算盤もプロになると
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第二章
「機会があればね」
「算盤の先生になるのね」
「そうなるわ」
こうしたことを言うのだった。
「是非ね」
「凄いわね、本当にプロになるなんて」
「それで今度大会があるけれど」
茂美は苺にさらに話した。
「よかったら来る?」
「うん、私算盤は小学校までだったけれど」
卒業と一緒に止めているのだ。
「けれど折角のお誘いだし」
「それじゃあね」
「うん、どの大会なの?」
大会の名前と開催場所に日時を聞いた、そうしてだった。
苺は実際にその大会に観客として行った、そのうえで茂美達参加者の算盤の手捌きを見たがこれがだった。
大会の後でだ、いい成績を出した茂美に一緒に居酒屋で飲みながら話した。
「凄かったね、もう指が見えなかったわ」
「動きが速くて?」
「速過ぎてね」
それでというのだ。
「本当に」
「いや、プロになるとね」
茂美は苺に話した、二人用の席に向かい合って座って話している。
「あれ位がね」
「普通なのね」
「そう、それで優勝した人凄かったでしょ」
「特にね」
「あそこまでなるのよ」
「優勝する位になると」
「算盤もね」
ジョッキに入ったビールと烏賊ゲソを焼いたものを前にして話した。
「あそこまでによ」
「なるのね」
「そうよ、私なんてね」
こうもだ、茂美は苺に話した。
「まだまだ。だからね」
「今も努力してるのね」
「そうよ、もっと凄くなる為に」
「成程ね」
「会社じゃ計算が速くて正確だって評判だけれど」
「まだまだってことね」
「自分でわかっているから」
それでというのだ。
「本当にこれからもね」
「努力していくのね」
「そうしていくわ」
小学校からの友人に話した、そしてだった。
二人でビールとつまみを楽しんだ、そして後日茂美は苺に算盤の先生に転職したとメールで伝えた。それからある大会で優勝したとも伝えた。そのうえで彼女に会った時に試しに算盤の手捌きを見せるとそこには努力のかいがあった。
算盤もプロになると 完
2024・2・15
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