脛毛の妖精
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第一章
脛毛の妖精
妖精と聞いてだ、日本の鹿児島からイギリスのカンタベリーまで留学に来ている大学生南郷隆盛は言った。
「妖精見たいな」
「妖精ならいるよ」
大学で言うとこちらで友人になったジェフリー=マッケーシーが言ってきた。南郷は細面で大柄で黒髪を短くしている。切れ長の目がアジア系らしい。マッケーシーは茶色の髪をショートにしていてすらりとしたスタイルで緑の目を持っている。顔の彫は深く背は何号と同じ位だ。
「街の外にね」
「いるんだ」
「これがね」
「いや、実際にいるんだね」
「そうなんだ」
マッケーシーの返事は素っ気ないものだった。
「これがね」
「じゃあ街の外に行ったら」
「そこの森に行ったらね」
そうすればというのだ。
「本物の妖精にね」
「僕も出会えるんだ」
「あれだよね」
マッケーシーはさらに言った。
「妖精ってフェアリーだよね」
「妖精って言っても色々だね」
「そうなんだ」
これがというのだ。
「本当にね」
「そうだよね」
「一冊の本が出来る位に」
そこまでというのだ。
「色々な種類がいるよ」
「ブラウニーとかレプラカーンとかウィルウィプスとか」
「そうそう、ウィルウィプスは人魂かな」
マッケーシーは何号に答えた。
「日本では」
「そうなるみたいだね」
「そうだね、君日本の鹿児島生まれだけれど」
「それがどうしたのかな」
「夜行さんって妖怪いるね」
「一つ目で首のない馬に乗ってる」
「あの夜行さんもイギリスだとね」
今自分達がいる国ならというのだ。
「妖精だよ」
「妖精と妖怪は近いというか」
「同じ様な存在でね」
それでというのだ。
「かなりの種類がいるんだ」
「一冊の本になる位に」
「それでね」
そのうえでとだ、マッケーシーはさらに話した。
「君が思ったのはフェアリーで」
「そのフェアリーにだね」
「会いに行こう」
「それじゃあね」
こう話してだった。
二人で街の外の妖精が出るという森に行った、するとだった。
イギリスの森の中に昆虫の羽根を持った人差し指程の大きさの妖精達が飛び回っていた、南郷はその妖精達を見つつ言った。
「いや、本当にいるんだね」
「この森にはね」
「コナン=ドイルが騙されたっていう写真みたいに」
「あの写真殆どがインチキだったけれど」
ここでマッケーシーはこう言った。
「一つだけね」
「事実があるんだ」
「妖精の繭らしきのはね」
「偽物じゃないんだ」
「それだけは検証されてもわからなかったんだ」
偽物かどうかというのだ。
「これがね」
「それじゃあ」
「妖精はあの写真でもね」
「完全なインチキとは証明されていなくて」
「そしてここでだよ」
まさにというのだ。
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