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第百二十二話 人間としての差別その一
第百二十二話 人間としての差別
運動会まであと少しとなった、理虹はその中で彼女のやるべきことをクラスの中でしてだった。その合間にトイレに行ったが。
個室を出たところでだ、赤い長いおさげの髪の毛に青い目で痩せたカナダから来ている娘と会ってこう言った。
「暫く振りね」
「ちょっと会わなかったわね」
カナダの娘もこう返した。
「お隣のクラスでもね」
「そうよね」
「前はしょっちゅう会ったのにね」
「中二の時は同じクラスだったしね」
「いや、同じ商業科でもね」
理虹にそれでもと言うのだった。
「クラスが違うとね」
「隣同士のクラスでもね」
「案外会わないものね」
「そうね」
理虹も確かにと応えた、そしてだった。
並んで手を洗いつつだ、理虹はカナダから来た娘に言った。
「それであんた最近元気?」
「この通りよ」
カナダの娘はにこりと笑って答えた。
「元気よ」
「それは何よりね」
「この前ケベックの実家から仕送り来たしね」
「そうなのね」
「ええ、それでこの前ブローチ買ったのよ」
「そうしたのね」
「それで機嫌もね」
これもというのだ。
「かなりね」
「いいのね」
「そうなの」
まさにというのだ。
「気分的にもよ」
「元気なのね」
「ええ、ただ実家のお隣さんが」
ここで微妙な顔になった、そのうえで理虹に話した。
「引っ越したらしいのよ」
「そうなの」
「バンクーバーの方に行ったのよ」
「カナダの西の方よね」
「シアトルの北のね」
アメリカのこの街のというのだ。
「あそこにね。仲良かったから」
「寂しいのね」
「お父さんもお母さんもそう言ってるわ」
「そうなのね」
「そのことはね」
どうにもというのだ。
「私も。よくしてもらったしね」
「そうした人達がいなくなるって辛いわよね」
「ええ、だからね」
「そのことは残念で」
「カナダに帰ったら」
その時はというのだ。
「きっと実際にね」
「残念に思うのね」
「そうなるわね」
こう言うのだった。
「本当にね」
「やっぱりそうよね」
「ええ、ただね」
ここでカナダの娘はこうも言った。
「私イギリス系で」
「そうよね、あんたは」
理虹もこのことは知っていた。
「イギリス連邦の国でね、カナダって」
「正確に言うとスコットランド系よ」
「ケルトね」
「そのご家族はフランス系だったのよ」
「ケベックってフランス系多いのよね」
「それで時々ね」
理虹に微妙な顔で話した。
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