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八条学園騒動記

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第七百四十二話 童顔だとその三

「怖いしね」
「ああ、ヒトラーもそうだよね」
「あのお髭がないと」
 チョビ髭で有名なそれがというのだ。
「もうね」
「滅茶苦茶怖いお顔だね、ヒトラーって」
「眼光が鋭いから」
 それでというのだ。
「だからね」
「怖いんだよね、実は」
「あの人もね」
「やっぱりお顔を見て」
「人は人を認識するってことね」
「のっぺらぼうだと」
 セドリックは日本の妖怪をここで思い出した。
「それだけでね」
「妖怪になるのよね」
「そうそう」 
 まさにというのだ。
「まあ驚かすだけだけれどね」
「のっぺらぼうってね」
「何もないお顔見せて」
「それで驚かせて」
「喜ぶだけだよ」
「別に何でもないわね」
 ウェンディはのっぺらぼうについてこうも言った。
「日本の妖怪あるあるだけれど」
「悪戯するだけでね」
「人にそれ以上しないのよね」
「これがね、ただ人は相手が妖怪でもね」
 相手がそうであると知らなくてもだ。
「まずお顔を見るから」
「それでお顔に何もないと」
「驚くよ」
「それを意識しての悪戯ね」
「のっぺらぼうのそれはね、本当にお顔だよ」 
 セドリックはしみじみとして言った。
「人がまず見るのは」
「そして頭に入れるのは」
「お顔だよ、人相もね」
「大事だっていうしね」
「人相が悪いっていうけれど」
 この時代でも言われることだ、人間の生き方というものは顔に出るものだ。生きていれば自然とそうなるのだ。
「それもね」
「まずお顔を見るから」
「言われることだね、手相もあるけれどね」
「手相もよく言われるけれど」
「人相もだしね、ヤクザ屋さんなんてね」
 所謂アウトローの者達はというのだ。
「見るからにね」
「人相悪くてね」
「悪い人達だってね」
「わかるわね」
「僕悪そうな顔とはね」
 セドリックはあらためて話した。
「言われたことはね」
「ないのね」
「有り難いことにね」
「まあセドリック見たら」
 ウェンディも彼の顔を見て言った。
「悪い人にはね」
「見えないんだね」
「悪人って本当に顔が変わっていって」
「人相が悪くなるね」
「そうなるから」
「僕達でもだね」
「そう、高校生でも」 
 それでもというのだ。 
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