故郷の星
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第二章
「思えば凄いところに来てるね」
「日本からな」
「随分遠くに来てるな」
「それも環境が全く違う」
「そうしたところに来てるな」
「日本と何もかもが違ってて」
それでと言うのだった。
「こうしてカレーを食べるだけでも」
「日本思い出すな」
「ここでカレーなんて食べないしな」
「だからな」
「カレーを食べると」
実際にカレーを食べつつ言うのだった。
「日本を思い出すね」
「そうだよな」
「他に日本思い出すものないよな」
「食いもの以外に」
「全くだよ、任務だけれど」
それは全うするがというのだ。
「日本が恋しいともね」
「思うよな」
「やっぱりな」
「どうしてもな」
「そうなるね」
こうした話をしたのだった、そして。
古田達は昼食の後も平和維持活動に心血を注いだ、廃墟となったガザでそうして戦災に遭った人達を助け街の復興にもあたった。
そして夜になったが。
彼等はテントの中で酒盛りをしていた、そうして話すのだった。
「外寒いな」
「昼は暑くてな」
「この辺り寒暖の差が激しいっていうけれどな」
「本当にそうだな」
「だからこうして飲んでいても」
古田はそれでもと話した。
「冷えるね」
「今飲んでるのビールだしな」
「尚更だよな」
「冷えるな」
「ビール身体冷やすし」
「そうだね、だから」
それでというのだ。
「おトイレも近いよ」
「そうだよな、けれどアラブで飲めるだけでもいいよな」
「この辺りお酒に厳しいしな」
「ましてガザは滅茶苦茶大変だ」
「そんな状況だからな」
「そう思うと」
それならというのだ。
「飲めるだけね」
「俺達はいいよな」
「ガザの人達のことをも思えば」
「どうもな」
「そうだよね」
こうしたことを話すのだった、そして。
実際に彼等はトイレが近く古田も同じだった、それで同期の長谷川省吾四角い顔で色黒で細い目の彼と共にだ。
トイレに出た、そして砂漠の寒空をふと見ると。
そこに星達があった、その中に彼が知っている星座を見てだった。一緒にいる長谷川にこう言った。
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