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オズのヘンリーおじさん

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第八幕その十

「これまたね」
「いいことね」
「美徳よ、感謝することもね」
「謙遜の気持ちも」
「両方ね」
「そうですね。感謝しろって言って」
 恵梨香はここでこう言いました。
「自分は感謝しない人って」
「どうかって思うわね」
「そうした人は外の世界にいると思いますけれど」
「お付き合いしにくいわね」
「どうしても」 
 こうオズマに答えました。
「どちらかだけでも」
「そうね、オズの国にはそうした人はいないけれど」
「そうした人は」
 どちらかだけでというのです。
「どうもです」
「好きになれないわね」
「それでお付き合いも」
 どうしてもというのです。
「しにくいです」
「そうなるわね」
「そう考えますとオズの国は」
「お互いに感謝してね」
 そしてというのです。
「それでいてそうされることはないっていうね」
「謙遜の気持ちも持っていることは」
「いいことよ、お互いに矛盾している様で」
「実は違いますか」
「どちらも人として美徳で」
 そうであってというのです。
「矛盾しないわ、人には感謝してもらう様にして」
「自分はいい」
「その丁寧な心遣いはね」 
 それはというのです。
「実は根っこはね」
「同じですか」
「だからドロシーもお二人もね」
 おじさんとおばさんもというのです。
「凄くね」
「いいんですね」
「そうよ、美徳をね」
 人としてのそれをというのです。
「ちゃんとね」
「三人共備えておられるんですね」
「そうよ」
 今も海面から出て飛んで、です。
 また海の中に戻るトビウオ達そしてマンタを見つつ言います、飛ぶその後ろから水雫が続いてキラキラとしています。
「素晴らしいことでしょ」
「はい、本当に」
「人はこうありたいわね」 
 オズマはにこりと笑ってこうも言いました。
「私もね」
「オズマ姫もですか」
「勿論よ、人の美徳を見ればね」
「それをお手本にしたい」
「そして自分をよりよくしていきたいから」
 そう思うからだというのです。
「本当にね」
「ドロシーさんもお二人もですね」
「敬意を以て見させてもらって」
 そうしてというのです。
「お手本にね」
「させてもらいますか」
「これからもね」
「そう言われたら」
 恵梨香はオズマのその言葉を聞いて言いました。 
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