星河の覇皇
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第八十五部第五章 北京宣言その三十二
「厳しいが公平な父と優しい母がいてだ」
「ご兄弟もですね」
「兄弟姉妹と仲良く過ごしていた」
「それで、ですか」
「家庭のよさをわかっているつもりだ」
だからだというのだ。
「私にとって家庭はな」
「何よりも大事なものですね」
「妻と娘とだ」
「娘さんのご家庭もですね」
「孫達もな、全てな」
まさにというのだ。
「私の宝だ、両親も兄弟姉妹も全員健在だしな」
「どの方もですか」
「宝だ。幸い道を外した者はいない」
家族の中でというのだ。
「余計にいい」
「どうしても家族が多いですと」
「一族でもだな」
「一人はおかしな人がいますね」
「そうだな、私の親戚でもいる」
キロモトは難しい顔で述べた。
「実はな」
「そうですか、やはり」
「働かず偉そうに言うだけでだ」
それでというのだ。
「何も出来ない、しかし極めて尊大だ」
「そうした人ですか」
「尚且つ図々しく厚かましい」
「遠慮もないのですか」
「そして恩知らずだ」
「つまり人間としてですね」
「駄目だ、それで奥さんにも逃げられた」
そうなったというのだ。
「働かないで偉そうに言うばかりだったからな」
「それでは逃げられるのも当然ですね」
アッチャラーンも当然だと述べた。
「そうした人ですと」
「母親に甘やかされ過ぎてな」
「そうなりましたか」
「この母親も碌でもなかった」
そうした人間だったというのだ。
「駄目な親な駄目な子を育てる」
「その言葉通りでしたか」
「子供は親の背中を見て育つんかも知れないが」
「その人とご母堂はですね」
「どうしようもない、こうした者が一族にいたが」
それでもとだ、キロモトは話した。
「私の両親と兄弟姉妹はな」
「そうでないですか」
「兄弟姉妹は全員いい家庭を築いている」
「それもいいことですね」
「全くだ」
こう言うのだった。
「それでだ」
「家庭はですね」
「何よりも有り難い」
「そうしたものとですね」
「考えている」
「そういうことですね」
「家庭を顧みないなぞな」
そうしたことはというと。
「私にとってはな」
「考えられないですね」
「全くな」
そうだというのだ。
「そう思っている」
「そうですか」
「大事なものはな」
「家庭ですね」
「私はな、そう思っているからな」
それでというのだ。
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