SAO<風を操る剣士>
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第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第四章 クリスマスの夜に…
第29話 クリスマスMob
前書き
良いタイトルが思いつかず、意味不明なタイトルに……
※現在1話から順々に話の書き方を修正中です。
修正といっても話の内容を変えるわけではないのでそのまま読み進めても大丈夫です。
前書きに『■』←このマークがあれば修正完了で、『□』←このマークがある場合修正中、なければ修正前ということでよろしくお願いします。
「アルゴ!」
「やっと来たカ……遅いぞ二人とモ!」
「クリスタルで来たんだ。そんなに遅れてないだろ……。それより、さっきのメッセージは一体何なんだ?」
俺とシリカが第四十九層の街、《ミュージェン》という街にクリスタルで《転移》していくと、《転移門》の前でアルゴが待っていた。
「確かにそんなに遅くなかったけド、今の言葉は気分の問題ダヨ。……それで、さっきのメッセージについてなんだけどネ……まぁ、歩きながら話すヨ」
そう言われて、アルゴの後に付いて行く俺とシリカ。
そしてそのままアルゴは、歩きながら俺たちにさっきのメッセージについて説明して始めた。
その説明された内容は、軽い気持ちでは聞けない内容だった。
アルゴの説明によると、どうやらキリトは、前に自分のレベルを隠してあるギルドに入っていたらしい。
そして、入ってから何ヶ月か過ぎて、そのギルドは自分だけを残してみんな死んだ。
その死んだ原因をキリトは『自分がレベルを隠してさえいなければ、みんなは死なずにすんだ』と思って、それからずっと自分を責めていた。
けれども、クリスマスイブの夜……つまり今日の夜二十四時丁度に、ある樅の木の下に《背教者ニコラス》なる伝説の怪物が現れ、そいつを倒すと、このデスゲームとなったSAOではあり得ない《蘇生アイテム》をドロップできる……という噂があったらしい。
その噂を聞いたキリトは、それから無茶なレベル上げをしていたらしい。
「……つまり、キリトさんはその《背教者ニコラス》を自分で倒して、そのドロップした《蘇生アイテム》でギルドの人を生き返らせようとしてるんですね」
「ああ。しかも、さっきキリ坊と少し話したんだけド、あいつ、マジでソロで挑む気ダ」
シリカはアルゴの話を聞いて、キリトに感情移入をしたのか少し悲しいそうな顔で、アルゴにキリトがどうしてレベル上げをしていたかの確認をする。
そして、アルゴもさっきキリトに会ったらしく、キリトがそいつにソロで挑む事が確信になったらしい。
…なるほど、アルゴに呼ばれた理由が分かってきた。
「つまり、アルゴはそれを止めてもらう為に、俺たちを呼んだんだな」
「…正解だヨ……流石にシュー助たちほどじゃないけど、キリ坊も大事なお得意さんだからネ。そうやって自殺みたいな死に方は、キリ坊にはして欲しくないんダヨ」
「随分と優しいじゃないか」
『あの売れるタネなら自分のステータスだって売るような《鼠のアルゴ》が…』
と言う意味を含めて、冗談のつもりでアルゴにこんな事を言う俺だが、こいつが本当は優しいヤツだって事を、俺は良く知っていた。
「…これでもダチだからナ。シュー坊だってそうだろウ?」
…こうやって、意外だけども友達思いのヤツなのだ、アルゴは。じぁなきゃ、俺とシリカに《長期クエスト》の情報を教えてくれたりしないと思う。……商売の為だという可能性も捨てきれないけどな…
そして俺も、キリトを死なせたくないっていう気持ちは同じだ。
「……確かに、このまま死なれる訳にはいかないな。βテストからの付き合いだし……それに、あいつに一度も《試合》で勝てないまま死なれるのも、勝ち逃げみたいでなんか嫌だ…」
最後に言ったのは、子供っぽいかもしれないけど俺の本音だ。
俺は今の所βテストの時も入れて、キリトに[0勝5敗4引き分け]なのだ。
このまま、勝ちっぱなしで死なせてたまるか…
そして俺がそんな子供っぽい事を言った後、俺の言葉を聞いて、こんな時だというのにシリカとアルゴが驚いた目で俺の事を見てきた後、信じられないような声で聞いてきた。
「…え!? あ、あの、シュウさん。こんな時に聞くのはなんですけど……シュウさん、キリトさんに一度も勝ったこと無いんですか?」
「…シュー助、それ本当なのカ? オイラの情報が間違えてなければ、レベルは今も昔もシュー助の方が高いはずダロ?」
「…そんな信じられないことか? 凄く認めたくないけど、本当のことだ。レベルは俺のほうが上だった事も正しいよ。……あいつ、物凄い反応速度が速くてな。俺が攻撃をどんなにしたって避けられて、俺が最終的に負けになるわけだ…」
キリトは俺が先を読んで攻撃しても、反応速度…つまり反射神経が良くて避けられてしまう。
なら先を読まれた事を計算に入れて攻撃しよう、と思ったら、避ける位置に剣を振る為、元から当たらな所に攻撃する。すると反応速度が速いキリトは、逆に避ける為に動かないで攻撃を避ける。
なら俺も攻撃を避ければいい話なのだが、キリトは戦いの最中に予想の出来ない行動を取るから凄く戦いづらい。
それに剣がやたら速くて、卓球で鍛えていた俺の反射神経でも剣が避け切れない。
……まぁ攻撃が避けられないのは、反応速度を頼りにキリトが俺の避け始めた動きを見てから、剣の振っている最中に方向を少しかえて攻撃してくるからでもある。
レベルも2~5レベル上なだけじゃ、あの反応速度の前には関係ないって…
「……話を戻すけど、キリトを止める為にアルゴはどんな考えがあるんだ? 力尽くにでも止めてもいいけど、今の話を聞くとソロでそいつに挑まないと、違う方法で自殺しそうだぞ…」
「その事に関しては、キリ坊に『お前の邪魔はしないから、遠くでお前の戦いを見せてくレ』とでも言って、もしキリ坊がやられそうになったら戦いに参加して助けル……っていうシナリオダ。というか、シュー助はキリ坊に一度も勝ったことが無いのに、力尽くだなんてよく言えたナ…」
「力尽くの時を1勝目にするつもりだったんだよ。…あと方法に関しての説明、凄くザツじゃないか……『邪魔しない』って言ったのに邪魔したら、それはそれで問題になりそうだぞ?」
「……そこは、シュー助が考えてくレ……」
考えてないんかい!! ……と、突っ込みたい気持ちをグッと抑える。
最後の所はとにかく、今の所それしか案が思い浮かばないな。とりあえず、やってみよう……もし上手くいかなかったら、その時考えればいいや…
「とりあえず、その案で行くか……シリカも良いか?」
「はい、大丈夫です。あたしもキリトさんに死んでほしく無いので、出来ることがあるなら精一杯頑張ります!」
「よし! なら、今作戦を考えたんだけど、こんなのはどうだ?」
俺はシリカとアルゴに、とっさに思いついた作戦を説明した。
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「あそこか、キリトが泊まっている宿は…」
「はい。アルゴさんの言う情報だと、あそこで間違いないです」
俺とシリカは作戦の為、アルゴから聞いたキリトの泊まっている宿の前に来ていた。
『聞いた』というのは、現在俺たちと一緒にアルゴがいないからだ。
アルゴには作戦を言った後に、俺がこんな事を言って他の事をしてもらってる。
『アルゴ、この事は俺たちに任せろ。お前には俺の自分ごとになるけど、別にお願いしたい事があるんだ』
『…そりゃあ、作戦が上手くいくなら頼まれても良いガ……いったいどんなお願いダ?』
『実は………』と、俺がシリカに聞こえないように、アルゴの耳元で話す。
するとアルゴはニヤー、と笑って、
『へ~、なるほどネ~。分かったヨ。シュー助のお願いを受ける事にするヨ……ただし、キリ坊の事は頼んダゾ』
と言ってきたので、『ありがとう。キリトのことは任せろ』と言い返しておいた。
その間シリカは何のことだか分からずに、少し不機嫌そうだった。
……もしかして、俺がアルゴに近くで話してたから不機嫌なのかな?
なんていう事を考えながら、アルゴと離れるとシリカが不機嫌そうな声で、俺に聞いてきた。
『…アルゴさんと何を話してたんですか? それも、あんなに近づいて』
『シリカに関係ある事だよ。近づいてたのは、シリカにはまだ知られる訳にはいかないからだよ』
嘘はついてない、これは本当の事だ。
するとシリカも俺の言葉を聞いて、諦めて待つことにしたらしい。
『分かりました、シュウさんを信じることにします。でも、後でちゃんと教えて下さいね』
『ああ』
という会話をシリカとしたのが、約5分前くらいだ。
そんな事を思い出しながら、キリトが宿から出てくるまでの間に俺たちも用意をし始める。
「シリカ、何か《隠蔽》スキルの向上の装備、持ってるか?」
「いえ……あるとしたら、そこら辺で売っている強化していないコートくらいしか…」
「そんな強化してない装備じゃ、キリトの《索敵》に見つかるぞ……どうするかな…」
俺とシリカは今、《隠蔽》スキルの向上を出来るだけしたかった。
なぜなら、俺の作戦で『キリトにお願いしてキリトが戦うのじゃなく、バレないように見ればいいんじゃないか』という事になったからだ。
約束した後に手を出したらキリトも怒るかもしれないけど、手を出した事すらバレなければ問題ない。
…しかし、キリトの《索敵》スキルの《熟練度》はかなり高い。多分、《熟練度》1000でマスターしているかもしれない。
なので、それなりに《隠蔽》スキルの《熟練度》が高くないと隠れるのは無理だろう。
…俺とシリカは、ダンジョンではスキルの《熟練度》の上げられる物……つまりは使えるスキルがほとんど決まっていた為、ダンジョンで使えなかったスキルはそんなに高くない。
でも使えるスキルの《熟練度》は、毎日危険な目に合いながら上げてきたので高い。
《隠蔽》スキルは、高いうちの一つで、俺もシリカも《熟練度》が1000=MASTER(マスター)している。
他にも、《片手剣》と《体術》、《索敵》はマスターしている。
あと《料理》、《ブレス》、《属性付与》が900越え。
それで、後のほうに上げ始めた為か《聞き耳》が600と少しで、ダンジョンで使えたスキルの中だと低めだ。
…これが大体のスキルだな。
あとは《戦闘時回復》とか色々と有るけど、大体平均800くらいかな。
開きスロットもまだ2個も有る。
これからその空きスロットで、何を上げるかも楽しみの一つになるはずだ。
というか、《料理》以外の戦闘に使えないスキルは道具が無かったから上げられなかったし、《投剣》も投げられる物がドロップしなきゃ使えなかった。
……戦闘に使えるスキルも、たとえば《両手剣》などもドロップして上げることも出来たけど、ストレージの容量に負担がかかるのと、自分の得意な武器を上げることに専念したので、いらないと思ったものはその場に捨てて来た。
シリカも、こないだスキルウィンドウを見せてもらったら、《隠蔽》はマスターしてた。
俺がいる為そんなに使わなかった《索敵》の700台以外は、俺とほとんど同じだった。
《片手剣》じゃなく、《短剣》だけどな。
そしてこれからは、こないだ覚えた《獣使い》も上げていくんだろう。
……話しがそれたな。
まぁ、つまりキリトの《索敵》を避ける為には、同じくマスターしている《隠蔽》をより上げる必要がある。
だから装備を探しえるんだけど、シリカは《隠蔽》スキルの向上系装備(強化あり)を持っていないらしい。
…けど、それは仕方が無い事なんだけどな。
このSAOの《隠蔽》スキルの向上系装備は、主にコート系が多い。
だけど《隠蔽》スキルの向上系装備は防御力がほとんど無くて、《隠蔽》スキルはパーティーを組んでるプレイヤー達には余り向かないスキルなので、使う人がほとんどいないんだ。《隠蔽》はパーティーみんなでスキルを上げなきゃいけないからな。
それに、丈が膝下まで来る物が多い《隠蔽》向上系装備は、動きにくいと感じる人もいるだろう。
なので、大抵のプレイヤーは防御力の高い装備を付ける。
付けているとしたら、ボス攻略のLA=ラストアタックボーナスなどで手に入る、《隠蔽》スキルが上がるコートでも防御力もかなり高いレアアイテムの装備を持っているプレイヤーか、または俺みたくリバーシブルのを持っているかだ。……そういえばファッションとして着るまたは防寒として使うプレイヤーもいた。
シリカもダンジョンに行く前に買った、その辺のショップで売っている強化してないコートで《隠蔽》スキルを上げてたっけな、そういえば。なら、持って無いのも当然か。
そういえば、俺の今着ている《イレッサーコート》はドロップしたばかりで強化してないけど、前に着ていた《レッサーコート》の強化した時くらいの性能はあったな。
さすがあのダンジョンの報酬なだけあるよ。
………あれ? そういえば俺、まだ《レッサーコート》をストレージに入れたままだったけ?
そう思い、俺はウィンドウを出してストレージを確認する。
確認してみるとまだ持っていたので、そのままシリカに《レッサーコート》を送る。
「ほらシリカ、このコートあげるよ。裏にすればそこら辺のコートよりは、《隠蔽》スキルが向上すると思うしさ」
「え!? でも、このコートって前にシュウさんが使ってたコートじゃ…」
「別に良いよ。俺はダンジョンクリア報酬で今着ているコート手に入れたし……だから、シリカに使ってもらおうかと思って。今のシリカが装備している上からなら、この《レッサーコート》も邪魔にならないだろ」
シリカが今着ている装備って《レッサーコート》に少しだけども色が似てるし(裏の黒い時は似てないけど)、丈も膝下くらいまできてるのは今の変わらないので、コートを着てもそんなに邪魔にならないはずだ。
「…ホントにいいんですか?」
「良いよ。それにそのコートを着てくれないと、シリカも俺と一緒にキリトを追えなくなるぞ」
「…ありがとうございます、シュウさん。ありがたく使わせてもらいますね」
俺にそう言ってお礼をいいながら、シリカはメニューウィンドウを開き《レッサーコート》を装備する。
このSAOでは、装備に男性用・女性用などの設定は無い。装備した後に、そのプレイヤーの性別や体型に合う物に形を変える。
なのでシリカが装備したら、その時点で俺の着ていた《レッサーコート》とは少し違う形の装備になる。
(ちなみにSAO開始直後は、性別を偽って男が女のアバターを使っていた為、そういうプレイヤーは《始まりの街》で自分の姿にされた時、ほとんどがスカートなどになっていた。けれどもその後すぐに、ちゃんと装備を変更すると男性用になった。)
そのシリカの《レッサーコート》を見ると、流石に長く着ていた為か、その少しの変化も分かる。明らかに俺の時とは少しデザインが違う。
シリカも俺のコートを約一年くらい見ていた為か、自分の来たコートが俺の着ていた時より少し違うのが分かったらしい。自分が装備した《レッサーコート》をよく見ている。
「…少し、シュウさんが着ていた時と違いますね」
「そりゃあ、性別とか背とか色々違うからな」
「……背は余り変わりませんけどね」
「今、一言多かったぞ! シリカ!」
ボソッと言ってたけど、聞こえてるからな! 事実だから否定は出来ないけどさ!
俺とシリカは最近、お互いダンジョンで使えたスキルの中じゃ少ししか上げてないが《聞き耳》を上げている。《聞き耳》スキルを少し上げると、周りの音などが聞こえやすくなる他に、聞き取るプレイヤーを指定する事が出来るようになる。
なので俺とシリカはお互いに指定しあっているので、お互いに他のプレイヤーよりも声や立てた物音などが良く聞こえる。
戦いの最中で連携を取り合う時などには嬉しいんだけど、今みたいなボソッと言った声も聞き取ってしまうのが少し面倒だ。
さっきもアルゴの耳元で話すときは、シリカに聞こえないようにするのには苦労した。
「あはは、すいません。つい本音が…」
《聞き耳》スキルで聞こえた事を分かっていたのか、俺に一応謝ってくるシリカ。
……多分アルゴの耳元で話してた事、まだちょっと怒ってるな…シリカ。
これ以上、この話題は話さない方がいいな。お互いの為に。
「……まぁ、事実だから良いけどな。それより装備も整ったし、キリトの事を本格的に見張るぞ」
「……はい」
どうでもいいけど、俺とシリカ共に揃ってリバーシブルコートの裏にしているから、二人とも全身のほとんどがキリト程じゃないけど黒色だ。
今気付いたけど、シリカの女性版《レッサーコート》も裏は俺の着た時と同じで、キリトが第一層で手に入れたLAに似てるかもしれない。
当然、俺のも男性版で《イレッサーコート》かもしれないけど、そんなに今のシリカと変わりは無い。
…もしかしたら、俺たちが二人そろってこんなに黒いなんて初めてかもしれないな。
=====================
俺とシリカは見張るのと交代にしながら、アルゴがあらかじめ作っておいてくれた情報の詰まった本を読んでいた。(俺たちがダンジョンに行っている間の情報と、この《アインクラッド》一層一層の細かい情報が書かれてる)
そして、それを交代で読むこと数十分。午後10時を過ぎた頃に、キリトが宿屋から出てきた。
「……シュウさん」
「……ああ、分かってる。……行くぞ」
シリカと《聞き耳》スキルを上げていないと聞こえない程の小声でキリトが出てきた事を確認し合う。
その後、俺たちは《隠蔽》スキルと《追跡》スキルを発動してキリトの後ろを追い始めた。
後書き
次回の更新は自分が少し忙しくなる為、少し遅くなります。
でも、なるべく早く更新しようとは思っています。
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