仮面ライダーディケイド 本当の自分自身
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第十七章
「彼等とショッカーの改造人間達は同じだからね」
「心は人間かどうか」
「そういうことなんですね」
「そうだ、心だ」
門矢は小野寺と光にも話した。
「その心を見にだ。行くぞ」
「よし、それなら」
「今こそ」
こうしてだった。全員で先に進む。だがその途中で一旦また写真館に戻った。するとそこには襟立や静香達もいた。まずは静香が紅に声をかけた。
「渡、今から行くのよね」
「静香ちゃん、どうしてここに?」
「どうしてもこうしてもじゃないわよ」
椅子に座ったまま彼に顔を向けての言葉だった。
「行く前に言ってくれればいいのに」
「そうよ。急いで来たから」
恵もいた。そして言うのである。
「一緒に塔に行きましょう」
「わかった、それではだ」
名護も彼女の言葉を受けて頷く。そのうえで妻に対して言うのである。
「恵、今から行こう」
「ええ、それじゃあね」
「そしてだ」
嶋もいる。戦える人間は全て集まっている。
「塔の頂上、最上階の玉座にだ」
「スサノオがいる」
門矢は彼の言葉を聞きながら述べるのだった。
「そうだな」
「その通りだ。君がディケイドだな」
「そうだ」
座りながらコーヒーを飲む彼への言葉だ。
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ」
「君は世界を壊す者から変わった」
「変わったか」
「世界を護る者になった」
「別にどうでもいいことだな」
門矢はこう嶋に返した。
「俺は俺だ」
「だからか」
「そうだ。俺であることには変わりはない」
これが彼の言葉であり考えであった。
「元から世界を破壊するつもりはなかったがな」
「そうだ。君には最初から最後までその意志はない」
「俺は破壊には興味がない」
また言ってみせる。その言葉には何の偽りも見られない。
「自分自身が誰かなのかさえわからないのだからな」
「君には妹さんがいる」
「それはわかっている」
「しかし御両親はもういない」
「そうか」
それを聞いても実に素っ気無い返答だ。何故なら元から自分に親がいたということについても考えたことがないからだ。だからである。
「交通事故で亡くなった。君は奨学金で城南大学に通っている」
「よく聞く大学の名前だな」
「私の言葉が偽りだとは思わないのか?」
「思わない。あんたの目は嘘を言っている目じゃない」
だからわかるというのだ。
「それにここにいる全員が俺を騙す筈もない」
「そうだ。全て真実だ」
嶋もそれを自分で認める。
「私が今言っている君についてのことは全て真実だ」
「そうか」
「そして君は仮面ライダーディケイドだ」
「俺は何故そうなった?」
「渡君にあの時言われた通りだ」
それだというのだ。
「あの時にだ」
「同じだというのか」
「そうだ。そういう意味で君はライダーとなった」
「自覚はないがな」
「しかしそうなった。君はこのまま進めばいい」
こう言ってであった。あらためて門矢に言うのだった。
そしてだ。門矢も言うのだった。
「それなら。このまま塔に向かう」
「そうするといい。そしてそれはだ」
「僕達も一緒です」
紅がここで言う。
「ですから」
「変われば変わるものだな」
門矢はその紅を見ながら述べた。
「かつて戦った者同士がこうして共に戦うとはな」
「ライダーの世界ではよくあることです」
紅はそれを言われても冷静に返す。
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