ハッピークローバー
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第百二十話 客家その十四
「今はね」
「いないのね」
「そうなのよ、稀少な生きものでね」
ウンピョウはというのだ。
「台湾ではもうね」
「絶滅してるのね」
「野生の種類はね」
「チョウセントラみたいね」
「ああ、日本が害獣退治でね」
「そうしたとか?」
朝鮮半島で虎や豹に対して大々的に行った歴史がある、当時の朝鮮半島は首都ソウルの市街地にすら虎が出る有様であった。
「ひょっとして」
「そこは知らないけれど」
美奈代はこう返した。
「けれど関係とはね」
「あまり思えないわよね」
「日本の統治って徹底してたから」
治安や衛生面においてもだ、猛獣が射て治安がいい筈がない。
「だからね」
「ウンピョウも退治してたの」
「虎みたいにね」
「そうかも知れないのね」
「ひょっとしたらね」
「そうなのね、ただね」
ここでだ、美奈代は富美子にこうも言った。
「台湾のそうしたことを調べても面白いのよ」
「生きもののことね」
「生態系ね。蛇も多いしね」
毒蛇も含めてだ。
「こうした生きものもいて」
「面白いのね」
「そうしたことも知って欲しいわね」
「調べて」
「台湾のことを好きって言うなら」
そう自分で言うならというのだ。
「それならね」
「それはね」
確かにとだ、富美子も焼きそばをすすりつつ応えた。
「私も言ってる通りに」
「でしょ?沖縄が大事とか言ってね」
「基地の前で騒いでいる人達と同じよね」
「それじゃあね、こうした人達もね」
その実はというのだ。
「沖縄のことはどうでもいいのよ」
「その実は」
「それで沖縄の自然のこともね」
「基地造ったら環境破壊とか言って」
「ジュゴンがどうとかね、けれどね」
「沖縄のこと知らないわね」
「ヒヤンとかハイとかね」
沖縄の一部の島に棲む非常に稀少な蛇達である、一時は実在が疑われた程その数は少なく目撃例も稀であった。
「知ってる筈ないわよ」
「環境を守れと言っても」
「というかね」
美奈代は酒をまた飲んでから話した。
「基地の前にずっといるなんてね」
「迷惑よね」
「テントまで張ってね」
「どうして生計立てているのか」
「そのことすらね」
それこそというのだ。
「わからないし」
「そうしたことを考えたら」
「かなり胡散臭いでしょ」
「胡散臭い人ってね」
酒を飲む妹に話した。
「まずお金を見ろって言われてるわ」
「お金?」
「そう、お金の出どころよ」
これを見ろというのだ。
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