神々の塔
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第六十話 酔いどれ詩人その七
「それはないわ」
「そうなんやな」
「悟開くってことはな」
これはとだ、中里は話した。
「まさに惑わん」
「悟ったってことは」
「もうこの世の真理がわかって」
そうなってというのだ。
「それでや」
「惑わん様になってるな」
「世の中にもな」
「そうやねんな」
「結局惑うのはあれやな」
リーも言ってきた。
「五感があって」
「そしてまだ人として未熟か」
「というか人やからな」
「惑うか」
「仏さんは人を越えてる」
そうなっているというのだ。
「例え姿は人でもな」
「魂がそこまで昇華してるか」
「そうなってるさかいな」
だからだというのだ。
「もうな」
「人を越えてか」
「もっと上の存在になってるわ」
「人の姿であっても」
「そや、惑うのはな」
そうなることはというのだ。
「迷路でもな」
「人である証やな」
「世の中にもな」
「その迷宮にもやな」
「そうなるな、ただ」
「ただ?どないした」
「いや、人は惑うからこそ人であって」
リーはトウェインに考える顔になって話した。
「魅力があるかもな」
「惑うからか」
「惑って迷って間違えて」
そうした行為をしていきというのだ。
「それでも前に進むからな」
「魅力があるか」
「完璧やとな」
「ああ、かえってな」
トウェインはリーの今の話にそれはという顔になって応えた、そう言われると彼も思うところがあるからである。
「おもろないな」
「魅力ないな」
「そや」
まさにというのだ。
「そうなるわ」
「そういうことやな」
「そして」
そのうえでというのだ。
「あくまで前に進んで」
「困難を乗り越えてな」
「進歩していくからやな」
「魅力があるな」
「ああ、そやから何の努力もせんで」
リーに腕を組んで考える顔で話した。
「進歩もせん奴はな」
「魅力がないな」
「全くな」
「そやな」
「ほんまな」
それこそというのだ。
「魅力あるんはな」
「惑ったりしてもな」
「前に進む人や」
「そやな」
「人って間違えるさかい」
綾乃も言ってきた。
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