金木犀の許嫁
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第十七話 生まれ変わりならその一
第十七話 生まれ変わりなら
幸雄が猿飛家に来て暫く経った、一緒にご飯を食べて話したりする日々が続いた。その中でだった。
真昼は穏やかに微笑んでテレビを観る彼を見て白華に話した。
「幸雄さんって人の悪口や不平言わないわね」
「そうしたことは言わないんですよ」
白華は真昼ににこりと笑って答えた。
「絶対に」
「いい人って聞いていたけれど」
「実際にですね」
「ええ」
真昼はまさにと答えた。
「そうした人ね」
「ですから私達もです」
白華はにこりとしたままさらに話した。
「お慕いしています」
「そうなのね」
「主家筋の方ですし」
「真田家の方ね」
「そのこともありまして」
それでというのだ。
「お慕いしています」
「ご先祖みたいな主従関係じゃないわよね」
「それはないですが」
それでもというのだ。
「一人の人としてです」
「お慕いしているのね」
「はい」
まさにというのだ。
「そうしています」
「そうなのね」
「本当に悪口や不平はです」
「言われない人なのね」
「いつも穏やかに微笑んでおられて」
今の様にというのだ。
「そして人の道をご存知の」
「そうした方なの」
「何でも禅宗の老師さんにです」
「禅宗の老師さんって偉い人よね」
「僧正になりますね。教えを授けられる方です」
「そうした方ね」
「はい、その方からです」
幸雄、彼はというのだ。
「出家されて僧侶になられたら」
「禅宗の」
「その時はです」
笑顔だが真面目なものを語る口調だった、真実を語るものだった。
「高僧、悟りを得られる様な」
「そこまでのなのね」
「方になられるとです」
その様にというのだ。
「言われていました」
「そうだったのね」
「そして武芸につきましても」
こちらでもというのだ。
「槍術の免許皆伝ですから」
「忍術もされて」
「そちらの鍛錬からも心を鍛えられています」
「素晴らしい方ね」
「はい」
まさにというのだ。
「あの方は。強く言うことはです」
「ないのね」
「どなたにも」
「穏やかな方だから」
「はい、それでなのです。ですがいつも穏やかで礼儀正しくて」
このことは事実であってというのだ。
「お優しくて謙虚で」
「悪口や不平を言わない」
「素晴らしい方です」
「噂に聞いていた通りね」
「常に努力されていますし」
「お仕事のことでも」
「読書でも。哲学書等もです」
そうした本もというのだ。
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