大阪のしゃんしゃん火

「僕がついていってますね」
「カカア天下？」
「そうですね、カカア天下いいですね」
　松岡は笑って応えた。
「言われてみるとそうで」
「悪くないのね」
「凄く優しいんですよ、光ちゃん」
　今度はおのろけだった。
「毎日お弁当作ってくれて」
「尽くすタイプなの」
「はい、そうなんですよ」
「いや、折角交際してくれてるんですから」
　光も言ってきた。
「何かとです」
「しないと駄目なの」
「はい、それで今回はですね」
「ええ、お寺に行ってね」
　そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「そこに何が出るかですね」
「確かめるのよ」
「そうしますね」
「これからね」
「じゃあ案内しますね」
　松岡がここで申し出た。
「これから」
「ええ、宜しくね」
「こっちです」
「私はお家玉造の方ですが」
　光も言って来た。
「お寺のお話聞いて前からです」
「興味あったのね」
「何が出るか」
「鬼が出るか蛇が出るか」
「確かこの辺り大坂の陣で」　
　光はこの戦の話もした。
「真田幸村さんが死んでるんですよね」
「ああ、そういえばね」　
　茉由も言われてこのことを思い出した。
「この辺りでね」
「幸村さん死んでますね」
「力尽きたところを敵が来て」
「首を取らせたんですよね」
「そうらしいわね」
「ああ、近くだよ」　
　実際にとだ、松岡は二人を寺まで案内しつつ話した。
「本当に」
「やっぱりそうなの」
「うん、夏の陣で徳川家康さんの本陣に攻撃仕掛けて」　
　光に大坂の陣のそのことを話した。
「それでね」
「結局家康さんを倒せなくて」
「力尽きて」
　そうしてというのだ。
「最後はね」
「首を取られたのよね」
「それで大坂城は落城して」
　城のある方に顔を向けて話した。
「豊臣家は滅んでね」
「終わったわね」
「戦いはね、それでこの辺りは」
「戦いがあった場所ね」
「そうなんだ」
　実際にというのだ。
「夏の陣でね」
「じゃあ玉造の方も」
「あの辺りもだよ」　
　光が住んでいる場所もというのだ。
「同じくね」
「戦いがあったのね」
「大阪城から南にね」
「幸村さんが突っ込んで」
「それで家康さんを攻めたから」
「桃谷も玉造も大阪城から見て南にあるし」
「だからね」　
　そうした地理的状況だからだというのだ。
「それでだよ」
「この辺りはなのね」
「古戦場でもあるんだよ」
「そうなのね」
「うん、それでこれから行くお寺も」
　そちらもというのだ。