リムジンに乗って登場

　　　　　　　　　　　　　　　　リムジンに乗って登場
　かつて金があるプロ野球チームといえば。
「巨人だったわね」
「自称球界の盟主とか言ってね」
　大学生の松田恭子、一五五程の背で色白で黒髪をセミロングにした黒くはっきりした眉と二重のやや切れ長のはっきりした目と赤い唇と形のいい華と大きな胸を持つ彼女は妹の優子、彼女より二センチは低く姉に似ている顔立ちとスタイルだがやや吊り目でやや茶色にした髪の毛をロングにしている彼女に言った。二人共ズボンで福岡ソフトバンクホークスのユニフォームと帽子それにグッズで身を包んでいる。
　二人は今一塁側のホークス側のスタンドにいる、そこで話をしているのだ。
「やりたい放題やってね」
「一リーグ制にしようとしたりね」
「本当に球界私物化したわね」
「他チームから選手掠め取ってね」
「癌だったわね」
　日本球界ひいては全人類のだ、それが巨人だ。
「まさに」
「そうよね」
「けれど今はね」
「昔みたいにいってないわね」
「メジャーにも行くし」
　いい選手はだ。
「巨人じゃなくてね」
「それで巨人自体勢いないし」
「お金なくなったっぽいわね」
「今更巨人ブランドってないしね」
「テレビに出て来るファン変なの多いし」
「タレントでね」
「ギャンブル中毒のキャスターとか」
　まずはこの輩のことが話された。
「しゃもじ持って人の家に上がり込んでご飯漁るだけの落語家もどきとか」
「爆笑とかどうとか」
「変なのばかりいるわね」
「巨人信者ってキモいっていうかね」
「恰好悪いの多いわね」
「ださくてカルトみたいで」
「ああはなりたくないわね」
　巨人の実情を話した、これが巨人なのだ。
　姉妹、一緒に地元の大学に通っている彼女等はここでだった。
　グラウンドを観てだ、あらためて話した。
「うちも色々言われてるけれどね」
「ホークスもね」
「お金使い過ぎとか」
「何かとね」
「そう言われてるから」
「そうよね、しかしね」
　それでもというのだった。
「ホークス球界私物化しないし」
「球界の盟主とか言わないし」
「一リーグ制画策しないし」
「他のチーム潰そうとしないし」
「大体球界の盟主なんて目指してないから」
　日本のだ、所詮巨人はお山の大将で満足しているだけの小さな下らない浅墓なチームでしかないのだ。