ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル
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第136話 女の戦い!魔王セラフォルー・レヴィアタンの本気!
前書き
カトレアが使う漫画のキャラの技は全部本物の劣化になっていますのでお願いします、じゃないとチートすぎますので。
後カトレアとセラフォルーのオリジナルの過去を作っています。
side:フリード
俺にとって『生きる』というのはなんの喜びも見いだせないつまらなく意味のないものだ。
俺は英雄シグルドのクローンとしてこの世に生を受けた。物心がついた頃には悪魔や異形を殺す特訓に明け暮れていて人が言う青春とかなどは一切なかった。
家族はいなかったが俺と同じクローンの連中は何人もいた、だが誰とも仲良くはならなかった。
俺たちを教育していたやつらの方針だ、なんでも『なれ合いは油断と弱さを招くから一人で強くなれ、自分こそが第二のシグルドになってやる!例え同僚を蹴落としても!そんな意識を持て!』……とのことらしい。
まあ今ならこれが俺達が徒党を組んで反逆しないようにするのが目的だったって分かるけどな。
だが当時の俺は純粋でこれを信じていた。あっ、信じられないって?ひでぇな、俺がこれでもエリートだったんだぜ?
俺はシグルド機関でトップクラスの実力を誇っていた。いつか新たなシグルドになって教会のために働くことを本気で夢見ていたんだ。
俺もある程度成長して悪魔や吸血鬼退治に明け暮れていたある日のことだ、任務から帰還した俺は報告を終えて寝ようとしたが一部報告の忘れがあったことを思い出して施設を運営している大人たちのいる部屋に向かった。
するとその部屋から下品な笑いが聞こえた、それは大人たちのものでどうやら酔っているみたいだ。
「はははっ、本当に笑いが止まらないな!」
「ああ、馬鹿なガキどもを騙して権力者様の邪魔になる人間を殺させて我々は金を得る……最高のビジネスだ」
「教会のためと言えばなんでもやるからな、実に使い勝手の良い道具どもだ」
……はっ?こいつらは何を言ってやがる?
当時の俺は頭が真っ白になった。確かに人間の暗殺もさせられたことはあったがそれは神に仇なす不届き者だからと聞いていた。
「しかし奴らも哀れなものだ、もういない主を信仰して命を懸けて戦っているのだからな。実に滑稽だ」
「おい、その情報は確定したモノじゃないだろう?そんな事を天使どもに聞かれたらどうする!」
「構うものか。天使どもは必至で隠しているが察しの良い人間は感づいている、聖書の神は死んだとな」
次に与えられた情報は俺が今まで信じていた神を否定するものだった。だが俺が何よりも信じられなかったのが……
「しかしそろそろクローンどもの寿命が尽きる頃です。新しい奴を作らないといけません」
「これが面倒なんだよな、クリーンは寿命が短い。長くても20までしか生きられん」
「今一番の稼ぎを出しているフリードもいつ死ぬか分かりませんからね、早めに後釜を用意しておかないといけませんね」
俺達がもうすぐ死ぬという言葉に俺は何も言えなくなってしまった。既に10代中半、あと数年で俺はお陀仏だと?
信じられなかった、いや信じたくなかった。だってそうだろう?今まで信じていた神、やってきた行い、そして俺の人生の何もかもが意味がなかったって事じゃないか。
あんな連中に好きに利用されて材後はゴミのように捨てられる……それが俺の人生だって言うのかよ?
俺はフラフラと足取りを重くしながらその場を後にした。
そして後日隙をついて奴らの部屋に侵入してある資料を見つけた、それは英雄シグルドのクローンについてのことだった。
「……」
そしてそこにも俺達は長生きできないと書かれていた、あいつらが言っていた事は事実だった。
「……キヒッ」
それが分かったとたん俺の中で何かが切れた、気が付けば剣を振るい銃をぶっぱなし施設を運営していた大人どもを血祭りにあげていた。
「フリード!貴様狂ったか!?」
「イエ~ス、ボクちん狂っちゃった~♪」
「お前ら、奴を殺せ!」
施設で一番偉いデブの言葉に俺と同じシグルドのクローンの同僚たちが襲い掛かってきた。
「なんてことを!」
「裏切者め、我らが正義の刃で死ね!」
神や教会の連中を盲信しながら突っ込んでくる同僚たちを冷たい視線で殺していく俺、下手をしていたら俺もこんな風になっていたかもしれないと思うとゾッとするぜ。
「わ、私を殺す気か!?待て!考え直せ!」
「俺はあと数年の命なんだろう?」
「ど、どこで聞いた!?何処の馬鹿が情報を漏らしたんだ!」
「お前らだよ」
「へっ?」
その一言でキョトンとしたデブの顔は傑作だったな。その後デブは腹を銃弾で風穴を開けまくった後にゆっくりと四肢を徐々に切り落としダルマにした。
そしてガソリンをぶっかけて施設ごと燃やしてやった。
「さぁて、好きにやらせてもらうかね」
俺は自由になった、今までできなかったことを残りの人生で楽しんでやる。俺はそう思い燃える施設を後にするのだった。
その後俺は好き勝手に生きた。美味い飯をたらふく食って酒に酔いしれる、娯楽も存分に楽しんだ。金はその辺のクズから奪って時にはエロい女も犯してやった。自由気ままに生きていたが俺の心はまったく満たされなかった。
(つまんねぇ、なんで他の連中はこんなことして楽しいんだ?俺には全く理解できないね)
酒を一気飲みしながらアジトにしていた廃墟で一人呟く俺、好き勝手に生きてやったのにまったく面白くもない。
「貴方がフリードね」
「あん?」
そんな時だった、数人の堕天使が俺のアジトに来たんだ。
「私はレイナーレ、いずれはアザゼル様に愛されて至高の堕天使となる者よ。覚えておくと良いわ」
「……それでその至高の堕天使様がなんの用で?」
「貴方、強いんでしょう?私の部下として雇ってあげるわ。光栄に思いなさい」
そう言ってあざ笑う堕天使の女、一瞬殺してやろうかと思ったが退屈していた俺はその誘いに乗ることにした。
そしてレイナーレの部下になったが結局退屈なのは変わらなかった。今日も生贄になるアーシアちゃんと一緒に悪魔を召喚した奴をぶっ殺していく。
(もう飽きたなぁ……いっそ俺がレイナーレの企みを潰してやろうか?そうすりゃあのヒステリック女は滅茶苦茶キレるだろうしなぁ)
俺はレイナーレの計画を台無しにしてやろうかと考えた。
まず手始めに奴が執着しているアーシアちゃんを犯して殺してレイナーレに付きつけてみようと思った、きっと奴らはブチ切れて襲い掛かってくるだろう。
そしたら奴の部下である3人の堕天使の首を切り落としてレイナーレもダルマにする、その後は玩具として遊んでやろう。
俺は頭の中でそう計画して実行しようとした。だが……
「何か壁にかいてあるぞ、これは…」
「『悪い事をする人はおしおきよ!』って聖なる言葉を借りたものさ」
あの日、俺は兵藤一誠と出会った。
最初は迷い込んだ一般人かと思った、アーシアちゃんと知り合いなのは偶然とはいえ面白いと思いこのままコイツをダルマにして目の前でアーシアちゃんを犯してやろうと思った。
だが気が付いたときには俺は顔面を殴り飛ばされて気絶していた。しかも命を奪わずに放置までされる始末……!
(ふざけやがって!俺は殺す価値も無いってか!?こんなにも舐められたのは生まれて初めてだぜぇ……!!)
「フリード!アーシアを奪われるなんてとんだ無能ね!期待した私がバカだったわ!そもそも愚かしい人間が……」
俺は怒りで頭の中が染まっていた。アバズレクソビッチ堕天使がなにか叫んでいたが俺は気にもしなかった。
そんなことよりどうやってあの野郎を殺すか、それしか頭になかったからだ。
だが鈍っていたとはいえシグルド機関で殺しの教育を受けていた俺を一瞬で倒した奴だ、悔しいが今のままでは勝てないと判断する。
俺はレイナーレにアーシアのいる場所を突き止めてくると適当にでっち上げて逃げた。後になって知ったがレイナーレ達はイッセーにボコボコにされたらしい、まあそうなるわな。
「取り合えず鈍っていた感を取り戻すか」
俺は逃亡を続けながら悪魔や堕天使、妖怪などを狩ってかつての感覚を取り戻そうとしていた。そんなある日のことだ、また俺に接触してきた奴らが現れた。
「貴様がフリードか?人間にしては中々良い闘気を感じるな」
「あんたは?」
「俺はコカビエル、貴様も名前くらいは聞いたことがあるだろう?」
そいつはレイナーレと同じ堕天使だったがあのビッチとは気迫も強さも全くの桁違いなことを感じ取った俺は冷や汗を流す。
そしてコカビエルという名前を聞いて納得した。しかしそんな大物がどうして俺に接触してきたんだ?
「俺は三大勢力の戦争を再び起こそうと考えている、その為に教会からエクスカリバーを奪い天使どもを駒王町に呼び寄せて悪魔も巻き込む騒動を起こす、そして戦争になる……といった作戦を考えている」
「駒王町……」
「俺の協力者であるバルパーは最強の聖剣を生み出そうとしているがそれを振るう者がいない、そこでお前の噂を聞きこうして勧誘しに来たという訳だ」
「最強の聖剣ねぇ……」
「お前は俺と同じで平和など飽き飽きしているタイプだろう?俺と一緒に好き勝手に争うを巻き起こしてみないか?」
俺は最強の聖剣という言葉に興味を持った。それがあればイッセーに勝てるかもしれない。
「……良いっすよ、あんたと一緒なら楽しめそうだ」
そして俺はコカビエルの部下になった、そして教会を襲撃していくつかの聖剣を奪った。
俺は天閃の聖剣を貰い遂にイッセーと再会を果たす、そしてリベンジをするべく奴に挑んだ。
結果は惨敗、奴は想像以上に強かった。結局また顔面を殴られてバルパーに助けられる始末だ。
(クソッ!なんで勝てないんだ!俺に何が足りない……!まだだ!まだ諦めねえぞ!最強の聖剣があれば今度こそ……!)
アジトで潰れた鼻を抑えながらそう恨み言を言う俺、だがこの時心の中に憎しみ以外の感情が生まれていたことに俺は気が付かなかった。
その後聖剣を5本揃えて最強の聖剣を生み出した、コカビエルがイッセーと戦い始めたので俺は仕方なく取り巻きどもと戦った。
だが奴らは強かった。リアス・グレモリーの眷属の剣士を追い込んだと思ったら天然の聖剣使いにイノセンス使いというご都合主義に劣勢に追い込まれた。
それでもまだ何とか出来ると思った、不意打ちに近い形で滅多打ちにされたが種が分かればやりようはある……そう思い聖剣を構えたが何かが腹を貫通した。
それはグルメ細胞で変異したバルパーの尻尾だった。まさか味方から攻撃されるとは思っていなかった俺は致命傷を負ってしまった。
(ふざけんな……まだ俺はイッセーに勝ててないんだぞ……!?)
大量の血が流れていく中俺の意識は薄れていく、このままリベンジも果たせずにゴミみてぇに死ぬだと?
(死んでたまるか!俺はイッセーを殺す……!ようやく見つけた生きがいを失って溜まるか!)
ずっと生きる意味に飢えていた、心から生きていて良かったと思えることを実感して見たかった。
そして俺はついに見つけた。憎しみだけでなく純粋に勝って奴を超えたいという欲求が出来たんだ。
必死に生に手を伸ばそうとした時、俺の中で何かが目覚めたような気がした。体から力が湧き上がってがむしゃらにその場を後にした。
そして気が付くと俺は見知らぬ空間にいた。
「なんだ、ここは?」
「目が覚めましたか?」
「あんたはコカビエルに接触した……」
「ジョアと言います」
「曹操だ。気を失って倒れていたお前をここに運んだのは俺さ」
そこにいたのは俺達に接触してきた道化師のような恰好を舌男と槍を持った男だった。
「お前らが俺を助けてくれたのか?何が目的だ」
「そう警戒しないでください。私が貴方を助けたのは利用価値があると思ったからです。とりあえず食事でもいかがですか?」
「……よこしな」
俺は何故か異様に腹が減っていたので毒があるかもしれないのに差し出された料理を口に運んだ。
「な、なんだッ!?こんな美味いものは初めて食べた……!?」
今まで食事など一度も楽しめなかった俺が初めて美味いと思った。
「美味しいでしょう、それはグルメ界の食材で作った料理です。この世界の貧相な食材では決して出せないのがその旨味です。もっとも貴方はグルメ細胞に目覚めたのでより美味しく感じるのでしょうが」
「グルメ細胞?それってあんたがコカビエルやバルパーに与えたあの細胞か?でも俺にはくれなかったじゃねえか」
「当然ですよ、貴方は既に持っていたのですから」
そして俺はジョアからグルメ界について話を聞いた、グルメ細胞やGODなど様々な情報を一気に与えられた俺は正直混乱した。
「……異世界にグルメ細胞、俺のオリジナルである英雄シグルドはそこの人間……頭が痛くなってきたぜ」
「ですが事実です」
「みたいだな……それであんたは俺に何を望むんだ?」
俺はジョアにそう聞いた。さっきも利用価値があるとか言っていたし何かさせる気ではあるんだろう。
「話が早くて助かります。貴方には私が研究している『究極の肉体』を生み出すための実験台になってほしいのです」
「究極の肉体だぁ?ついさっき最強の聖剣とかを失敗したばかりだぜ?」
「そんな愚かしいものと私の計画を一緒にしないでください。その実験で貴女に強いボディを与えてあげますよ、その聖剣など棒切れに感じる程のをね……」
「……リスクはあるんだろう?」
「当然あります。まだ試作段階なので寿命をどうしても縮めてしまうのです。その体になったら恐らく1年ほど、全力で戦えば1日しか生きられないでしょう。しかし貴方にはもう時間がないのでは?」
「……」
俺はその言葉を聞いて考えた。イッセーも同じグルメ細胞を持っていて既に壁とやらを超えているらしい。仮に俺がグルメ界の食材を食っても追いつくのには10年近くはかかるらしい。
俺にはもう時間がない、残された時間でイッセーと決着をつけるなら他に道は無いと判断した。
「やってやるさ、どうせ長くない命だ。ならそれを捨ててイッセーに勝ちに行った方が絶対にマシだ」
「……ふふふっ、やはり貴方を拾って良かった。その執着心と狂気、実に素晴らしい」
そして俺はジョアと手を組むことにした、そして俺は強い肉体を手にすることが出来たんだ。
「イッセー、お前は運が無かったなぁ。俺はゴキブリよりしつこくしぶといぜぇ?お前に勝つか俺が死ぬまで一方的に付きまとってやる」
俺は狂気の笑みを浮かべて打倒イッセーを改めて誓うのだった。
―――――――――
――――――
―――
side:セラフォルー
「アイス塊!暴雉嘴!!」
「鏡火炎!!」
氷で作られた巨大な雉と分厚い炎の壁がぶつかり白い蒸気が辺りを包み込んだ。
「アイスサーベル!」
「火炎・竜王!」
私は氷の魔力で剣を生み出して斬りかかる、それに対してカトレアちゃんは炎の爪を生み出して対抗してきた。
剣と爪が交差して激しい斬り合いになる、そのまま鍔迫り合いになってカトレアちゃんと視線が合った。
「カトレアちゃん、本当に強くなったね!昔は直に決着がついちゃったのに!」
「いつの話をしていますの!私はもうあの頃の弱かった私ではない!」
カトレアちゃんは私を押しのけると拳に炎を集めてそれを巨大化させる、私も拳に氷を纏わせて大きくする。
「火拳!」
「氷拳!」
そして炎の拳と氷の拳が激突して辺りに衝撃が走った。
「あはは!私達そっくりな技を出したね!やっぱりカトレアちゃんとは気が合うよ!」
「偶々ですわ!貴方と感性が一緒だなんて死んでも御免ですので!」
「つれないなぁ」
私は氷でできた槍を二本生み出して手に持った、そして勢いよく投げつける。
「アイス塊!両棘矛!!」
「神火・不知火!」
カトレアちゃんは両手を振るい炎の槍を二本出して相殺した。
「火炎・十字架!」
「アイスビーム!」
カトレアちゃんは指を十字架にして炎の光線を放った。あはっ、悪魔なのに十字架使っちゃうんだ。かっこいいー♪
それに対して私は指先からジグザグに軌道を描いて飛ぶ氷の光線を放ちまた相殺した。
「火脚!」
カトレアちゃんは足の裏から黒い炎を出して加速して距離を取った。
「火銃!」
そして両手を銃のような形にすると指先から炎の弾丸を放ってきた、私はそれをすべて回避する。
「蛍火……船霊!」
だが放たれていた炎の弾丸が消えずに私の周りを徘徊していた。そしてそれらが幽霊のように動き出して襲い掛かってきた。
「わおっ♪私が動く場所をあらかじめ予測してそこに炎を置いてくるなんてやるね。関心関心♪」
「くっ、やはり一筋縄ではいかないですわね!」
でもこのくらいなら回避できるよ、サニー君と行った三途の道ではこれよりもっと激しい攻撃してくる猛獣がウジャウジャいたからね。
でもカトレアちゃん前より冷静だね、以前なら今の挑発でムキになって突っ込んできたのに。
その辺も成長してるのかな?だとしたら少し厄介かも。
カトレアちゃんは攻撃を中断して後ろに飛んで距離を取った。
「セラフォルー、貴方の事は嫌いですがその力は認めましょう。魔王に相応しいその力、私が負けるのも仕方ない事」
「えーっ!?カトレアちゃんが褒めてくれたー!わーい!」
「……しかし私はもう後には引けません。この命に代えても私は貴方に勝つ!」
するとカトレアちゃんの周りに黒い炎が集まっていき彼女を包み込んでいく、そして次第に人間のような形に変化して私の前に現れた。
「これが私の切り札である『須佐能乎』ですわ!嫉妬の炎で生み出したこの巨人、貴方に倒せるかしら?」
黒い骨のような巨人は巨大な炎の剣を私に振り下ろしてきた。
「的がデカくなったなら当てやすいんじゃないかな?」
私はそれを回避しながら氷の塊をハンマーのように変化させる。
「アイス塊!鉄槌!!」
そしてそれを思いっきり巨人に叩きつけるがあんまり効いていないようだった。
「この須佐能乎は私の生命力を注ぎこんだ最強の護衛ですわ!そんなチンケな攻撃ではビクともしません!」
「でもそれだけ大きいと動きも鈍いよ?それじゃ私には当てられないと思うけど」
「その通りですわ、須佐能乎の欠点は動きが鈍い事。ならそれをこの子達にフォローしてもらいましょう」
私の指摘をあっさり認めたカトレアちゃんは指を鳴らす、すると異空間から大量の土が流れてきた。
「何をする気?この土で私を攻撃するの?」
「いいえ、こうするのですよ」
カトレアちゃんは黒い炎をその土に目掛けて放った。
「火火十万億死大葬陣」
すると土の中から黒い炎を心臓に宿した躯が何十も這い出てきた。
「これは死者の躯?」
「そう、私の炎を動力にして動く躯の人形……この日の為に各地から死体を集めていたのです」
「なんてことを……いくら魂を奪う悪魔でも死者まで利用するのは流石にどうかと思うよ!」
「相も変わらず甘い事を……私はどんな手を使っても貴方に勝ちますわ!さあ、行きなさい!」
カトレアちゃんの合図と共に死者たちが黒い炎で出来た武器を構えて襲い掛かってきた。
「氷河時代」
私はまとめて凍らせようとしたが直ぐに氷を割って出てきてしまった。
「無駄ですわ!死者の体などとっくに冷たく凍っている!貴方の氷など無意味なのですわ!」
カトレアちゃんは須佐能乎の両手に膨大な黒い炎を集めていた。接近したかったけど死者の数が多すぎて近づけない。
「勝てる!遂に勝てますわ!あのセラフォルーに!この私が!」
カトレアちゃんは歓喜の笑みを浮かべて叫んでいた。
「……カトレアちゃん、本当に強くなったね」
「なんですの、急に?さては何かを企んでいますわね。貴方とお喋りするつもりはありませんわ」
「本心で行ってるんだよ?だって昔のカトレアちゃんは弱かったからさ、私が守ってあげないとって思ってたんだもん」
私はカトレアちゃんに本心を伝えた。
「ねえカトレアちゃん、貴方魔王にならない?」
「……何を言ってますの?」
「私が魔王になれたのは強かったからだよ。でも今のカトレアちゃんなら魔王にもなれるんじゃないかな?私も手伝うからさ、戻ってきてよ。私は今でもカトレアちゃんを友達だって思ってるんだよ?」
私はカトレアちゃんに魔王にならないかと尋ねた。私も魔王レヴィアタンとして誇りを持ってるけどでも時々思うんだ、強くなかったら私っていらない子なのかなって。
サーゼクス君みたいな超越者と言われるような実力は無いしアジュカ君みたいな創造力があるわけでもない。ファルビウム君みたいな軍事を統括する能力もない。
魔王の上層部も私が問題を起こすたびに「カトレアに強さがあれば……」と愚痴をこぼしていたのを何度も聞いた。
それならいっそカトレアちゃんに魔王の座を譲ってあげた方が良いかなって思うの。
勿論反対されるだろうし今のカトレアちゃんの思想は危険だけどその考えを変えるきっかけは上げられると思う。
例えばG×Gで美味しい食事をすれば心も穏やかになるんじゃないかな?私も正直『食』に関してはそこまで重要視していなかった。
『サニー君、この『くりうに』のパスタ美味しいね!それに雨が降ってる静かな感じがジャズの音楽とマッチして余計に美味しく感じるよ』
『お前は馬鹿だけど感性は良いじゃん、イッセーの奴もそれくらいに理解力があればな……』
『でも一番の美味しい理由はサニー君と食べてるからだよ!私、大好きな人と食べる食事がこんなにも楽しいなんて思わなかったもん!教えてくれてありがとう、サニー君!』
『そりゃよかったな』
でもサニー君と一緒に行動するようになっていっぱい美味しい物を食べて私は幸せな気持ちになれた。
いつかソーナちゃんや私の眷属、他の魔王達も呼んで一緒に食事をしたら楽しいだろうなぁってずっと思っている。
そしてそこにカトレアちゃんもいてほしい、私はそんな願いを込めて彼女にそう話した。
「……ふふ、ふふふ!あはははははっ!」
でもカトレアちゃんは心底憎たらしいというような表情で笑いだした。
「セラフォルー、貴方は本当にどこまでも私をイラつかせてくれますわね!?貴方からお情けで頂いた魔王の座なんてこちらからお断りですわ!」
カトレアちゃんは死者を一斉に襲い掛からせて極太の黒い炎の光線を放った。
「……なら私は本気で貴女を止めるよ」
私はそれを氷の魔力を宿した拳で打ち払う、黒い炎の光線と死者たちはまとめて消え去った。
「……はっ?」
カトレアちゃんは一体何が起きたのか理解できなかったようで呆けていた。その隙に私は近くにいた死者たちを拳で破壊していく。
私がサニー君と修行をしていて最初に苦労したのは氷に対して耐性がある生き物が多かったことだ、凍らせれないしそもそも体が熱すぎて氷を作っても無力化されてしまう事も多かった。
そこで三途の道で出会った愚衛門さんにアドバイスを貰ったの。
『ねえ愚衛門さん、私って何が足りてないと思う?』
『うおっ!?なんだこの美人のねーちゃんは!?いつからいたんだ?所で今夜ヒマ?』
『おっさん、そのやり取り何回目だ!しつけーぞ!』
『ごめんね、私にはサニー君がいるから……』
『お前もしつけーっての!もう20回近くは聞いたぞ!止めろ!』
あはは、これは関係なかったね。
『お前さんはサニーより実戦経験が多いから直感も使いこなせている、その氷の力も強力だ。だが単純に基礎が出来てないんだな、コレが』
『基礎?』
『今までは強大な力だけで何とかなったみたいだがここから先は基礎がしっかりしてなきゃ話にならない。暫く体を鍛えてみてはどうだ?』
『う~ん、確かに小さい女の子の好きなプ〇キュ〇は素手での格闘がメインな所があるし今まで体を鍛えたことなかったし良いかも♪』
その日から私は素手で戦うようにしたの。でも最初は大変だったよ、何回も死にかけてサニー君や愚衛門さんに迷惑をかけちゃったから。
『ごめんねサニー君、手間をかけさせちゃって……』
『別にこんくらい修行みてーなもんだし気にしなくていいぞ』
なんだかんだ言ってサニー君は優しい人だ、自分も直感を身に付ける為にグルメ界の猛獣と戦ってボロボロなのに私のフォローをしてくれるの。
そんなサニー君がますます好きになって私は頑張ってこれを続けた。そして猛獣と1万回くらい戦いを重ねていったとき私の体に変化が起きた。
「えいっ!」
「ガルァァァァァァッ!?」
体の奥底から何か力が湧いてきて殴った猛獣のお腹に風穴を開けちゃったの。
『……マジかよ』
『ほう、開花したか。今の奴は捕獲レベル400くらいはありそうだったがやるじゃないか』
サニー君は驚いて愚衛門さんはしたり顔をしていた。
『サニー君、やったよ!』
『はぁ……俺も負けてらんねえな』
私は嬉しくなってサニー君に抱き着いた。こうして私は新たなパワーアップを果たしたの。
「これが私の新しい力!名付けて『サニーラブMAXパワー』!だよ!」
「おい!そんなダサい名前つけてんじゃねえよ!寒気がするわ!」
え~、折角愛しのサニー君の名前を入れたパワーアップの名前を考えたのにぃ……
「じゃあ『ニューセラフォルー・バトルモード』にするね」
「いつまでお喋りをしているつもりなの、セラフォルー!こちらにはまだまだ死者は沢山呼び出せるのよ!」
カトレアちゃんは再び黒い炎を纏ってそれを死者の眠る土に放つ、すると100体近くの死者たちが地中から這い上がってきた。
「どんなに力が上がっても数の暴力には勝てないわ!貴方が力尽きるまで私は増援を呼ぶだけよ!」
「なら一気に叩き潰しちゃうね♪」
私は拳に大量の氷の魔力を集めて圧縮していく、そして天高くジャンプして真下に向かって一気に力を解き放った。
「お前ら、こっちに来い!」
「えっ?」
ソーナちゃん達はサニー君が守ってくれた、悪魔の重鎮たちも安全な場所に移動させてくれているし本当にサニー君は仕事が早くて大好きだよ♡
彼がいてくれる、だから私も安心して遠慮なく戦えるんだ!
「必殺!『蒼宝星の衝突(サファイア・インパクト)』!!」
私の放った一撃は一気に拡散して死者たちを纏めて押しつぶして塵に変えていった。その攻撃の余波はカトレアちゃんを守る須佐能乎を覆っていた黒い炎を消し去るほどだった。
「な、なんてデタラメな攻撃範囲と威力なの!?須佐能乎までダメージを負うなんて……!」
予想外の攻撃に動揺するカトレアちゃん、私は須佐能乎の防御が弱まったのを見抜いて一気に走り出した。
「いっくよ―――っ!『蒼宝星の唐竹割(サファイア・スター・ディバイド)』!!」
「っ!?す、須佐能乎!押しつぶせ!!」
私に気が付いたカトレアちゃんは須佐能乎に巨大な黒い炎の剣を握らせて振り下ろしてきた。
「やあああぁぁぁぁぁぁっ!!」
「がはっ!?」
でも私の拳はその炎の剣を一瞬で消し去ると須佐能乎に激突した、そして須佐能乎を真っ二つにすると中にいたカトレアちゃんを押さえつけて壁に叩きつけた。
「カトレアちゃん、これでもう何もできないね。私の勝ちだよ」
「……セラフォルー、何故私を殺さない?私は今の悪魔の世界を破壊しようとした裏切り者なのよ?」
「言ったでしょ、カトレアちゃんは友達だって」
私がここまでカトレアちゃんに固執するのは彼女が初めて出来た女友達だからなの。
私は幼いころから強大な魔力を持っていて将来を期待されていた。でも他の貴族の子達はそんな私を怖がったり邪魔な存在だと思って近寄ってこなかった。
一応サーゼクス君が友達だったけど女の子の友達も欲しかった私は寂しい思いをしていた。
そんな私に声をかけてきたのがカトレアちゃんだった。
『貴方がセラフォルー・シトリー?私はカトレア・レヴィアタン、いずれ魔王になる存在よ。貴方とっても強い魔力を持っているようね、将来冥界を背負う者として強い悪魔を部下にしておきたいの。私に忠誠を誓いなさい、セラフォルー。貴方を私の右腕にしてあげるわ』
人によっては傲慢にしか感じないだろう、でも私はたとえ打算的とはいえ声をかけてもらえたのが嬉しかった。
「カトレアちゃんは私が嫌いなんだろうけど私はずっと覚えているよ、カトレアちゃんに声をかけてもらえた嬉しさをね」
「……本当にどこまでも甘いのね、セラフォルー。でもだからこそ貴方は強いのでしょうね」
カトレアちゃんは私を見て苦笑する。
「待ってて、今治療できるところに連れて行ってあげるから」
「その必要はないわ。なぜなら私はもう死ぬでしょうから……がはっ!」
「カトレアちゃん!?」
吐血したカトレアちゃんの右腕がまるで石のように固まっていく、そしてそれは体の方にも侵食していたの。
「カトレアちゃん!一体どうしたの!?」
「力を強化するために飲んだ薬……やはりリスクがあったようですわね……」
「薬!?」
「セラフォルー……貴方の事は今も嫌いです。でも最後まで私に手を差し伸べてくれた事、正直嬉しかったですわ……」
「そんな!嫌だよ、カトレアちゃん……!」
でも私にはどうすることもできない、与作さんの所に連れて行こうにも固まる方が早くて間に合わないよ……!
お願い、誰か……誰かカトレアちゃんを助けて!
「ノッキング!」
するとそこに緑色の髪をリーゼントにした男性が現れてカトレアちゃんにノッキングをかけた。すると石化の侵食が遅くなった。
「貴方は……?」
「俺は鉄平!話は後だ、急いでコイツを師匠……与作の所に連れていけ!」
「えっ?」
「俺はジジィほどノッキングを極めている訳じゃない、あくまで侵食を遅くしただけだ。この侵食が心臓にまで行けばアウトだぞ!師匠は向こうにいる、急げ!」
「わ、分かった!」
私はカトレアちゃんを抱っこして急いで与作さんの元に向かった。あっ、その前に……
「サニー君、ソーナちゃん達をお願い!」
「ああ、任せとけ」
ソーナちゃん達の事をサニー君に任せて私は今度こそ飛び立った。
「カトレアちゃん、絶対に死なせないからね!」
――― オマケ 外堀を埋めようとするソーナ ―――
サニー「セラも鉄平も行っちまったし俺もやることやってイッセーのところに行くか」
ソーナ「あ、あの……貴方はお姉さまの恋人の方ですよね?私達を助けてくださったこと、そしてお姉さまを嫁に貰って頂けることに感謝しています。それも含めてありがとうございます」
サニー「セラの妹か。ひとつ言っておくが俺とセラは別にそういう関係じゃ……」
ソーナ「お姉さまはああいう性格なので結婚など絶望していましたが漸く良い人が現れたようで私も安心しました。もし良かったら今度実家に顔を出していただけないでしょうか?父や母も貴方に会いたがっていましたので」
サニー「いや話を聞けってぇのっ!?」
ソーナ(この人には悪いけどシトリー家の未来の為お姉さまは絶対に貰って頂きます……!)
後書き
ガブリエルです。ココという人は一体どうして私を助けてくださったのでしょうか?それに何故私は彼に綺麗だと言われてこんなにも胸が激しく鼓動をしているのでしょうか……?
よく分かりませんがクルゼレイは恐ろしい力を持っているようです。主よ、どうかあの優しい人に勝利を与えください。
次回第137話『毒と愛、魅了する対決!ココVSクルゼレイ!』でお会いしましょう。
次回も美味しくいただきます……ふふっ、素敵な言葉ですね。
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