ドリトル先生と不思議な自衛官
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第十幕その十二
「国際的地位も上がってその勝利を見て色々な人達がね」
「思うところが出来たね」
「特にアジアやアフリカの人達の中で」
「自分達もやれる」
「何かが出来るってね」
「そうなって世界が今みたいになったし」
そのきっかけとなったというのです。
「勝たないといけなかったのかもね」
「成程ね」
「そうも考えられるんだね」
「日露戦争は」
「そうだよ、じゃあお話をしながら次の場所に行こうね」
先生は皆に促して次の場所に行きます、今度は西郷さんや大久保さんがよくそこにいた薩摩藩の屋敷の跡地の前に来ました。
その跡地を前にしてです、先生はこうも言いました。
「ところで日露戦争の日本の勝利が面白くないのは誰かな」
「そりゃロシアだよ」
すぐにです、ホワイティが答えました。
「何と言ってもね」
「負けて嬉しい筈がないね」
「絶対にね」
チープサイドの家族も言います。
「しかもロシアにとっては勝てる戦争だったのに」
「面白くなくて当然よ」
「しかも樺太とか満州とかでも不利になったし」
トートーはこのことを指摘しました。
「絶対に嫌に思ったね」
「それは今もでしょうね」
ポリネシアはこう考えました。
「戦争に負けるって歴史に残ることだし」
「他に面白くない国はあるかっていったら」
それこそと言うジップでした。
「思いつかない位だね」
「もう絶対にロシアだよ」
老馬も断言しました。
「日露戦争で日本の勝利が面白くない国はっていうと」
「人もそうね」
ガブガブはきっぱりと言いました。
「ロシアの人達は面白く思っていないわね」
「日露戦争の怨みとか」
「そんなこと思っていても不思議じゃないよ」
オシツオサレツは二つの頭で言いました。
「それこそね」
「敗戦の屈辱を忘れないって感じで」
「それでロシア贔屓の国や人もかな」
ダブダブはこう考えました。
「日本の勝利が面白くないかな」
「まあ誰もがいいと思うことはないからね」
チーチーは少し頷く様に言いました。
「面白くないと思う人がいても当然だよ」
「そうだね、ロシアは確かに面白く思っていなくて」
実際にとです、先生は皆にお話しました。
「ソ連でもそうでね」
「今のロシアでもだね」
「二十一世紀になっても」
「どうしても」
「そう、そしてソ連にはあの独裁者がいたね」
先生は自然とです、お顔を曇らせてしまいました。そうして言うのでした。
「ヨシフ=スターリンが」
「あの人だね」
「アドルフ=ヒトラーと並び称される」
「恐ろしい独裁者だったね」
「これ以上はないまでに」
「この人のことは言うまでもないけれど」
あまりにも悪名が高くてです。
「この人が日清戦争日露戦争を日本の侵略と言ったんだ」
「そうだったね、そういえば」
「ソ連の考えでね」
「そしてあの人の」
「あの人が言ったって思ったら」
「物凄く警戒するね」
「粛清に侵略を繰り返した人だからね」
ヨシフ=スターリンという人はです。
「そんな人の言うことはね」
「信じたら駄目で」
「鵜呑みにしたら危険だね」
「何よりも」
「あの戦争も日本の歴史も自衛隊もしっかり学ばないと」
さもないと、というのです。
「とんでもない間違いを犯すよ」
「そうだね」
「そのことは僕達も覚えておかないとね」
「何があっても」
皆も頷きます、そして薩摩藩ということで東郷さんのお話をここでもするのでした。
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