス王の軍事力強化を目的とした増税に反対しつつも、何度も迫害されて駆除されるポケモンを見て来たグートミューティヒはムウマに追い詰められて賞金稼ぎ達に捕まったマルス王の弱々しさに同情の念を持ってしまう。
「それでもやはり、自分の意見が誰にも受け入れられないのは……悲しくて寂しいよな……」 
 

 
後書き
グートミューティヒの所有ポケモン

フシギダネ → フシギソウ → フシギバナ

フカマル → ガバイト → ガブリアス

ブビィ → ブーバー → ブーバーン

バニプッチ → バニリッチ → バイバニラ

ズバット → ゴルバット → クロバット

ピチュー → ピカチュウ

ポワルン

メタモン

ムウマ 
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