ハッピークローバー
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第百二十七話 お金の価値その九
「皆思ったらしいわ」
「それでドイツでナチスが出て来たのね」
「それまでもそこそこ名が売れてたけれど」
ヒトラーの存在が大きかったことは言うまでもない。
「けれどね」
「世界恐慌から」
「政権に就いたしね」
「そのことを見たら」
「お金の価値があるって」
このことはというのだ。
「本当にね」
「いいことね」
「確かにお金お金になって」
拝金主義に陥ってというのだ。
「亡者になったらね」
「それは駄目よね」
「金色夜叉っていうらしいけれど」
尾崎紅葉の代表作の題名にもなっている。
「そうなったらね」
「よくないわね」
「お金ばかりになるっていうのも」
それもというのだ。
「よくないと思うけれど」
「世の中そうした人もいるわね」
「因業婆とか言うしね」
一華はこの言葉を出して話に入った。
「そうなったらね」
「浅ましいわね」
「そうよね」
「けれどお金の価値がないと」
かな恵はまた言った。
「本当にね」
「地獄ね」
「冗談抜きに今のジンバブエか」
「ナチスが政権取るまでのドイツね」
「そうなったらね」
それこそというのだ。
「生きることすらね」
「難しいわね」
「そんな世の中になるから」
だからだというのだ。
「あの娘の言った通りにね」
「お金の価値があるなら」
「もうね」
それこそというのだ。
「それだけで幸せよ」
「世の中が安定してるから」
「明男男の子で三国志好きでね」
弟の話もした。
「その後の時代のことも知ってるけれど」
「五胡十六国時代のことも」
「あの時代何でも三国志の頃より酷くて」
そうした時代でというのだ。
「殺人鬼みたいな皇帝が結構出たみたいよ」
「殺人鬼なの」
「お金の価値がない位滅茶苦茶で」
「戦争ばかりで」
「それで民衆の人達は明日もわからない」
その命がだ、この時代は民衆もどうなるかわかったものではなかった。それこそ遊びで殺されることもあった時代だった。
「本当に三国志の頃よりも遥かにね」
「酷い時代で」
「そうなっていたから」
「お金の価値があったら」
「それならね」
「それだけいい世の中ね」
「というか出て来るのがナチスって思ったら」
一華は口をへの字にさせて言った。
「戦争するしね」
「ナチスはね」
「それに物凄い弾圧するし」
ゲルマン民族第一主義を掲げてだ。
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