偽マフティーとなってしまった。
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2-7話
寝すぎたか?寝過ぎか?周りが白んでいる。いや、まだ夕方だ。約束の正午までは18時間はある。18時間もあれば作戦を考えれる。俺がニュータイプなら戦えるのに。いや、シャンブロ達を連れて話し合いをするだけだから問題はない。
力を見せないと思いだけでは何も変わらない。助けてくれよ誰か。いや、助かる為には俺が何かをしなければならない。
「しかし、なんで俺は反乱軍の首魁をしているんだろうか?シャアはこんな気持ちだったのだろうか?」
実際、彼らが何を求めているかがわからない。ニュータイプを教えてくれよ。ジオンとシャアを両方やらされている気分だ。俺は“俺が乗る予定の改造Ex-sガンダム”を考える。やはり、やるしかない。俺は‥‥変なモノに乗る運命なのだろう。
「アレは切り札になるはずだ。」
そして、出発の時は来た。飛び立つ改造Ex-sガンダムの巨大な推進力が空を切り裂き、飛び上がり、大気圏を突破ロフテッド軌道でアデレードに向かう。
その推進力はあのゴテゴテした武装コンテナのそれではない。もっと純粋な‥‥そう、天使だ。ナイーブになってポエムを思い描くほどの状況にため息をつくと俺のMSを動かす。
「案外と素直だな。」
地上用にカスタムされたジェガンは動かしやすい。やっぱり、ゲテモノとは違う。18時間かけてジェガンを元に改造された機体だ。ジェガンにスラスターを増やして、両肩からはギラ・ドーガの盾をマラサイのように生やし、両腕にはジェガンの盾が付いていて、ミサイルの代わりにシールドクローに改造されていてヅダを感じる。
両肩の背面ラックから伸びるショットガン2丁と腰部にはビームダガーが2つ装備されている。腰部はグレネードランチャーが無くなり、ワイヤーアンカーに変えられている。ギラ・ドーガの指揮官用のビームライフル兼ビームマシンガンだが、特殊なラックによりビームダガーを銃剣代わりにすることが出来るらしい。エリオット・レムのご自慢の機体なだけはある。
「それにしてもだ。」
重複
あのガンダムには誰が乗っているんだろうか?
あれ程の高速機動によるGで気を失わないパイロットは‥‥シン・マツナガはガンダムには乗らないだろう。コウ・ウラキか強化人間か。どちらでもいいが生きていてくれれば良い。
『こちら、ハサウェイ!アデレードに到着!高速のガンダムとアプサラスIIIとアプサラスIIIに乗ったMSが多数、大気圏離脱と再突入をしたことにより地球連邦の対空システムを貫通し、奴らは反撃が出来なかった。だから我々を受け入れるようです。』
ギニアス、良かったな。お前の考えた作戦は成功したから、執念を無くしてグロムリンの後継機を作るジオン残党を消してくれよ。お前の執念力ならフル・サイコフレーム機を動かせそうだから!ギニアスは何も答えてくれない。やはり、俺はニュータイプではない。ニュータイプなら、死者だって応えてくれるはずだ。
この空色のジェガンとSFSがアデレードに到着すると目を疑った。
「何だあれは‥‥。」
ZZはいないが、百式にガンダムMk-IIにキュベレイMk-IIのようなものもいる。ガンタンクやガンキャノンもアーガマの上に立っている。何やってんだよ!刺激するなよ。
街のテレビはジャックされて俺がやった反省を促すダンスが流されている。頭おかしいのかよ。話し合いに来たのに刺激するな!集まった数十万の市民たちがかぼちゃをかぶりオエンベリのマフティーと地球連邦政府の武力衝突に反省を促すダンスをして、元退役軍人達はA.G.E.への鎮圧するための軍事予算捻出のために軍事年金を減らした地球連邦に対して泊まり込みをする為にタープなどを張り、抗議市民に果物やBBQの露天売りをしている。退役軍人たちも地球連邦政府に反省を促すために踊っている。
野党議員たちも抗議のために踊り、早期議会の解散と選挙を求め気炎を上げ、内閣退陣を訴えて抗議デモをして、市民団体も抗議をしている。軍や警察がそれらを囲っており、物々しい空気の中、マスコミは各地から集まったレビルのモノマネ芸人やジオンのモノマネ芸人などの抗議ダンスを撮影をして、SNSや動画サイトの有名な配信者たちもそれらを撮影、または地球連邦政府に反省を促すためにダンスを踊り、不謹慎系配信者は地球連邦議会をバックにクローブ事件や30バンチ、40バンチ等の映像を流したり、軍から流出されたとされる敵女性兵に対する暴行映像を流している。
プルシリーズとかアクシズ女性兵への記録も流しているようだが、リディがブチギレて殴りかからないよな、この不謹慎系配信者に。
一部ではジオンのニュータイプ論読み聞かせや優性人類生存説の解説やラプラス宣言の解説や、地球連邦政府自体の地球環境を理由とした軍事進行による地球統一の経緯を話して、今の地球連邦政府の不当性を訴える。
かつての選挙制度を引き合いに出して、宇宙市民も含めた地球連邦議員への投票と民主主義の再発明、軍人が多すぎて軍事政権化したことに対する抗議でかぼちゃが投げられ、普段よりかなりおとなしいマンハンターにかぼちゃが投げられたり、高性能レーザーポインターや発煙筒が投げつけられている。
「それは頭に当たったら死ぬんじゃないか?」
人に目掛けてかぼちゃを投げるとか宇宙世紀人に品性を求めるのは絶望的だな。地球連邦議会ビルにプロジェクションマッピングで浮かび上がるギレンとジオンとレビルやゴップやビスト一族など大量の宇宙世紀の有名人がCGにより、地球連邦政府に反省を促すダンスが踊らされている。
地球連邦政府への抗議としてアデレードの土が見えるところに全てかぼちゃの苗を植えたり、地球連邦政府に反省を促すためにかぼちゃパイとかぼちゃコロッケ、かぼちゃシチューの大食い大会が開かれ世界中のフードファイターが集まり、抗議の為に大量の皿が積み重ねられて、その皿一枚に付き大会主催者によって宇宙難民に一定額寄付されるらしく、俳優やスポーツ選手もチャリティ試合やチャリティオークションを開いている。
歌手もライブフェスティバルをしているし、何なんだろうか。
「わざわざ潜入するためにジェガンでマフティーだとわからないようにしたが‥‥。」
本当に何なんだろうか、この馬鹿騒ぎは。俺はしれっとマフティーと地球連邦政府首相の対談会場である地球連邦議会にMSで乗り付けると降りた。
既に、ハサウェイたちは着いているのだから、地球連邦兵士も俺をエスコートする。ハサウェイ達とは引き離され、ハサウェイはブライトと共に特設ステージとされる場所で、議員と舌戦をさせられるらしい。中には敬礼をする地球連邦兵もいたりする。この馬鹿騒ぎを見てマフティーに敬礼をするとか大丈夫か?
高そうな調度品の山に地球連邦政府の権力の味とはこういうものなのかと感心する。床は総大理石など贅沢らしく、木は全部天然のマホガニーだらけだ。
「スゴいでしょう?地球に金を集めてこれだけの事をするんだから、コロニー出身の私は理解できませんよ。」
軽口を叩く兵士だ。何故か不愉快だな。
そうして進んでいるうちにエレベーターに案内され、20階の首相がいるとされる会議室に案内された。扉を開くとそこには背中を向けて座る首相が居た。
「君がマフティー・エリンかね?」
この声は聞いたことがある。つまりは!案内してきて警備をするように立っていた兵士を殴り倒し、銃を奪い、構えた。
「声で気付いてくれるとはな。」
紳士的な声で理性がありそうな話し方に、紅茶を飲んでそうな嫌味ったらしい言い回しだ。
「ジョージ・ジョンソン‥‥。」
コイツは‥‥。
「マフティーに名前を知っていてもらえるとは光栄だね。そう、私が黒幕だよ。君が知りたがっていただろうね。」
何なんだよ!お前は!
「黒幕はアジア系なんだろう?」
いや待てよ、アイツがイギリス系なら。
「あぁ、アジアの血も入っていてね。70代で高学歴、努力の人間。全て合ってただろう?ジオンが攻めてきたときに、インドでニュータイプに目覚めてね。それからずっと私は宇宙世紀の愚かな人間を見てきた。天才、凡人、秀才、無能など色んな種類がいた。もちろん、私も愚かな人間だから君のような宇宙世紀らしくない人間讃歌と言ってしまうような存在に興味があった。」
えっ、そんな人を「面白え女」みたく言わないでくれよ。的確にオレの心を宇宙世紀人は抉ってくるのは何なんだよ。俺が何をした?踊っただけでこんなジェットコースターみたいな事になって。
「私は、君にアムロもシャアをも感じる。虹の向こう側に何があったか、いや、何もなかったかが知りたい。だから、あんなにテレビで呼びかけていた。君のマフティズムを炙り出すためにね。いつ、君が踊りだすか私はずっと見ていた。いや、ハサウェイ・ノアが先に踊りだしたのは計算外だったがクスィーが揃ったのは僥倖だった。」
ハサウェイがあぁなるとか俺も知らないよ。彗星が光るよりはマシだろうが。
「マフティー・エリン。君は何を見て、何を聞いて、何を思って何故、マフティー・エリンになれた?マフティー・ナビーユ・エリンを捨ててまで、ハサウェイを助けようとしたのか?私はね、人間は流れに乗って流される生き物だと知ってる。ならば、君のように流れに逆らう、まるで宇宙世紀を俯瞰で見れるような神のような視点を持つ。それが気になってる!何か答えてみろ!マフティー‥‥いや、ミハイル!私にナビーユを授けてみせろ、愚かな人類の私にだ!」
いや、なんでだよ!その為に俺を呼んだのなら、ブライトを何故拘束するんだ。
「結果だけを言うぞ。このままなら宇宙世紀戦国時代が生まれる。今ならまだ地球連邦政府はやり直せる。ハサウェイもネオジオンもA.G.E.に参加しているブッホやアナハイムもだ。」
多分、それは俺が変えすぎてしまっても変わらないだろう事実だ。俺がそれを言うと紅茶野郎は笑いだした。
「あぁ、やはりそうか。ならばいいよ。私の計算通りだ。」
何を言ってるんだコイツは?
「計算通り?」
思わず俺は聞き返してしまった。まさか‥‥。
「私がそれを望んでいるからだよ。これをする事により宇宙は独立して、地球に残されたものは宇宙に殆ど上がれなくなり、地球の食料分しか生きられなくなる。私の試算では50年ほどでマスドライバーすら人類は作れなくなり緩やかな衰退をして、地球環境は回復する。宇宙の人々は地球という鎖から開放されるわけだ。」
いや、そうはならないから。どんだけ人間の可能性を信じているんだよ!それが出来ていたらあぁいう未来にはならんだろう。
「聞きたいことは聞けた。」
紅茶野郎はこちらに拳銃を向ける。咄嗟に俺は発砲をして、紅茶の右肩を撃ち抜く。
「それを待っていた!」
紅茶は寝ているように見える首相の頭を吹き飛ばした。やられた!
「警備兵!マフティー・エリンが発砲した!首相は戦死した!集まっているマフティー達を拘束しろ!生死は問わん!」
クソっ!俺は走って逃げるしか無かった。外を見る。我慢していたマンハンターが集まった市民達を虐殺をして、キンバレー隊のモビルスーツかは分からないが飛んできて火炎放射をする。
「紅茶!お前がそうのように俺だってな、準備してきた!」
空から巨大なモノが降りてくる。アプサラスIIIをSFSにした多数のMS、真っ先に降下してくるGクルーザー。
海からシャンブロが現れる。しかし、俺は近いが遠いジェガンまでの橋を走り抜ける。12階まで降りれたが。
「バリケードか。」
廊下にバリケードを組み、銃を構える兵士たち。奴らが防衛線を組んでいる。クソッ、俺はアスランやマリューじゃないぞ!
「うん?いや。」
俺はあるものを見つけて分の悪い賭けに出ることにした。体に災害用の安全ベルトと放水用消火ホースを巻き付けてガラスを撃ち抜き、割れたガラスから俺のジェガンに向けて飛び立つ!MSの飛ぶあのギャプランとは全く別質な浮遊感、自由降下により全身に風というガイアを感じる。
後ろからバリケードを組んでいただろう連邦兵が銃を撃ってくる。クッ!バランスを取りながら銃弾を避ける羽目になるとは!
目の前に迫るジェガン、体に巻いた放水用ホースを投げ、ジェガンにつけられたマラサイの様な盾に巻き付け、命綱のベルトを切る。チャンスは一回のみだ!
「俺だけ宇宙世紀より、肉体戦が多すぎる!何故だ!」
恐怖を抑えるために俺は精一杯、叫ぶ。
「いけ!ホース!」
ホースのその先は‥‥。
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