本物の馬鹿
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第四章
「全部な」
「陰謀ですか」
「魔女狩りだよ、トランプさんは被害者だよ」
「魔女狩りのですか」
「そうだよ、けれどな」
「トランプさんは勝つんですね」
「そうだよ、また大統領いや今も真の大統領でな」
アメリカ合衆国のというのだ。
「それでな」
「返り咲くんですね」
「そしてアメリカは再び偉大な国になって」
トランプの言う通りにというのだ。
「そしてな」
「そのうえで、ですか」
「世界もな」
「平和になるんですね」
「シナチクもチョンも皆殺しにしてな」
そうしてというのだ。
「日本もな」
「トランプさんと一緒にですか」
「世界平和の為に歩いていくんだよ、日本の準備はな」
「準備?」
「トランプさんについていくな」
その、というのだ。
「出来ていたんだよ」
「前の選挙の時に」
「それを邪魔しやがって」
忌々し気な口調での言葉だった。
「ディープステートは悪い奴等だよ」
「そうですか」
「それで日本の左翼、パヨクもな」
彼等もというのだ。
「黙らせるからな」
「これからは」
「ああ、日本も偉大な国になるぞ」
胸を張って言うのだった、その彼と話してだった。
石田はカードを買って帰った、そして後日だった。
彼の知人と会ってだ、こう言った。
「よくわかりました」
「そうか」
「はい、本物の馬鹿について」
「それは何よりだな」
「事実を全くわかっていなくて」
そうしてとだ、石田は冷静な顔で答えた。
「自分が嫌う相手とです」
「全く同じだろ」
「左翼のことは僕も知ってますよ」
石田は彼等のことも話した。
「平和だとか人権とか自由とか言って」
「自分達こそ好戦的で弾圧やるな」
「自分達以外は認めなくて」
「そんな連中だな」
「あの人左翼も嫌いですが」
「そっくりだろ」
「同じですね」
全くと言うのだった。
「見事に」
「そうだな」
「物凄い偏見でしたし」
「兵器で差別用語使っていたな」
「初対面の人間に、いや」
石田は自分の言葉を訂正させた。
「差別用語を使うこと自体が」
「ないな」
「ええ、もうトランプって人の言葉なら」
「何でも信じるな」
「何も疑うことなく」
「検証もしないでな」
「信じ込んでいます、それに」
石田はさらに言った。
「矢鱈と陰謀論をです」
「言うな」
「そうしていますし」
「そのことも酷いな」
「それにウクライナのことも」
「プーチンが正義だって感じだな」
「ウクライナの歴史とか知らないですね」
石田は言い切った。
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