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神々の復活

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第三章

「そなた達が増えて怒らずにな」
「歳を取って引退したとなったのよ」 
 ティアマトも笑って言って来た。
「これがね」
「そうなったのか」
「霧の神ムンムーはそのまま仕えてな」
「別にアプスー様達に何も言わず」 
 三柱の神々の傍に控えていた小柄で痩せた男が笑って言った。
「そのままお仕えしています」
「キングーも初代の権力の神か何かになっているわ」
「そういえばキングーも死んだ筈だが」
 マルドゥクも言われて思った。
「噂を聞く様になっている」
「世界は私の身体を基にしたことは同じでも」
 このこと自体はというのだ。
「身体は死んでも魂は不滅でまた身体を生み出して」
「神だから出来るのか」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「今こうしているのよ」
「そうなのか」
「そしてね」
 さらに話すのだった。
「今は引退した年老いた神々として」
「それぞれ淡水と海水の神としてだ」 
「信仰されているわ」
「そなた達と戦うことなくな」
「そうした話になってか」
 人間の信仰の中でとだ、マルドゥクは述べた。
「貴方達は今いるか」
「そういうことだ」
「これでわかったわね、ただ私は怒ると」
 ティアマトはそうなった時のことも話した。
「ドラゴンになって多くの魔物を出すとね」
「あの戦いの時に出したか」
「そうなっているわ」
「色々変わったのか、まあ別に平和でいられるのなら」
 それならとだ、マルドゥクはここまで聞いて述べた。
「私もそれでいい」
「神々の主の座は引退しているからな」
「信仰されていてもね」
 アプスーとティアマトはあらためて話した、語るその顔は穏やかでありどちらも好々としたものである。
「そうだからね」
「権力なぞ求めないぞ」
「そうか、だが人がそうだと言えば」
 それでとだ、マルドゥクは言った。
「我々の話も変わるのか」
「神話もな」
「そうなるわね」
「不思議だ、世界を司るが」
 神々つまり自分達はというのだ。
「それでもな」
「人間が言うとな」
「神話は変わりね」
「神も蘇る」
「そうなるのよ」
「そうした意味で神と人は切り離せないか」
 マルドゥクはこうも思った。
「それは面白いな」
「全くだな」
「何かとね」
「そのことも頭に入れる」
 二柱の神々が生きていることに加えてというのだ。
「これからは」
「うむ、ではな」
「飲んで食べましょう」
「それではな」
 マルドゥクは復活した神々に応えた、そしてだった。
 彼等と共に飲んだ、そのうえで自身の宮殿に帰って周りにことの次第を話した。すると彼等も納得し話は終わった。彼も二柱の神々も他の神々も信仰され続けた。それでどのメソポタミアの神々も連合で信仰されていった。


神々の復活   完


                     2023・11・14 
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