神々の塔
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第五十八話 見えてきたものその十一
「それが出来たんや」
「元々の強さが凄いのね」
「武芸よりもな」
「それでこうしたなのね」
「荒々しい戦いぶりなんや」
「そういうことね」
「それでや」
アレンカールにさらに話した。
「そうした相手やとな」
「それはそれで戦い方があるわね」
「本能が主に出てるとな」
そうした相手ならというのだ。
「そやろ」
「確かにね、向かって来る相手がわかるから」
「目についた相手や」
「囮戦術も有効ね、ほなね」
「自分がいくか」
「ここはそうするわ」
こう施に告げた。
「ここはね」
「ほな頼むわ」
「ええ、考えてみたら武松さんは直線的な性格ね」
「曲がったことは大嫌いやしな」
「それじゃあ戦ぶりも」
「かなりな」
施はまさにと答えた。
「直線的やな」
「そうした人ね」
「梁山泊の神霊さんには多いわ」
百八柱の彼等はというのだ。
「直線的な性格でな」
「戦もよね」
「そやから呉用さんが重要やねん」
軍師である彼がというのだ、事実水滸伝では彼が知恵を出してそれによってことが成功していることが多い。
「直線的な人ばかりやとな」
「戦の仕方も限られてくるわね」
「そうなるさかいな」
だからだというのだ。
「呉用さんは必要や、そして武松さんはな」
「直線的な人ね」
「策略とかは用へんで」
そうしてというのだ。
「勢いで進む」
「戦についても」
「そや」
「ほな尚更よ」
武松との戦はとだ、アレンカールは施に答えた。
「あたいが囮になってね」
「攻撃を向けさせてやな」
「その間頼むわね」
「ああ、攻めるわ」
施はアレンカールに微笑んで軽く頷いて応えてだった。
そのうえで武松と戦った、一行は実際にアレンカールが囮となり神の目を引きつけた。そうしてだった。
そのうえで残る九人で武松を攻めて倒した、すると武松は一行に楽しそうに高らかに笑って告げた。
「よし、行くのだ」
「上にですね」
「そうしろ、そしてだ」
アレンカールに笑ったまま告げていった。
「踏破しろ、いいな」
「そうします」
「必ずな、では戦は終わったしな」
「ああ、飲むぞ」
魯智深が応えた、やはり笑顔である。
「そうするぞ」
「是非な」
「戦が終わったからな」
「そうするぞ」
梁山泊の神霊達は実際にその場で宴会をはじめた、そうしてだった。
一行はその彼等と一旦別れて宿屋で休んだ、そのうえで上の階に向かうのだった。
第五十八話 完
2024・1・15
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