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神々の塔

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第六十六話 御仏の教えその三

「一向宗自体も」
「他の教えを害さんかったな」
「他の宗派攻撃するって」
 綾乃はそうした宗派についても話した。
「日蓮宗位やね」
「あそこな」
「信長さん日蓮宗やったけど」
「苛烈なことはしてへんな」
「あの人元々神主のお家やし」  
 織田家のはじまりはそうであったのだ。
「神道も大事にしてたで」
「桶狭間の前に熱田神宮に参拝して」
「お伊勢さんにも参ってるし」 
 伊勢神宮にもだ。
「あと安土城の石垣の」
「墓石とか地蔵さんも」
「あれは何でもないから使ったんやなくて」
「霊力を使っての結界やな」
「そう考えてはったし」
「あの人も宗教理解して」
「無神論でなく」
 無神論者でなかったことは間違いない。
「あの人なりの信仰心あったで」
「そやったな」
「それで仏教も弾圧してたか」
 施も言ってきた。
「それはなや」
「自分の天下布武を阻むから」
 一向一揆が代表である、尚延暦寺は実は燃やしていなかったという。このことは長い間誤解されてきたことの様だ。
「それでやねん」
「戦ってただけか」
「お坊さんがお餅献上したら」
 百個程作って出したという。
「ちゃんと頂てるし」
「断らへんで」
「そうしてたし」
 そうだったというのだ。
「それで兵の人達にもな」
「餅やってたんか」
「何個か頂いて」
 そうしてというのだ。
「残りは」
「兵の人達にやってたか」
「傍に控えてた」
「気前ええな」
「信長さん案外優しかったらしいし」
 このことも最近になってわかってきたことである。
「お寺糧自分の邪魔せんかったら」
「何もせんかったか」
「悪いことは許さんかったけど」
 それでもというのだ。
「ちゃんとしたお坊さんは敬って」
「信仰心もあったんやな」
「そやで、しかも日蓮宗でも」
 他宗派に攻撃的なこの宗派でもというのだ。
「他宗派、神道にも寛容やったし」
「信仰心もあったんやな」
「無神論やなかったことは確かやで」
 このことも長い間誤解されていたことである。
「安土城の天主閣にも宗教が一杯描いてたし」
「ああ、あのお城な」
 メルヴィルは安土城と聞いて言った。 
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