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星河の覇皇

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第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その五十四

「聖書ですら検証された」
「後にですね」
「バチカンの言っていることは正しいか」
「ラテン語だけでなく各国の言語で読まれる様になり」
「そうなりましたね」
「そして正しい信仰も考えられたが」
 それでもというのだ。
「共産主義は違った」
「ほぼ検証なく受け入れられ」
「福音となってでしたね」
「世に広まった」
「特に知識人にですね」
「労働者は忙しくまた字が読めない者がまだ多かった」
 それが変わっていくのも産業革命期からだ、社会が豊かになり義務教育が確立されていったのである。
「それではだ」
「労働者の為と謳っていても」
「労働者には入らないですね」
「そして農民にも」
「そうなりますね」
「本来は労働者と農民の思想だった」
 彼等の為のというのだ。
「そうだった」
「ヴォストークもそうでしたね」
「共産主義のマークですね」
「金槌と鎌」
「その二つですね」
「それにも出ていた、しかし」
 それがというのだ。
「その実はな」
「違っていましたね」
「労働者や農民より知識人でしたね」
「彼等の間に広まり」
「浸透しましたね」
「それがどれだけ危険なものか検証されずにな」
 そのうえでというのだ。
「浸透してだ」
「人類に大きな傷跡を残しました」
「そうなりましたね」
「革命や粛清が起き」
「テロも起こし」
「共産主義は多くの命を奪う」
 そうした思想だったというのだ。
「革命は内戦だ、内戦が起こるとな」
「それだけで多くの血が流れます」
「ロシア革命は実際にそうなりました」
「多くの血が流れました」
「それはロマノフ朝の統治より遥かに過酷でした」
「そしてだ」
 それにというのだ。
「その革命と革命の後でもだ」
「次々と資本やや地主、宗教家を殺し」
「革命の敵、人民の敵とみなした者を殺しました」
「極端な政治で飢餓も起こし」
「多くの犠牲者が出ました」
「それが共産主義だった、共産主義はカルトだった」
 そう言っていいものだったというのだ。
「それを放置していたからだ」
「ああなりましたね」
「二十世紀は多くの血が流れましたね」
「二度の世界大戦だけでなく共産主義によっても」
「そうなりましたね」
「マルクスが共産党宣言を出した時点でだ」
 即ち一八四八年の時点でだ。
「知識人達が検証してだ」
「問題点を看破し」
「潰していればですね」
「問題なかったですね」
「そうだった筈だ」
 カミュは苦い顔で述べた。 
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