ハッピークローバー
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第百十六話 半ズボンの有り難さその十三
「四年か五年でね」
「親会社ごと潰れたんだね」
「親会社が急に傾いて」
「倒産して」
「それと一緒にね」
「親会社がそもそもおかしくなっていて」
古田はこう考えた。
「それでお店もだったんだね」
「そうよね、そういう人無政府主義っていうのかしら」
「ああ、教科書に出て来る」
「世界史のね」
「政府をなくして完全に自由な社会を創るっていう」
「そうした考えね」
ロシアからはじまりバクーニン等が有名だ、日本でも甘粕正彦に殺された大杉栄がその名を知られている。
「要するに」
「権力、政府や法律を否定するなら」
「それならね」
「その果てがオウムだったら最悪だよ」
「自分達は認めないでね」
「自分達の中でも粛清して」
ポアがそれである。
「しかもあんな胡散臭い教えで」
「教祖の人自体がね」
「そんな社会がいいなら」
古田は嫌悪に満ちた顔で言った。
「どうにもならないよ」
「そうよね」
「大体法律とかそれを守る警察がなかったら」
そうなればというのだ。
「核戦争の後みたいになるよ」
「モヒカンが暴れ回る」
「ああしたね」
まさにというのだ。
「世紀末な社会になるよ」
「最悪よね、そうなったら」
「そうだよ」
こう理虹に話した。
「弱い人なんてね」
「暮らしていけないわね」
「そしてそんな社会だと」
無法者がやりたい放題している社会ならというのだ。
「真っ先にそんな馬鹿がね」
「殺されるわね」
「そうなるに決まってるよ」
「弱くて頭が悪いから」
「モヒカンの中に入っても」
その無法者達のことである。
「最初にね」
「退治されるやね」
「モブとしてね」
「そうなるわね」
「そんなこと普通子供でもわかるよ」
古田は吐き捨てる様に言った。
「もうね」
「そうよね」
「それがわからないんだから」
だからだというのだ。
「どう考えてもね」
「相当馬鹿よね」
「いや、確かにさ」
古田はこうも言った。
「政府とか権力とか法律とか嫌になる時あるよ」
「ああしろこうしろって言うから」
「学校だって親だってね」
「そう思う時は誰にもあるわね」
「けれどなかったら」
政府や法律がというのだ。
「本当にね」
「大変なことになるわね」
「法律がなくて」
そしてというのだ。
「政府が動かしている警察がなかったら」
「それこそ世紀末よね」
「そんな世の中になって」
「悪い人が悪いことし放題よね」
「仮にオウムか権力に反対して」
国家のそれにというのだ。
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