オズのエマおばさん
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第三幕その三
「旅行なんてね」
「行かないよね」
「お二人の願いは」
ドロシーはこうも言いました。
「ずっと農業をやってね」
「慎ましく暮らせたらね」
「それでいいというものだったから」
「それがオズの国に来て適ってね」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「満足しているから」
「旅行もしなくてお食事だってね」
「質素なのよ」
「そのお二人にね」
「楽しんでもらいましょう」
「今回もね」
トトも是非にと言います、そうして皆で歩いていきますがふとでした。
右手の野原のところに鹿の群れを見てです、ドロシーは言いました。
「オオツノシカだけれど」
「あれっ、オオツノシカって確か」
カルロスはその大きな角を持つ鹿を見てドロシーに続きました。
「オズの国にいることは知っていましたけれど」
「ここにもいたんだ」
ジョージもオオツノシカの群れを見て言います。
「エメラルドの都に」
「マンチキンとかギリキンにいても」
神宝も言います。
「エメラルドの都にもいたんだ」
「毛の色は緑色だし」
それでと言う恵梨香でした。
「エメラルドの都にいるってわかるけれど」
「それでもね」
けれどと言うナターシャでした。
「いるとは思わなかったわ」
「マンチキンの平野から入ったのよ」
ドロシーが五人に答えました。
「そうした群れが出てね」
「それでなんですか」
「今はエメラルドの都にもいるんですか」
「オオツノシカは」
「そうなんですね」
「そうなっているんですね」
「オズの国はそれぞれの国があるけれど」
それでもというのです。
「国境とかないでしょ」
「そうですよね」
「国境はないですよね」
「大きく分けて五つの国がありますけれど」
「エメラルドの都にマンチキン、ギリキン、ウィンキー、カドリングって」
「その中にも沢山の国があって」
「けれどね」
そうした国であってもというのです。
「オズの国は全体で一つの国だからね」
「国境はないですよね」
「多くの国々との間に」
「だから自由に行き来出来ますね」
「誰でも」
「それでよ」
その為にというのです。
「オオツノシカの群れの一つも入ってよ」
「そうしてなんですね」
「エメラルドの都にいますね」
「そうですね」
「それで身体の色も変わったんですね」
「マンチキンの青から」
「そう、エメラルドの都の緑にね」
まさにというのです。
「なったのよ」
「そうなんですね」
「青から緑にですね」
「身体の色が変わったんですね」
「エメラルドの都に入って」
「そうなったんですね」
「オズの国の生きものはその国に入るとね」
それぞれの国にというのです。
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