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第百十六話 半ズボンの有り難さその三

「まだ暖かいわ」
「あそこでそうなの」
「ええ、ただ夏はね」
 ノルウェーの娘は急に嫌そうな顔になって話した。
「辛いわ」
「日本の夏は」
「神戸はまだいいけれど」 
 それでもというのだ。
「大阪はかなりね」
「ああ、大阪ってね」 
 理虹はその大阪に住んでいる人間として応えた。
「夏暑いのよね」
「うだる位よね」
「ただ盆地じゃないから」
 そうした地形でないからだというのだ。
「京都と違ってね」
「熱は出るのね」
「京都はね」
 理虹は夏の京都に何度か行ったことがある、大阪から京都に行く阪急や京阪、JR等があり八条鉄道も走っているのだ。そうしたもので行ったのだ。
「狭い盆地で」
「京都市が囲まれていて」
「夏は熱気が篭ってね」
「山に囲まれてて出ないのよね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「夏暑いのよ」
「大阪よりも」
「そして冬はね」
 この季節はこの季節でというのだ。
「冷気がね」
「夏と逆によね」
「篭ってね」
「寒いのよね」
「そうなの、奈良も盆地だけれど」
 京都と同じくというのだ。
「京都より広いから」
「熱気や冷気は篭らなくて」
「まだましなのよ」
 夏の暑さ、冬の寒さはというのだ。
「まだね」
「そうなのね」
「けれどその京都の寒さも」
 タイの娘も京都の話に入った。
「欧州の寒さと比べたら」
「まだましよね」
「そうよね、神戸の冬もそうで」
「だからタイとか東南アジアと北欧比べたら」  
 それぞれの地域にある国々をというのだ。
「東南アジアの方が人口多いでしょ」
「そうね、ずっとね」
 タイの娘もそれはと答えた。
「我が国なんて一年に三回お米採れるから」
「それは強みよね」
「お米が沢山採れるとね」
「食べものがあるってことで」
「それでね」
 その為にというのだ。
「本当にね」
「タイとか人口多いわね」
「ええ、けれど北欧は」
「少ないわよ」
 ノルウェーの娘ははっきりと言い切った。
「国土は広くても」
「それでもよね」
「どの国も寒くて」
 まさにその為にというのだ。
「作物もね」
「あまり採れないわね」
「だからどうしてもね」
「人口少ないのね」
「そうよ」 
 タイの娘に話した。 
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