仮面ライダーディケイド 本当の自分自身
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第三章
「一つ妙なことになってね」
「妙なこと?」
「どうしたんですか?」
門矢と小野寺が問う。するとであった。
あの絵のところが光ってだ。そこに出て来た絵は。
塔であった。かつて彼等が大ショッカーと戦ったあの塔の絵がだ。出て来たのである。
「ショッカータワーか」
「それが今また」
「これはどういうことなんだろうね」
首を傾げて言う栄次郎だった。
「一体ねえ。よくわからないけれど」
「いや、大体わかった」
しかし門矢はこう言うのであった。
「そうか。そこに行けというのだな」
「じゃあ士、今からこの塔のところにまた」
「行くんですね」
「そうだ。それしかない」
門矢は冷静に小野寺と光の問いに応えた。
「今すぐにだ。行くぞ」
「当然僕もだね」
そして海東も言うのだった。
「行かせてもらうよ」
「好きにしろ」
門矢はここではこう言うだけだった。
「御前の好きなようにな」
「そう。じゃあそうさせてもらうよ」
彼もそれで異論はなかった。
「じゃあ今から四人でね」
「ああ、今日中に帰って来るかな」
栄次郎は穏やかに今また出ようとする四人に問うた。写真館の中は半ば喫茶店になってしまっているのも相変わらずであった。
「どうかな。そこは」
「多分だな」
こう返す門矢だった。
「そうなる。コーヒーでも用意しておいてくれ」
「わかったよ。それじゃあね」
「まず一度ではあの塔には辿り着くことはできない」
門矢は何故かこう言ったのだった。
「おそらく。またここに戻る」
「何でなんだ?それは」
「勘だ」
それによっての予想なのだという。
「勘でわかった」
「何でいつもそんなのなんだよ」
小野寺はそんな門矢に呆れた声をかけた。
「しかもそれでわかるんだな」
「大体わかればそれでいい」
こうも言う門矢だった。
「それでだ」
「まあ多分ね」
海東もここで話す。
「向こうもはいそうですかで通したりはしないしね」
「大ショッカーもやられるわけにはいかないんですね」
光は彼の言葉をそうしたものだと認識した。
「つまりは」
「いや、それはどうか」
だがここで。門矢はこんなことを言った。
「果たしてどうなのか」
「えっ、どうなのかって」
光は門矢の今の言葉に即座にその眉を顰めさせた。
「そんなこと言っても。実際に」
「そう、実際だ」
「だから実際じゃないですか」
「実際に今までスサノオの仕掛けてきたことは全て失敗している」
彼が言うのはこのことだった。
「ショッカーからファンガイアまでだ。全てだ」
「そういえばこれまでの世界も」
小野寺は門矢の今の言葉に自分の口元に手を当てて考える顔にんなった。そうしてそのうえで言うのだった。彼も見てきたから知っていた。
「全部失敗してるよな」
「しかもね」
また海東が言ってきた。
「その世界のライダーが何とか乗り越えられるような障害ばかりだったね」
「そうだ。常にライダー、つまり人間が乗り越えられる」
門矢の言葉は深い思索を含むものになっていた。
「そうしたものばかりだ」
「どういうことなんだよ、それ」
「おかしくないですか?明らかに」
小野寺と光はここでまたいぶかしむ顔になって言うのだった。
「乗り越えられるような障害ってことは」
「倒せる規模の組織」
「そんなものしか用意しないなんてよ」
「有り得ないですよ」
「本気でライダーを倒し世界を征服するか滅ぼすならだ」
ここで門矢はさらに言ってみせた。
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