八条学園騒動記
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第七百四十八話 球種は三つだけその十一
「あまりし過ぎるとな」
「負担がかかってだな」
「怪我をするからな」
「程々だな」
「それよりもだ」
ピッチング練習よりもというのだ。
「足腰をだ」
「鍛えることだな」
「背筋や腹筋もな」
そうした部分もというのだ。
「鍛えればいい、練習はどんどんしないとだ」
「駄目だな」
「しかし考えてな」
そのうえでというのだ。
「するものでだ」
「怪我には注意か」
「そうだ、くれぐれもな」
「怪我をしない練習か」
「若し怪我をする様な練習をするなら」
それならというのだ。
「馬鹿だ」
「そう言っていいんだな」
「お前はよく言われるみたいだが」
「それでもか」
「そんな練習をしたりさせたりな」
「そうした奴がか」
「本物の馬鹿だ」
そうだというのだ。
「世の中いるからな」
「怪我する練習をする奴がか」
「させる奴もな」
「いるな、確かに」
フランツもそれはと答えた。
「俺が見てもそうなるっていう練習する奴がな」
「させたりな」
「それでそうした奴こそか」
「本物の馬鹿であってな」
「じゃあ俺は何だ」
「成績が悪いだけだ」
学校のそれがというのだ。
「そして考えが独特なだけだ」
「馬鹿じゃないか」
「ああ、俺はそうは思わない」
バッテリーを組んでいる立ち場から言うのだ、事実タムタムはフランツを真面目に見てそのうえで彼についていつも言っている。
「決してな」
「そうなんだな」
「人の道も踏み外さないしな」
そうしたこともしないというのだ。
「間違っていると間違っていると言うな」
「そうか」
「そのこともいい」
馬鹿でない根拠だというのだ。
「それで本物の馬鹿についてな」
「言うか」
「そうしていいか」
「あ、頼む」
フランツは一言で答えた。
「それならな」
「なら話す」
タムタムも応えた、そうして彼が思う本物の馬鹿について話すのだった。
球種は三つだけ 完
2024・1・16
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