オズのヘンリーおじさん
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十幕その十
「私達は今はね」
「全部の星座が観られますか」
「季節や場所によって観られない星座がありますけれど」
「日本でもどの国でも」
「それでもですね」
「オズの国では全部観られるんですね」
「この列車に乗って」
そうしてというのです。
「窓から観るとね」
「凄いですね」
「物凄い魔法ですね」
「夜空に全部の星座が観られるなんて」
「素晴らしいですね」
「正直驚きました」
「勿論魔法を停止したら」
その時はといいますと。
「この場所の本来の夜空もね」
「観られるんですね」
「そうなんですね」
「プラネタリウムみたいに全部の星座が観られるんじゃなくて」
「そうなるんですね」
「そうよ、素敵でしょ」
笑顔で言うドロシーでした。
「このことも」
「いや、星座もそうなんてな」
「また驚いたわ」
おじさんもおばさんも言います。
「私達は星座のことはよくわからないけれど」
「そうした学問は受けていないからな」
「それでだけれど」
「これまた素晴らしいな」
「そうでしょ、私は星座も好きだから」
それでというのです。
「こうしたものも好きよ」
「そうなんだな」
「ドロシーは星座も好きなのね」
「昔は違ったと思うが」
「夜空のもの観る趣味はなかったわね」
「カンサスにいた頃はね」
ドロシーもそうだったと答えます。
「けれどオズの国に来てから」
「それからか」
「変わったのね」
「そうなの」
実際にというのです。
「その時からね」
「そうなんだな」
「そうしたものも好きになったのね」
「プラネタリウムとか観て」
そうしてというのです。
「冒険の時に寝る前に夜空を観ていたら」
「好きになったのか」
「そうなったのね」
「そうよ」
まさにというのです。
「私もね」
「そうなったか」
「そこも変わったのね」
「変わらないものはなくて」
そうしてというのです。
「その中でオズの国も変わって」
「ドロシーも変わる」
「そういうことね」
「そうよ」
その通りだというのです。
「オズの国も昔はこうした列車なかったしね」
「そうそう、なかったよ」
トトも言います。
「僕達が最初オズの国に来た時は列車自体がね」
「なかったわね」
「そうだったよね」
こう言うのでした。
「だから黄色い煉瓦の道を歩いて」
「エメラルドの都に行ったわね」
「今もよく歩いて旅をするけれど」
「あの時はそれしかなかったわ」
「そうだったね、ただ」
それでもと言うトトでした。
ページ上へ戻る