魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵
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本編
二十八話~決戦――スカリエッティアジト
side フェイト
アジトに着くと、ガジェットの残骸の山のところにいたシスターシャッハが、
「お待ちしていました、フェイト執務官、ランス三等空尉」
「これはあんたが?」
「はい。ヴェロッサ査察官も手伝ってくださいましたが」
半呆れ顔のランス。恐らくは、“こんな暴力的なシスターがいるはずがない”とか考えてるんだろうな。
「それでは、突入しましょう。シスター、ランス。準備は?」
「問題ありません」
「さて、行くとしますか」
……………………………………………………
「なかなか、きついですね………」
「ええ。AMFがかなり濃いようです」
「………おい、二人とも。これははやてには内緒な」
ランスが急に真剣な表情に砕けた口調でそんなことを言うのでそのギャップに驚いていると、
「モード、リリース。機能、飛行サポート限定。バリアジャケット、解除」
「!?ランス三尉、何を!!」
一旦制服に戻ったランスは再び武装を纏う。一見すれば何も変わらないように見えるそれは………
英霊としての彼の本来の姿だった。
「さてと、それじゃ、久々にやりますかね」
そして、蒼き閃光が翔ける。時折紅が混じる芸術的な光景。時間にしてものの5秒もないそれが収まり、私たちの目の前に再びランスが現れると、
通路内にいた30はいたであろうⅢ型ガジェットがすべて爆ぜた。
「…………これが、英霊……」
その圧倒的な強さ、そして美しさに呆然となってしまう私たちに、
「下から!」
床から現れた戦闘機人への対処が遅れた。
(シスターシャッハ!)
(私は平気です!この戦闘機人は私が抑えます!お二人は先へ!!)
(……了解!)
私達は先を急いだ。
side スカリエッティ
「ふふふ、来たか。やはり素晴らしい。彼の能力。どうして太古の人間がここにいるのか、いろいろと興味はある」
だが………
「AMFをいとも簡単に無視するとは、それに魔力を使わずに破壊できるほどⅢ型はやわな作りはしていないのだがね………」
本当に彼はおもしろい。ぜひ実験材料にしたいものだ。
side フェイト
「なんだこりゃ?」
生体ポッドの並ぶ通路に来た時、ランスが不思議そうに聞いてきた。
「人体実験のために集められた人たちだよ。スカリエッティはこうやって人の命をもてあそぶ……!」
「なるほどな……」
会話をしていると、
「いらっしゃいましたか、フェイトお嬢様。ここに来た、という事は協力していただけるのですか?それとも……反逆ですか?」
「おい、フェイト。こいつら何言ってんだ?」
「それは「黙れ!わたしは犯罪者の逮捕に来ただけだ!」……」
ランスが私の生まれを軽蔑するとは思わない。だが、できる事なら知られたくはなかった。
だが、
「フェイト君の生まれについては私が説明して差し上げよう。私の作品と戦っているFの遺産と竜召喚士にもね」
通信で割り込んできたスカリエッティがそんな私の願いを壊す。
「スカリエッティ!」
「ほう。てめえが親玉か」
「そうだよ。衛宮ランス………いや、アルスターの大英雄、クー・フーリン」
この男、ランスの正体を……!?
「ほう?よく調べたじゃねえか」
「君には前々から興味があったのでね。調べさせてもらったよ。神と人の間に生まれた半人半神の英雄が彼女の生まれをどう思うのか気になってね」
「生まれだと?」
「そう、彼女は「やめろ!」私の考えたクローン人間作製プログラム『プロジェクトF』によって生み出された人造人間なのさ」
知られてしまった。こんな時に、こんな形で……!
「だからどうしたよ?」
「どういうことかね?」
「天才、とか言われてる割には理解が遅えな。生まれ何ざどうでもいい、って言ったんだよ」
「ほう?ほかでもない生まれに恵まれた君がそんなことを言うとはね」
「人の価値はどうやって生まれたかじゃねえ。そいつが何を思って、何のために、何をしたかが重要なんだ。俺は神の子だからって理由だけで英雄なんて呼ばれた覚えはねえ。騎士の誇りにかけてそれだけは言わせてもらう!」
ああ、なんて気高いのだろう。なんて真っ直ぐなのだろう。そして、なんて強いのだろうか。
「そういうことだ。クローンだとか、作られたとか、んなことはどうだっていい。お前は自分の誇りを持っているか?フェイト」
そんな彼だから、私は…………
「あるなら命令すればいい。その誇りを守るため、“私のために道を作れ”ってな。そうすればあのイカレ白衣のところまで行くのに邪魔する奴は俺が蹴散らしてやる。決めるのはお前だ。どうする?」
………そんなことは、決まっている。
「令呪を持って命じます。スカリエッティのところに行くために道を作って!」
最後の令呪。その魔力は私のソニックやライオットすらも越えるほどの莫大なものだった。
「了解だ!見せてやるよ!赤枝の騎士の誇りってやつを!!」
side トーレ
フェイトお嬢様が自身の手首を握りしめ、言葉を紡ぐと膨大な魔力が生じ、衛宮ランス、いや、クー・フーリンに流れ込んだ。
そして、
「先へ行く!お願い!」
「ああ!行って来い!!」
こちらへと向かってきた。
「行かせるか!セッテ!!」
セッテがブーメランブレードを投げつけるが、
「無粋なまねはよせ」
クー・フーリンはこともなげにブーメランブレードを掴み、握りつぶした。
その間にお嬢様は先へ行ってしまった。
「くっ!」
「戯れてやるよ、まとめて来い」
「……侮るな!」
いくら英雄と呼ばれた男とはいえ、姉妹の中でも上位の戦闘能力を誇る私とセッテ相手なのだ。余裕などないはず……!
「ライドインパルス!!」
ナンバーズ最速を誇る私の速度ならば!
一足で距離を詰め、拳を繰り出す。
「どこ狙ってんだ?」
確実に不意を突いたはずなのに私の拳は空を切る。
そしてその声は後ろから掛けられた。
振り向かずに蹴りを放ちながらセッテに念話を。
(こいつは速すぎる!セッテ、全力でいかねば負けるぞ!)
(姉さま!上です!!)
その言葉に上を見ると、上空から槍を振りかぶる奴の姿が。
「がっ!!」
「ま、殺さねえように加減はしてやる。部隊長からは捕えるように言われてっからよ」
完全に舐められている。
「セッテ!援護頼む!!」
そうして私は再び翔けた。
side フェイト
ついに辿り着いた。やっと、やっとここまで来た。
「ようこそ、フェイト・テスタロッサ」
「スカリエッティ…………」
「君と私は似ていると思わないか?」
「何を……!?」
「私は戦闘機人や人造魔導士を自分の目的のために利用している。君はあの子供たちとクー・フーリンを自分の目的のために育て、恩を売ってきたのだろう?自分に逆らわないように」
「………そんなことは!」
「ない、と言い切れるのかね?」
惑わされるな!そんなのは妄言だ!
「バルディッシュ!」
[yes,sir.]
魔力弾を放つが、障壁を張られて防がれる。
「ふふふ、そうやって激情に身を任せるところは実に母親に似ているね。だからこんな簡単に引っかかる」
スカリエッティが右手を振るうと赤い魔力の糸が現れて私を拘束した。
「さて、これで身動きはとれまい。君にも被験者になってもらおうか。フフフフフ、ハーッハッハッは!」
ここまで来たのに……ゴメンね。エリオ、キャロ。六課の皆……それに、私のために戦ってくれた誇り高き青い騎士。
AMFで抵抗出来ない私は目を閉じて大人しくすることしか出来なかった。
後書き
スカさんアジト組です。
フェイトがピンチにしかなってない気がする……
一応見せ場は作るつもりですが……
アンケートの方も大分票が集まってきましたので次の話の後書きで中間発表を行います!
それでは~
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