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神々の塔

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第六十三話 過ちを犯した神霊その四

「わかるやろ」
「その時のことが言われたな」
「物凄い攻撃受けたわ」
「人種差別主義者としてやな」
「それで本人さんも後悔してたらしい」
「過去の自分のことをか」
「人種的偏見を持ってたな」
 即ちレイシストであったことをだ。
「そのことをな」
「それで反省してたか」
「そやった」
 まさにというのだ。
「心からな、そのうえでな」
「公民権運動においてか」
「裁判所の裁判官の立場からや」
 それも連邦最高裁の長官即ち司法のトップとしてだ。
「違憲と言うてな」
「公民権運動に貢献したな」
「そやった」
「贖罪か」
 シェリルはやや俯いて言った。
「それでか」
「必死に働いてたらしいな」
「違憲と言う為にか」
「法律はその時代に無縁やないって言うてな」
「二千万のアフリカ系の人の未来を切り開いたんやな」
「そしてその二千万の中にや」
 トウェインは微妙な顔になって述べた。
「わいの祖父さん祖母さんもおった」
「アフリカ系のやな」
「そやったわ、カルフォルニアのな」
「ウォーレンさんが知事やってた」
「その州のな」
「そやねんな」
「そやからな」
 トウェインはやや上を見上げて話した。
「わいこの人について考えることあるんや」
「その行いについてやな」
「そや、確かに日系人を迫害した」
 それも積極的にである。
「しかしな」
「アフリカ系の未来を切り開いたな」
「キング牧師やマルコムエックスさんと同じくな」
「複雑やな」
「日系人迫害を反省してたって言うたけどな」
 これは自身の自伝でも言っていた。
「本心かというと」
「わからんな」
「言うただけでな」
「ほんまはちゃう」
「そんなこともあるわ」
 口でだけということはというのだ。
「人には」
「それな、口では何とも言えるわ」
 リーも言ってきた。
「ほんまな」
「反省してるとかな」
「ああ、ほんまな」
「そやからな」
「そこはやな」
「何とでも言えるけどな」 
 トウェインはそれでもと話した。
「アフリカ系の未来を切り開いてくれた」
「それは事実やな」
「そしてわいが聞く限りな」
 こう限定して話した。
「本心からや」
「反省してたか」
「日系人のことをな」
「それで贖罪としてか」
「公民権運動で働いた」
「過去の過ちが未来につながったか」
「その様や、そやからわいはな」
 トウェイン自身はというのだ。 
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