オズのヘンリーおじさん
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第五幕その三
「外の世界でもね」
「狼は襲って来なかったね」
「狼は実は人を殆ど襲わないから」
だからだというのです。
「私が一緒ならね」
「僕も大丈夫だね」
「安全よ」
「いや、わしも昔は狼は怖いと思っていたよ」
キャプテン=ビルも言ってきました。
「実はね」
「そうよね、皆狼は怖いって言ってたわ」
まさにと言うトロットでした。
「物凄くね」
「そうだったね」
「狂暴で残忍で悪いことばかりする」
「狡猾でね」
「そう思っていたよ」
「私もよ」
エリカもでした。
「狼ってとんでもなく悪い生きものって思っていたわ」
「皆狼をそう思っていたわね」
ドロシーも言います。
「本当に」
「狼より怖くて悪い生きものはいない」
「そう思っていたわね」
「ええ、けれどオズの国だと」
「そうでもないというか」
「外の世界でもね」
こちらでもというのです。
「そうなのよ」
「怖くないのね」
「ベッツイの言う通り人を襲うことはね」
「まずないのね」
「そう、それで最低限のものしかね」
「襲わないのね」
「そうした生きものなのよ」
狼はというのです。
「本当にね」
「というかです」
恵梨香が言ってきました。
「皆どうして狼を嫌うのか」
「僕達もわからないです」
神宝も言います。
「どうにも」
「今狼を怖がる子供っています?」
ジョージも首を傾げさせます。
「むしろ恰好いいですよ」
「だって狼から犬になってますし」
カルロスはこのことを言いました。
「それだと」
「童話でも最後やられてますし」
ナターシャも言いました。
「別に怖くないです」
「あの、聞いたんですが」
恵梨香がまた言ってきました。
「日本で狼は『大神』だって」
「大きな神様ね」
「偉大な」
ドロシーにお話します。
「田畑を荒らす生きものを食べてくれる」
「あっ、日本は農耕社会で」
「そうですから」
「田畑が大事ね」
「何と言っても」
「それで田畑を荒らす生きものを食べてくれるなら」
「そうでしたら」
それならというのです。
「もうです」
「素晴らしい生きものなのね」
「神様です」
「成程ね」
「そしてです」
それにというのです。
「日本の童話では狼が悪役で出ることは」
「鬼ばかりね」
オズマが言ってきました。
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