| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ハッピークローバー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百二十一話 どう違うのかその二

「それでね」
「それでお弁当食べちゃったの」
「それで今からよ」
「成程ね」
「あんたは違うのね」
「食べ過ぎもね」
 イスラエルの娘は少し苦笑いになって答えた。
「ユダヤ教だとね」
「七つの大罪とか?」
「それよ、大食あるでしょ」
「食べ過ぎも厳禁ね」
「だからね」 
 こうした教えだからだというのだ。
「それでね」
「そのせいでなのね」
「だからね」 
 そのせいでというのだ。
「朝ご飯食べてからは」
「ずっと食べてないの」
「それでね」
 そのせいでというのだ。
「お昼も量はね」
「あまり食べないのね」
「それで食べるものも贅沢はね」
「しないのね」
「うち宗教的な教え厳しいから」
 それでというのだ。
「本当にね」
「そうしたところはなのね」
「厳しくて」 
 そうした状況でというのだ。
「どうしてもね」
「そうしたこと守ってるのね」
「そうなの、けれど今は二人でね」
「食べましょう」
「それじゃあね」
 こう話してだった。
 留奈はイスラエルの娘と二人で昼食を食べることになった、それぞれ向かい合って座って食べることになったが。
 ここでだ、イスラエルの娘は咲に一緒に食べつつこんなことを言った。
「あんた昔言ってたでしょ」
「何て?」
「イスラエル人が白人だって」
「それね」
「それで私はそうとか限らないって言って驚いたでしょ」
「ああ、中学の時ね」 
 その一年の時を思い出してだ、留奈は答えた。
「あの時ね」
「本当に違うからね」
「白人かっていうとね」
「黒人の人もいるわよ」
 イスラエル人にはというのだ。
「それでアジア系の人も」
「そうなのよね」
「イスラエル人、ユダヤ系って何か」
「ユダヤ教徒の人達よね」
「だからね」
「人種は関係ないのね」
「そうよ、そもそもね」
 留奈にきつねうどんをすすりながら話した。
「ユダヤ人ってヘブライでしょ」
「エルサレムの方に住んでいた」
「その頃のご先祖様ってセム語族でしょ」
「教科書でも出てるわね」
 世界史のだ、メソポタミアの民族は現代の学問ではセム語族やハム語族といった言語によって民族が大きく区分されているのだ。
「そうよね」
「その頃白人だった?」
「ヘブライの人達って」
「違うでしょ」
「それキリストさんもよね」
 留奈は鴨なんばうどんの鶏肉をおかずにお握りを食べてから答えた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧